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お店ラジオ 2021/12/01 2024/03/14

自分の日々の行動がお店すべてにあらわれる-光山さんの成功を支える店舗経営の考え方-

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「お店ラジオ」は、店舗経営にまつわるトークラジオ番組です。小売店や飲食店など各業界で活躍するゲストをお招きし、インタビュー形式でお届けしています。この記事は、InterFMで毎週日曜日にお送りしている「お店ラジオ」で放送された内容を未公開放送分も含めて再編集したものです。

今回のゲストは、予約の取れない焼き肉専門店「肉山」の創業者、光山英明さんです。飲食店の経験はゼロで、「ただ飲食店をやりたい」と東京に出てきた光山さんが、どうやって店を開業、運営し、全国に名前の轟く人気店を作り上げることができたのか。そこには、光山さんならではに見えながら、お店オーナーにはとても参考になるやり方がありました。

第一回は、光山の創業秘話についてのお話、第二回は、光山さんが「肉山」を立ち上げ店舗数を拡大していった際の戦略や考え方のお話でした。
今回は光山さんのお話を紹介する最終回です。光山流スタッフの育て方のお話のほか、光山さんにとってお店とは何か、といったお話をお聞きしています。

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この記事の目次

  1. 客足が減ったコロナ禍にやるべきお客さんとスタッフへのコミュニケーション
  2. スタッフの採用費はなんとゼロ円
  3. スタッフは放任主義にしたほうが伸びる理由
  4. フードトラックで屋台村を
  5. 職人が不要な坦々麺だと100店舗を目指せる
  6. お店とは「自分自身が表れる場所」

客足が減ったコロナ禍にやるべきお客さんとスタッフへのコミュニケーション

うちはコロナの影響はまったくありませんでした。固定費を圧倒的に安く経営しているところに、東京都や国から多くの協力金がもらえたからです(肉山の固定費を減らす秘密については#2に)。コロナ禍において、国や都は十分にいい環境を整えてくれています。

ただ、コロナによって外食する機会は減り、多くの人が外食をしない生活に慣れてしまい、今後、お店に来てくれないかもしれないという不安はあります。

僕自身は、ここから、自分たちがやってきたことへの評価がくだるのだろうと思っています。これまで、自分がどれだけお客さんに向き合えていたか。いまのお客さんが少ない状況も、より深くお客さんと接点を持てる状況だと考えて、お客さんと接するべきなのです。

お客さんに対して、自分がどれだけ向き合ってきたか、その結果が、この後、通知表の評価のように現れてくるでしょうし、それがもしダメだったとしたら、お店のオーナーさんの責任です。いままでなにをしていたのか、ということです。

スタッフに対しても同様です。お店を再開したくてもスタッフが戻ってくれないという店がありますが、それは、オーナーさんが、店が開けられない期間中、スタッフにちゃんと手当てをしなかったからです。

国などは飲食店に、スタッフの雇用確保のためのお金を出してくれています。ですからオーナーとしては、スタッフをできるだけ雇い続けるべきですし、コミュニケーションによる手当も必要でしょう。あっさり切られたり、ないがしろにされたスタッフが戻ってこないのは当たり前です。

 

スタッフの採用費はなんとゼロ円

うちでは、スタッフの待遇は良くしています。働く時間はその人の自由で、週に最低何日働くかも決めていません。時給はその地域で一番くらいです。働く人にとって最も大事なのは時給だからです。

待遇重視というのは、うちのスタッフの採用方法が独特なのも理由のひとつです。うちの店ではお金をかけてスタッフを募集しません。僕自身が、お客さんの中から、この人に働いてほしいという人に声を掛けて、一本釣りしています。声を掛けるときはほかで働いている人ですから、うちを選んでもらうには、ほかに負けない待遇にしておく必要があるわけです。スタッフも、お客さんと同じように、ほかの店から奪うということを意識しています。

経営面で見ても、スタッフの採用費がゼロというのは、うちの大きなポイントのひとつです。肉山の原価率の高さをカバーして、利益が出るポイントになっているのが、固定費の安さと集客不要、人の採用費がゼロというところです。

 

スタッフは放任主義にしたほうが伸びる理由

僕がスタッフをどう教育するかというと、「泳げない人の背中を押して池に落とす」というやり方です。そうするとスタッフはどうなるか。死にたくないので絶対に泳げるようになります。教育のためのマニュアルやルールもありません。基本的にはほったらかしということですね。

