オーダーエントリーシステム(OES)とは、飲食店の業務効率を向上させるための注文管理システムです。
フロアスタッフがハンディターミナルやスマートフォン、タブレットなどの端末を使用して顧客の注文を入力し、その情報をリアルタイムでキッチンやPOSレジに送信する仕組みを指します。このシステムにより、注文の正確性とスピードが向上し、業務の大幅な効率化を実現します。
本記事では、オーダーエントリーシステムの仕組みから導入によるメリットなどについて詳しく解説するとともに、おすすめのオーダーエントリーシステムと、店舗運営に役立つ活用方法も紹介します。
飲食店経営を効率化し、サービスの質を向上させたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
4つのエリアが連携する「オーダーエントリーシステム」の仕組み
まず、飲食店におけるオーダーエントリーシステム(OES)の仕組みとして、システム全体の構成を以下の図にまとめましたので、ご覧ください。
※図は筆者作成
オーダーエントリーシステムは、上手の通り、飲食店の「①フロア」「②キッチン」「③レジカウンター(POSレジ)」「④バックオフィス」という4つのエリアが連携することで機能します。
以下に、それぞれのエリアが担う具体的な動きについて解説します。
エリア① 「フロア」での動き
フロアでは、ハンディターミナル端末やセルフオーダー端末(タブレットやスマートフォン)が使用されます。これらを使って入力された注文内容は、無線アクセスポイントを経由してリアルタイムでキッチンやPOSレジに送信されます。
これにより、店舗全体で迅速かつ正確な注文の共有が可能となります。
エリア② 「キッチン」での動き
キッチンでは、フロアから送られた注文内容がキッチンプリンターやキッチンモニターに表示されます。これにより、調理スタッフが効率的に作業を始めることができます。また、調理完了時には通知をフロアに送信することも可能なため、顧客への提供がスムーズになります。
エリア③ 「レジカウンター」での動き
レジカウンターでは、POSレジによって注文内容の確認と会計処理を行います。事前に共有されているデータをもとに、迅速かつ正確な会計が可能です。この仕組みによって、顧客の待ち時間を短縮し、快適なサービスを提供できます。
エリア④ 「バックオフィス」での動き
バックオフィスでは、クラウドサーバーに集約されたデータを活用して店舗運営を最適化します。売上分析や在庫管理、テーブル状況のリアルタイム把握が可能です。これにより、経営者は必要な情報を即座に把握し、適切な判断を下すことができます。
このように、オーダーエントリーシステムは、フロア・キッチン・レジカウンター・バックオフィスといった店舗内の各エリアを密接に連携させることで、注文処理をスムーズにし、業務効率と顧客満足度の向上を実現します。飲食店の業務効率化においては、欠かせない存在となるシステムです。
次に、オーダーエントリーシステムの種類について解説します。
オーダエントリーシステムは3つの種類に分けられる
オーダーエントリーシステムには、大別して「ハンディターミナル型」「スマートフォン型」「テーブル据え置き型」の3種類があります。ここでは、それぞれの特徴や注意点について解説してまいります。
① ハンディターミナル型 | ② スマートデバイス型 | ③ テーブル据え置き型 | |
注文形式 | 店員が専用のハンディ機器を使用し、注文を取る形式。 | スマートフォンやタブレットを活用し、専用アプリをインストールして注文を取る形式。 | テーブルに固定された端末を用いて、顧客が直接操作して注文する形式。 |
特徴 | 専用端末のため操作性が高く、防水性能や耐久性に優れており、長期的な利用が可能。 | 既存のスマホやタブレットを活用できるため、初期コストを大幅に抑えられる。アプリを追加することで多目的利用が可能。 | 顧客が自由に注文を行える利便性の高さが特徴。季節限定メニューなどの情報更新も容易。 |
注意点 |
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導入に向いている店舗 | チェーン展開しているファミリーレストランや居酒屋など規模の大きい店舗。 | 小規模な個人経営の飲食店やコストを最優先する店舗。 | 回転寿司や居酒屋、焼肉店など、頻繁に追加注文が発生する業態・店舗。 |
このように、オーダーエントリーシステムはそれぞれに特徴や注意点があるため、導入する店舗の規模や業態に応じて自店に最適なシステムを選択することが重要です。
以下に、各種類について詳しく解説します。
種類① ハンディターミナル型
ハンディターミナル型は、専用のハンディ端末を使用して注文を取る方式です。このタイプは、防水・防油対策が施されており、調理や片付けなど水や油を扱う場面でも安心して利用できます。
