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お店ラジオ 2022/03/30 2023/10/19

あんなモノがアメリカで日商40万円の商品に!? 場所が変わるだけで商品価値は激変する

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「お店ラジオ」は、店舗経営にまつわるトークラジオ番組です。小売店や飲食店など各業界で活躍するゲストをお招きし、インタビュー形式でお届けしています。この記事は、InterFM・FM大阪で毎週日曜日にお送りしている「お店ラジオ」で放送された内容を未公開放送分も含めて再編集したものです。

今回のゲストは、サラダ専門店「クリスプ・サラダワークス」のオーナー、宮野浩史さんです。

クリスプ・サラダワークスは、東京都内など限られた地域での展開ながら一部で熱狂的なサラダブームを起こしています。

そんなお店を作った宮野さんが目指すお店の姿は、飲食店の概念を刷新する、かなり未来の姿でした。

第1回は宮野さんの起業にまつわるお話です。アメリカで始めたお店は現地で日商40万円を売り上げましたが、そのときの経験がクリスプ・サラダワークスの起業にもつながっていました。

 

この記事の目次

  1. 商品は「自分の不満を解決してくれるサラダ」
  2. 海外では当たり前だけど日本にないもの
  3. 日本で売れないモノでもアメリカでは1日40万の売り上げが立つ
  4. のんびりやろうと始めたのに大繁盛!
  5. 売れたポイントは「おいしいから」
  6. 今の時代はおいしいものではもう差別化できない

商品は「自分の不満を解決してくれるサラダ」

クリスプ・サラダワークスでは、それだけでご飯になって、お腹一杯になるサラダを提供しています。つまりメインディッシュになるサラダです。

僕は食べることが好きなのですが、お酒をあまり飲まないので、お酒なしで、おいしいご飯をひとりで食べられる店が少ないのが悩みです。

ひとりでレストランに入っても、お酒を飲まないので30分ぐらいで終わってしまい、お店側の考える料理の提供スピードとは違ってしまいます。
それに、お店から儲からない客だと思われるのが嫌だからと烏龍茶を頼んだりするのも、なんだか損をした気分になります。

カフェのようなおしゃれなところは、偏見かもしれませんが女性が多いのでちょっと行きづらいです。結局ひとりで行くのは、ハンバーガーやラーメン、牛丼などのファーストフードになります。

ちょっと高くてもいいから身体に良いものを食べたいと思っても、そういう食事をひとりでできるお店が本当に少ないのです。

そんな僕の不満を全部解決してくれるのがクリスプ・サラダワークスのサラダです。
うちのサラダは、イメージとしては高級ステーキハウスで前菜に出てくるような、野菜やチーズなど食材にこだわっているサラダです。

ステーキハウスではサラダだけで1人前2~3,000円くらいしますが、うちの店ではそんなサラダを1,200円で提供しています。
それだけ食べればお腹一杯になるし、身体にもいいというサラダです。

 

海外では当たり前だけど日本にないもの

僕はアメリカに、10代後半から20代中盤まで10年ぐらい住んでいました。日本に帰ってからいろいろと商売をしましたが、基本的に自分がアメリカで食べて、今も食べたいのに日本にはないというものを手掛けています。

サラダは、アメリカではこの10~20年ぐらいずっと2桁成長している領域で、アメリカのどんな町に行ってもサラダ屋さんがあります。
いろいろな形態のサラダ屋さんがありますが、それらをすべて合わせると、マンハッタンではスターバックスよりサラダ屋さんの方が多いです。

そんなサラダ屋さんが日本にはなかったので、じゃあ僕がやろうということになりました。

ターゲットとしては、いま日本にいるアメリカ人と、いわゆるエクスパットといわれるアメリカ駐在から帰国した人、僕のように海外留学でアメリカに住んでいた人たちです。

数としてはそれほど多くない人をターゲットに、こじんまりとした形でやろうと思っていたのですが、実際に店を始めるとターゲット以外の人もたくさん来てくれました。

 

日本で売れないモノでもアメリカでは1日40万の売り上げが立つ

サラダが日本で受けるかどうかは、そんなに不安は持っていませんでした。もともとニッチにやろうと思っていたからです。

それに、僕はアメリカで天津甘栗を売っていて、それで成功した経験があったので、ニッチでもいけると思っていました。天津甘栗は日本ではそれほど売れているイメージはありませんが、アメリカではすごく売れました。

今でもよく覚えていますが、20年くらい前、スーパーの前に折り畳みの赤いテーブルを出して、1人でやって1日で30~40万円くらい売れました。コンビニの日商以上のものを天津甘栗で上げることができたのです。

天津甘栗がなぜそんなに売れたかというと、「これ、子どもの頃食べたなあ」という懐かしさからだと思います。たぶんそういう人たちも、日本で天津甘栗を見てもありふれているので買わないでしょう。
でも、アメリカで出会うと、懐かしいと思って買ってしまうのです。

このとき思ったのが、「場所が変わるだけでこんなにモノって売れるんだな」ということでした。だから日本に戻ってきたとき、その逆をやろうと考えました。

日本に住んでいるアメリカ人やアメリカ経験者が、「懐かしいなあ」と思うタコスやサラダを売ったのです。その市場は小さいかもしれませんが、間違いなくあるからです。

 

のんびりやろうと始めたのに大繁盛!

