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お店ラジオ 2021/12/01 2024/03/14

一枚の紙での集客から始まり今では超人気店に-肉山流、独自集客術-

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「お店ラジオ」は、店舗経営にまつわるトークラジオ番組です。小売店や飲食店など各業界で活躍するゲストをお招きし、インタビュー形式でお届けしています。この記事は、InterFMで毎週日曜日にお送りしている「お店ラジオ」で放送された内容を未公開放送分も含めて再編集したものです。

今回のゲストは、予約の取れない焼き肉専門店「肉山」の創業者、光山英明さんです。飲食店の経験はゼロで、「ただ飲食店をやりたい」と東京に出てきた光山さんが、どうやって店を開業、運営し、全国に名前の轟く人気店を作り上げることができたのか。そこには、光山さんならではに見えながら、お店オーナーにはとても参考になるやり方がありました。

光山さんのお話を紹介する1回目は、光山さんの創業話です。SNSなき時代に、すでにSNSによる集客と似たことをしていたという光山さんのお話は必読です。

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この記事の目次

  1. 飲食店をやりたいという思いだけで上京
  2. 初めての集客は一枚の画用紙から
  3. 消費者金融に走り込んだ開業時の資金繰り
  4. フォロワー集め大成功!肉山流Twitter集客術

飲食店をやりたいという思いだけで上京

僕はずっと野球ばかりしていました。高校では大阪の上宮高校で甲子園に出て、大学では中央大学で大学野球。兄はプロ野球選手になり、いま楽天でコーチをしています。

大学卒業後は一時、サラリーマンをしていたのですが、「飲食店をやりたい」と2002年に会社を辞め、大学時代、寮生活をしていた東京の吉祥寺に出てきました。

吉祥寺を選んだのは、大学のとき、「ええなあ」と思わせてくれる飲食店が多かったからです。当時の吉祥寺周辺には、お客さんを喜ばせたいという思いにあふれたお店が多かった。たとえば、お店に並んでいるとき、「これを飲んで待っていてください」と缶ビールを配ったりするお店がありました。そんなお店をやりたいと思いました。

とはいえ、飲食店の経験はゼロで、具体的にどんな店にするかという計画もありませんでした。あったのは、東京には牛ホルモンの店がないので、牛ホルモン屋さんならできるかなという軽い考えだけ。それでも上京後4か月で、牛ホルモンと焼酎を出す居酒屋「わ」という店を始めることができました。

 

初めての集客は一枚の画用紙から

店の工事が進む間、毎日現場に行って気づいたのが、工事中の店の前を通る人が、「何ができるんだろうね」とよく話していることでした。それならお知らせしようと、画用紙を買ってきて、「中央大学野球部出身です。牛ホルモンと焼酎の店を出します」と書いて、工事看板に貼り出しました。そして、「こんな僕に質問はありませんか」と書き、鉛筆をぶら下げて、質問を募集したのです。

質問コーナーは、だれも書いていないと書きづらいだろうと思い、最初の質問だけ自分で書きました。「Q、焼酎の魔王は出しますか?A、500円で出します」というやりとりです。

当時、魔王はプレミアがついて1杯2500円くらいになる大人気焼酎だったので、それをこんな安い値段で出すといえばアピールになるだろうと思ったのですが、その反響は予想以上でした。質問コーナーには連日、たくさんの書き込みがされるようになり、それに毎日答えるのが大変になるくらいでした。

いまでこそSNSやクラウドファンディングなどで、開店前に潜在的なお客さんを集客することは一般的な手法になっていますが、2002年当時にはSNSなんてものはありませんし、SNS集客もありません。それどころか、当時の僕は、集客のために広告を打つ知恵もなく、お金もパソコンもありませんでした。

それが、開店のお知らせのつもりで書いた一枚の紙が、リアルFacebookのようになり、僕とお客さんとのインタラクティブなやり取りを可能にして、集客の役割を果たすことになったのです。決して狙ってやったわけではなく、開店前で暇だからやっただけですが、思わぬ効果がありました。

暇といえば、その日の工事が終了後、工事途中の店に入って、「ご注文は?」「ハラミですね。ありがとうございます」「お待たせしました」と、お客さんとのやり取りをひとりで練習するなんてこともしていました。もちろんエアーですから実際とは違いましたが、開店が待ち遠しかったんでしょうね。

 

消費者金融に走り込んだ開業時の資金繰り

物件を決めて、保証金や内装工事費、最初の仕入れの費用など、開業にかかったお金は全部で570万円でした。開店までには、見積もり以上の追加工事が必要だと言ってくる内装業者と戦ったり、計算間違いでお金が100万円足りなくなって、駅前の消費者金融で借りたりするということもありました。

何とか開業に漕ぎ着けましたが、それで資金はすっからかんです。7坪14席の店の家賃が10万5千円、住むアパートの家賃が6万5千円、運転資金はゼロという状態です。そのときの僕は運転資金という言葉すら知りませんでした。当時は「お金が回らなくなったら、アパートを引き払ってお店で寝たらいいや」くらいに思っていました。そして、4ヶ月の準備期間を経て、念願の第1号店・ホルモン酒場「わ」をオープンしました。

それでも、飲食店は、日々の売上が毎日入る一方で、仕入れの支払いは後日なので、資金繰りは楽でしたし、店はひとりでやっていたので、楽勝でやっていけました。当時はまだ、カード払いのお客さんが少なく、現金払いがほとんどだったことも大きかったです。売上は毎日、近所の信用金庫に入金するのが習慣で、銀行残高は、思った以上のスピードで貯まっていきました。

 

フォロワー集め大成功!肉山流Twitter集客術

開業のときは、一枚の紙がリアルSNSのようになって集客という、思わぬことになりましたが、いまはTwitterを使って、まさにSNS集客をしています。

いまやっているのが、ZOZOの前澤友作さんの「お金配りおじさん」を真似した「ウイスキー配りおじさん」です。Twitterで呼び掛けて、月2回配っています。お酒は酒販免許を取らないと売ることはできませんが、タダで配ることはできます。

ウイスキーを配るというと、Twitterのフォロワーが増えます。フォロワーが増えれば、自分の店への集客につながります。ウイスキーを配るのにかかるのは1回1万円くらいで、その1万円でフォロワーは2000~3000人ほど増えます。

これまでに7回配って、フォロワーは2万1千まで増えました。私はテレビに出ませんし、素人の飲食店オーナーに過ぎません。それでそのフォロワー数というのは、なかなか多い方ではないでしょうか。フォロワーをお金で買っているとも言えますが、イベントとして皆さん楽しんでいると思います。

ちなみに、まだちょっとやってみようというレベルですが、最近、YouTubeも始めました。フォロワーが多いと発信力が強くなります。Twitterのフォロワーが3万人を超えたらどうなるか、その世界を見たいと思っています。

 

今回のお話はここまでです。次回は光山さんが「わ」の経営から一歩退き、その後、全国に名前の轟く人気店「肉山」を始めた経緯などについてご紹介します。

 

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執筆 アキナイラボ 編集部

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