また、耐久性が高く、掃除やメンテナンスが容易で、長期間の使用に適しています。そのため、チェーン展開しているファミリーレストランや居酒屋など、規模の大きい店舗での利用が一般的です。
ただし、専用機器であるため初期費用が高額であり、かつメーカー依存のシステムとなるため汎用性が低い点には注意が必要です。
種類② スマートデバイス型
スマートフォン型は、スマートフォンやタブレットを活用し、専用アプリをインストールして利用するシステムです。
最大の利点は、市販のスマホやタブレットを活用、あるいはすでに所有している端末を活用することも可能なため、初期費用を大幅に抑えられる点です。
また、アプリを追加することで注文以外の業務にも対応でき、店舗の柔軟性を高めることが可能です。小規模な個人経営の飲食店やコストを重視する店舗に適しています。
ただし、防水性能や耐久性が専用端末より劣り、破損リスクが高いため、端末の取り扱いには注意が必要です。
種類③ テーブル据え置き型
テーブル据え置き型は、テーブルに固定された端末を使用し、顧客が直接操作して注文を行う形式です。この方式は、顧客が自由に注文を行える利便性を提供し、人件費の削減にもつながります。
特に、回転寿司や焼肉店、居酒屋など、頻繁に追加注文が発生する店舗に向いています。メニュー情報のこまめな更新も可能なため、季節メニューなどの対応も容易です。
一方で、顧客が端末を使いこなせるよう初回利用時の説明が必要です。また、機器トラブルへの即時対応が求められるため、スタッフの目配りも重要になります。
3種類のオーダーエントリーシステムにはこのような特徴があります。システム導入前には、事前にこれらを理解しておくことで、自店舗に適した選択が可能になります。
では、オーダーエントリーシステムを導入すると、具体的にどのようなメリットが得られるかについて、次項で詳しく解説します。
オーダーエントリーシステムの導入により得られる5つのメリット
オーダーエントリーシステムは、飲食店の業務効率化やサービス向上を支える重要なツールです。その導入によって、スタッフの負担軽減や顧客満足度の向上といった様々なメリットが期待できます。
ここでは、オーダーエントリーシステムを導入することで得られる5つのメリットを紹介します。
メリット① 注文・会計ミスの防止
オーダーエントリーシステムを導入することで、注文内容を書き取ったり、レジで手入力する手間が省けます。その結果、受注ミスや会計ミスを大幅に減らすことが可能になります。
また、端末に入力された情報はリアルタイムでキッチンへ正確に伝達されるため、フロアスタッフからキッチンスタッフへの情報伝達ミスも防ぐことができます。
例えば、大人数のグループ客が同じメニューを7つ注文した場合、手書きの伝票では数字が乱雑になり、「7」が「1」に見間違えられるケースがよくあります。しかし、オーダーエントリーシステムを使用すれば、メニュー名や数量が正確に記録されるため、こうした見間違いの可能性を大幅に低減できます。
さらに、POSレジと連携することで、会計時には注文情報が自動的にレジに反映されます。そのため、手作業での入力ミスを防ぎ、正確な会計処理が可能になります。
メリット② 人件費の削減
オーダーエントリーシステムは、注文対応に関わる業務を大幅に効率化するため、必要なフロアスタッフの人数を削減することが可能です。
特に、テーブル据え置き型のシステムを導入すれば、顧客が直接端末を操作して注文を行うため、注文を受けるためのスタッフ配置が不要になります。先に解説した3種類のオーダーエントリーシステムの中でも、テーブル据え置き型は、店舗全体の人件費を大幅に削減することができます。
さらに、端末にはすべての料理メニューが登録されているため、新人スタッフでも問題なくオペレーションが可能です。その結果、スタッフ教育にかかる時間を短縮でき、教育コストも削減できる点が大きなメリットです。
これにより、売上を維持しながらも人件費を抑えることができ、その分のコストをスタッフの待遇改善や設備投資など、サービス向上のために活用することが可能になります。
メリット③ 回転率の向上
オーダーエントリーシステムの導入は、店舗の回転率向上に大きく貢献します。まず、顧客が注文をしてからキッチンにオーダーが伝わるまでの時間を短縮できる点がポイントです。
ハンディターミナル型やスマートフォン型のシステムを使用すれば、スタッフが顧客の注文を聞きながら端末に入力し、その場で確定ボタンを押すことで、注文内容が瞬時にキッチンへ送信されます。
一方、テーブル据え置き型の場合、顧客はテーブルに着席した瞬間から店員を呼ぶ必要なく、すぐに注文を行うことが可能です。