お店は麻布十番にありましたが、人が誰も通らないような裏道の家賃30万円ぐらいのところでしたし、当初はニッチな層を相手にしばらくのんびりやろうというノリでした。

会社は一応作りましたが、本社もありませんし社員もゼロです。僕と数人のアルバイトだけで始めたお店でした。宣伝も全然しませんでした。

でも開店すると思ったより手応えが良く、多くのお客さんが来ました。開店した2014年当時、サラダ専門店はありませんでしたから珍しさもあったのでしょう。
そのうえ売り込みをしたわけでもツテがあったわけでもないのに、突然テレビが取材に来たことが拍車をかけました。

テレビ取材のおかげでお客さんはさらに増えました。その波は一過性ですぐに引いてしまうことがありますが、うちの店は違いました。落ち着くどころか、お客さんの数はどんどん増えていきました。

家賃30万円の本当に小さい店で、月商300万ぐらいでやっていけるイメージでしたが、最初の1~2年の一番いいときは月商1,700~1,800万円くらいにもなりました。
その売上がありながら、本社もなく社員もいませんから、経費はわずかです。いやらしい話、毎月1,000万円くらいが利益になっていました。

 

売れたポイントは「おいしいから」

なぜこんなに売れたのか僕なりに分析すると、最初のテレビ取材は店が知られるきっかけとしては大きかったと思います。その後も人気が継続した背景には、当時ライザップが注目を浴びていたり、炭水化物抜きのダイエットが流行っていたり、健康がブームになっていたことがあります。

それから、うちの店の近くにジャニーズやAKBなどの芸能事務所があり、かなりの芸能人が店を利用してくれて、そんな芸能人が口コミで広めてくれたり、彼らのファンが来てくれたりということも、売れた要因のひとつだったかもしれません。
僕も店でたくさんの芸能人と会いました。もちろん知らん顔で対応しましたが、内心は「あの人また来てくれた」「あの人、めちゃくちゃオーラあるな」などと思っていました。

でも一番の要因は、何より「食べたらおいしかったから」だと思っています。

新しいエリアでお店を出すと初めて食べる人の反応がよくわかるのですが、うちのサラダを初めて食べる人はたいていびっくりします。とくに男の人に多いですが、「所詮サラダでしょ」「女性は好きかもしれないけどなあ」とちょっと舐めている感じの人が、食べると「うまい」とびっくりするし、そのうえお腹もいっぱいになって、さらにびっくりします。うちのサラダのそんなところが人気継続の一番の理由だと、僕は思っています。

 

今の時代はおいしいものではもう差別化できない

今の時代、インターネットにはたくさんのレシピがあり、そのほとんどがタダで見られます。
そして、そのレシピ通りに作ればすごくおいしい料理ができます。もう、おいしいものはあふれているのです。

僕はいまや飲食店にとっての「おいしさ」というのは、時計における「時を刻む正確性」くらいの重要性しかないと思っています。
高級時計を買うとき、その時計の正確性はもはや買う決め手にはなりません。どんな時計でも1年間に狂うのは1~2秒程度ですから、その程度であれば使う人にとってはどうでもいいのです。

僕は知りませんが、おそらく職人の世界では時計が1年間に狂うのを2秒ではなく1秒に抑えるには、ものすごい技術が必要で、作り方からして違うなどということがあるのでしょう。でもそんなことよりも、かっこよさやブランド力など、それ以外の要素で時計は選ばれます。店の人が推すのも、その時計が持つ歴史やストーリー、世界に何人しかいないマイスターが作っているといったことです。

料理も同じで、おいしさを1%上げるのはすごく大変なことだと思います。でもその違いを消費者に価値としてわかるようにするのは難しくて、バリューとして付加することもできません。

要するに、この世界にはもうおいしいものが溢れていて、そのおいしさは高度になり過ぎて消費者には違いがわからないところまで来ているのです。現状でもそうですから、今後の飲食店は、より「おいしさ」では差別化できなくなっていくはずです。

ならばどこで差別化すればいいのでしょうか。僕はそれが飲食店のIT化だと思っています。IT化を進めることが、これからの飲食店の可能性を切り開くはずです。

 

今回のお話はここまでです。「飲食店のIT化」というキーワードが出てきましたが、実は、宮野さんがそれに取り組み始めたのは意外なことがきっかけでした。そのお話は第2回に続きます。

 

 

 

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執筆 横山 聡

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