ただひとつ言っているのは、「自分が客席から自分のことを見ていると思ってくれ」ということです。

スタッフは元お客さんですから、お客さんとしてスタッフを見ていました。その中で、「あのスタッフ、ちょっと動きが悪いな」などと思ったことがあるはずです。お客さんだった自分が客席で見ているから、その自分に、「動きが悪いなあ」と思われないようにということです。

「常に自分で自分を見ろ」と、僕は粘り強く言い続けるだけですが、そういう言い方が一番、スタッフに伝わりますし、スタッフの成長も早いです。

また、店によっては、スタッフに、お客さんができるだけ多く注文するよう声掛けをさせるところがあります。「お客様、もう一杯どうですか」などの声掛けです。うちはそういうことを一切させません。逆に、「人の財布をこちらが握るな」といっています。

お店としては客単価を上げようとするのが普通なのでしょうが、うちでは、こちらから客単価を上げようとはしません。お客さんは大人です。自分で飲みたかったり食べたかったりすれば自分で注文します。それでいいのです。

 

フードトラックで屋台村を

最近、フードトラックを始めました。フードトラックをやっているMellowという会社の人が肉山のお客さんで、「ぜひ肉山の名前でフードトラックをやってほしい」といわれたのがきっかけです。

ただ、フードトラックで弁当を売るだけでは面白くないと思っていて、いずれは、夜型のフードトラックとして稼働させたいと思っています。

夜型のフードトラックとは、ビジネス街にフードトラックを複数台置いて、仕事帰りのビジネスマンが立ち寄る屋台村のようなイメージです。コロナ禍のためいまはできませんが、将来的にはそうしたいと考えています。

いまは、2台のフードトラックを運用しています。Mellowが元締めのような形になって、都内の複数の場所を抑え、何曜日の何時から何時まで、どこに行くかというシフトを組んでいて、それに従って動いています。

フードトラックは、1台500万円くらいで、車を改装して、トラックを用意するだけできますから、店舗よりライトに始められ、いまはやりたい人が増えていて、トラックの改装が間に合わなくなっているくらいです。

店舗の場合、万一、店をやめることになった場合、居抜きで売れない限り、店をスケルトンにするのに費用がかかりますが、フードトラックは、トラックがかなり高く売れるので、その意味でも始めやすいといえます。

トラックに必要なスタッフは1.5人くらいで、販売は2~3時間くらいが勝負です。パッと売って、すぐ退散という感じです。いまは、ビジネス街での営業が少なくなったので、タワーマンションのようなところにいって、ローストビーフなどの総菜をメインに売っています。

どこで売るかはシフトで決まっているので、売れなかったから別の場所に行って売るということはできません。そういう意味では売上に制約がありますが、固定費もそれほどかからないので、コロナが終われば、もっと可能性がでてくるだろうと思っています。

 

職人が不要な坦々麺だと100店舗を目指せる

今後の展開としていま力を入れているのが、担々麺専門店です。初めて、1業態で100店舗くらいできるのではないかと思っています。

担々麵は、ラーメンのように、大きな寸胴の鍋で豚骨を長時間炊いてスープを作るというものではありません。担々麺のスープは、味噌を溶かすような手間で簡単に作れます。職人のような人は必要なく、マニュアルがあればだれでも簡単に作れるので、どんどんお店を増やすことができます。いまはライバルも少ないですし、うちはほかに負けない良い素材で担々麺が作れます。

1店舗目を東京の浅草で出し、すでに5店舗になりました。やりたいと手を挙げてくれる人がたくさんいます。この担々麺の店を、全国に広げて、50店舗、100店舗と増やしていきたいと思っています。

 

お店とは「自分自身が表れる場所」

お店とは、「自分自身が表れる場所」だと思っています

もし、お店に変なお客さんが多くなってきたら、日頃の自分の行動が悪いからです。逆に、いいお客さんが多いと、「最近、いい行動ができているな」と思えます。お店は自分の鏡です。自分の行動が店の雰囲気に表れ、売上にも表れてきます

僕の店に来た人が、店を見て、「光山さんらしい、いい店だな」と思ってくれるとうれしいです。

光山さんのお話のご紹介は以上です。お店ラジオ、次回のゲストは株式会社トレタの代表、中村仁さんです。トレタは飲食店向けのITサービスを提供している会社で、飲食業界では中村さんを知らない人はいないという有名な方です。お楽しみに。

 

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執筆 横山 聡

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