これにより、店舗全体のサービス提供のスピードが向上し、次の顧客をスムーズに案内できるため、回転率が上がり集客や売上の増加につながることが期待できます。
メリット④ 売上分析が可能
オーダーエントリーシステムに蓄積されたデータを活用することで、売上分析が可能になります。例えば、どのメニューがどの時間帯に多く注文されているかといった情報を、客観的な数値として確認することができます。
さらに、顧客に会員登録をしてもらうことで、来店履歴や注文傾向を把握することも可能です。性別、年齢、居住地といった顧客データを収集できるため、新商品のメニュー開発やキャンペーン施策の立案にも役立ちます。
具体的には、利用頻度の高い顧客にクーポンを提供することで、リピーターの獲得につなげるといったマーケティング戦略が実施できます。
また、POSレジと連携させることで、会計後の売上データがリアルタイムで反映され、店舗全体の状況を即座に把握することができます。これにより、売上分析を経営判断や店舗運営に直結させることが可能となります。
メリット⑤ サービス品質と顧客満足度の向上
オーダーエントリーシステムの導入は、店舗全体のサービス品質を向上に大きく貢献します。例えば、注文ミスや会計エラーを防ぐことで、顧客が抱えるストレスを軽減できるだけでなく、迅速なサービス提供によって店舗の印象を向上させることができます。
さらに、テーブル据え置き型のシステムを利用すれば、顧客が自分のペースで注文できる利便性が提供され、快適な食事体験を提供できます。
また、スタッフの業務負担を減らすことで、より丁寧な接客や細やかな対応に時間を割くことが可能になります。これにより、顧客一人ひとりに寄り添ったサービスを提供することができ、リピーターの増加にもつながります。
これらの点から、オーダーエントリーシステムの活用は、顧客満足度の向上にとどまらず、店舗のブランド力を高め、競争力を強化するための重要な手段と言えます。
このように、オーダーエントリーシステムの導入は、飲食店運営における様々なメリットをもたらします。これらのメリットを最大限に活用することで、店舗運営の課題を解決しながら、顧客により良い体験を提供することが可能になります。
従来の手書き伝票が抱える5つの問題点
ここまで、オーダーエントリーシステムの数々のメリットを見てきましたが、ここで、従来の手書き伝票の問題点についても触れます。手書き伝票の課題を明らかにすることで、オーダーエントリーシステムの利便性や導入の必要性について理解が深まるはずです。
手書き伝票が抱えている主な問題点として、下記5点が挙げられます。
問題点① 注文に時間がかかる
手書き伝票では、注文をオーダー用紙に記入し、顧客に確認する作業が必要です。この工程には時間がかかり、特に大人数のグループや複雑な注文が重なる場合には、顧客を待たせてしまうリスクがあります。
端末に直接注文を入力できるため、顧客を待たせずスムーズに対応できます。
問題点② キッチンへの伝達にタイムラグがある
記入した伝票を手渡しでキッチンに届ける必要があるため、注文内容がキッチンに届くまでにタイムラグが生じます。この遅れは、特に繁忙期において調理の遅延につながる可能性があります。
注文が端末からキッチンにリアルタイムで送信されるため、タイムラグを解消できます。
問題点③ 聞き取りミスが発生する可能性
手書きの際、スタッフが顧客の注文を聞き間違える、あるいは書き間違えるリスクがあります。例えば、「2」と書くべきところを「1」と記入してしまったり、メニュー名を間違えたりすることがあります。
端末に入力したデータが正確に共有されるため、聞き間違いや書き間違いを防げます。
問題点④ レジ操作時のミス
手書き伝票の情報をレジに入力する際、数字やメニュー名の読み違い、入力漏れなどのミスが発生する可能性があります。
注文情報がPOSレジに自動連携されるため、入力ミスがなくなります。
問題点⑤ 繁忙期に注文対応が追いつかない
繁忙期やピークタイムでは、手書き伝票の場合、注文対応が追いつかないケースがあります。複数のテーブルが同時に注文する場合、スタッフが対応しきれず、顧客に不満を与える可能性があります。
繁忙期でも迅速な注文処理が可能になり、顧客を待たせることがありません。
このように、手書き伝票は一見シンプルな方法に思えますが、多くのリスクと非効率性を抱えています。
しかし、オーダーエントリーシステムを導入することで、これらの課題を解消するだけでなく、店舗全体の業務効率やサービスの質を向上させることが可能です。
もし現在、手書き伝票による運用をされているのであれば、ぜひオーダーエントリーシステムの導入を検討されることをおすすめします。
それでは次に、おすすめのオーダーエントリーシステムを紹介します。
飲食店に導入するオーダーエントリーシステムなら「スマレジ・ウェイター」がおすすめ!
飲食店でオーダーエントリーシステムの導入を検討しているなら、「スマレジ・ウェイター」がおすすめです。
スマレジは、タブレット型のクラウドPOSレジを提供するサービスで、会計業務に必要な様々な機能を備えています。スマートフォンやタブレットに専用アプリをインストールするだけで簡単に導入できるため、省スペースの店舗でも場所をとらず設置が可能です。
さらに、クラウドベースでアップデートが自動的に行われるため、常に最新の状態で利用できる点も特長です。
このスマレジと併用する形で提供されているのが、飲食店向けのオーダーエントリーシステム「スマレジ・ウェイター」です。
スマレジ・ウェイターは、iPadやiPhoneに専用アプリをインストールすることで利用でき、注文内容を簡単に管理できる便利なシステムです。スマレジとスマレジ・ウェイターをあわせて導入することで、情報が一元化され、店舗運営の効率が大幅に向上します。
以下に、スマレジ・ウェイターの4つの特徴を解説します。
特徴① POSレジとの連携が可能
スマレジ・ウェイターはPOSレジと連携することで、注文が入るたびに売上情報が自動更新され、クラウド上でデータを管理できます。これにより、店舗外からでも売上状況をリアルタイムで確認可能です。
また、スマレジが提供している各種料金プランの中でも、飲食店向けの機能が豊富な「フードビジネスプラン」を契約することで、複数店舗の管理や売上分析といった高度な機能も利用できます。
スマレジのPOSレジは使いやすい設計で、初めての方でも簡単に操作可能です。さらに、専門のエキスパートによる万全のサポート体制が用意されているため、安心して導入できます。
特徴② テーブルや注文の状況をリアルタイムで把握可能
スマレジ・ウェイターはクラウド上でテーブル状況を管理しており、リアルタイムで注文やテーブルの稼働状況を確認できます。
例えば、経営者が店舗に不在でも、スマートフォンやタブレットを使って現在の状況を把握できるため、予期せぬ事態にも即座に対応できます。
また、テーブルの稼働状況を見てスタッフが不足していると判断した場合、すぐに追加のスタッフを手配するなどの柔軟な対応が可能です。気になったタイミングで手軽に現状をチェックできる点は、大きなメリットです。
特徴③ オフライン環境でも利用可能
スマレジ・ウェイターは基本的にクラウド上で情報をリアルタイムに更新する仕組みですが、インターネット接続が不安定な場合でも問題なく利用できます。
常時稼働の店舗内サーバーに、注文データを保存する「ウェイターBOX」を設置することで、ネットワーク障害が発生しても注文データをローカルに保存し、サービスを継続することが可能です。
保存された注文データは、インターネットが復旧次第、自動的にクラウドへ同期される仕組みになっています。そのため、オンライン環境が整っていない店舗や、通信トラブルが気になる店舗でも安心して導入できるのが特徴です。
特徴④ 予約管理システムとの連携も可能
スマレジ・ウェイターは、飲食店向け予約管理システム「トレタ」と連携することが可能です。トレタは予約や顧客管理を効率化するシステムで、直感的な操作が可能なため、現場のスタッフでもすぐに使いこなせる設計が特徴です。
トレタと連携することで、予約情報と顧客情報を共有でき、顧客ごとの嗜好や利用履歴に基づいたサービスの提供が可能になります。例えば、過去に特定のメニューを好んだ顧客には、関連する料理を提案するなど、個別対応がしやすくなります。
これにより、予約ミスの防止だけでなく、顧客満足度の向上やリピーターの獲得にもつながる点が大きな魅力です。
飲食店の業務効率化を実現するオーダーエントリーシステム
飲食店の業務効率を向上させるためには、オーダーエントリーシステム(OES)の導入が有効です。オーダエントリーシステムを導入することで、回転率の向上や注文・会計ミスの削減、人件費の削減など、店舗運営における様々な課題を解決することができます。
中でも、スマレジが提供するオーダーエントリーシステム「スマレジ・ウェイター」は、POSシステムと連携でき、飲食店に特化した高度な機能を備えたシステムです。
さらに、予約管理システムの「トレタ」との連携も可能で、予約業務や顧客管理の効率化にも対応します。
業務効率を高め、サービス品質を向上させたいとお考えの飲食店経営者の方は、ぜひスマレジにご相談ください。
利便性と機能性を兼ね備えたスマレジ・ウェイターが、店舗運営を強力にサポートします。