これから店舗運営をお考えなら、数ある飲食店の中でもメリットが多い飲み屋をおすすめします。一般的に、飲み屋を開業する方法は2つありますが、いずれの場合もしっかり準備を行うことが大切です。本記事では、飲み屋を開業するメリットや必要な資金、開業する方法、開業までの流れ、成功するコツについて解説します。飲食店の経営をしたい方は、飲み屋の開業を検討してみてください。
この記事の目次
飲み屋を開業するメリット
飲み屋を開業することで得られるメリットはいくつかあります。特に飲み屋の魅力は以下の3つです。
- 利益率が高い
- 小規模店舗でも成功しやすい
- リピーターで経営を安定しやすい
飲み屋の開業は個人経営でも十分成功するチャンスがあり、飲食店経営初心者にもおすすめです。これらのメリットを参考に、飲み屋の開業を検討してみましょう。
利益率が高い
飲み屋は、利益率の高さが魅力です。メインメニューが飲料なので、原価が安く、利益を確保しやすい傾向があります。一般的な飲食店の利益率が10~15%程度なのに対し、飲み屋の利益率は飲料に関していえば約50%です。
たとえば、ビンビール1本の原価が250円だとすると、一般的に倍の500円程度で販売されるため、販売額の50%が利益になります。当然ながら、原材料費だけでなく、人件費や家賃等のコストがかかるため、売上の50%を利益にすることは困難ですが、少なくとも他の飲食店に比べると利益を確保しやすいでしょう。
小規模店舗でも成功しやすい
飲み屋の場合、小規模店舗でも成功しやすい傾向があります。注文のほとんどが飲料なので、お客様は何杯も注文する傾向があり、他の飲食店に比べると客単価が高くなりがちです。
料理メインの店舗は1度の注文で終わるケースが多く、食事により満腹感を得やすいため、売上を確保するには回転率が必要になります。一方、飲み屋の場合は、同じお客様が繰り返し注文するケースが多く、収容人数が少なく回転率が低くても、ある程度売上が確保できます。
一度収容人数さえ埋まれば、高売上が期待できるため、飲食店経営初心者でも安定した売上を確保できるでしょう。
リピーターで経営を安定しやすい
飲み屋の場合は、リピーターを確保しやすい点も経営初心者にとってメリットです。店舗ごとに特色が出やすく、店内の雰囲気や活気、個性豊かなメニューなど他店との差別化を図りやすい傾向があります。
そのため、店舗ごとにファンが生まれやすく、リピーターにつなげやすくなるのです。客層が一見ばかりであれば、集客が安定しづらく、売上にばらつきが生まれやすくなりますが、リピーターが定着すれば、売上を安定させられます。
飲み屋開業に必要な資金の目安
飲み屋を開業するには、まとまった資金が必要です。一般的には、飲み屋の開業に600万円程度の資金が必要といわれています。具体的には、物件費、広告費、運転資金の3つの項目に資金が必要です。
その中でも、物件費が占める割合は大きく、物件の取得費や内装工事費、設備費に多額の費用が発生します。内装にこだわったり設備が揃っていなかったりすれば、物件費は高くなる可能性が高いです。少しでもコストを抑えたい方には、居抜き物件を利用したり、中古の設備を導入したりすることをおすすめします。
ちなみに、開業して軌道に乗るまでは売上が安定しないため、オープンしてしばらく運営に集中できるように、数カ月分の運転資金を用意しておきましょう。目安としては、開業資金を物件費と運転資金で分けるイメージです。1,000万円程度確保できれば、ある程度余裕を持って資金繰りができるでしょう。
飲み屋を開業する主な方法
飲み屋を開業する方法について説明します。主な手段は以下の2パターンです。
- 個人で店舗を持つ
- フランチャイズで開業する
どちらのパターンにもメリット・デメリットがあります。両者を比較して自分にとってメリットが大きいと感じた方で開業を目指しましょう。
個人で店舗を持つ
個人で店舗を持つ場合、すべて自分の思い描いた店舗を実現できる点が大きなメリットです。店舗のコンセプトからターゲット層、物件の立地、店舗の内外装、メニューなどすべて自由に設定できます。
飲み屋において、他店との差別化が大切で、努力やアイデア次第でいくらでも繁盛させられる点は飲み屋運営の醍醐味です。売上から原価や販売管理費等を差し引いた残りはすべて手元に残せるため、利益率も高い傾向があります。
しかし、開業準備から開業後の運営において、すべて自分で行わなければならないため、業務負担が大きいのが難点です。また、知名度がない状態からスタートするため、開業してすぐに売上が安定させるのは難しいでしょう。
フランチャイズで開業する
フランチャイズで開業する場合は、契約先の会社が開業準備を行うため、準備にかかる負担は大幅に削減されます。スタッフ教育も実施してくれるので、接客経験がない方でも安心して、スタッフ体制を整えられます。
また、知名度が高いことから、開業からすぐに集客が見込めるだけでなく、運営に関するノウハウもそのまま引き継ぐことが可能。これにより、経営初心者でも安定した運営が実現します。
ただし、フランチャイズ契約により、ロイヤリティや加盟料が発生するので、個人で開業するよりも利益率が下がる点がデメリットです。さらに、基本的には本部の方針に従って店舗を運営するため、ある程度の制限が発生します。確実に成功を収めたい方は、多少利益率は落ちますが、フランチャイズ契約を検討しましょう。
飲み屋を開業する基本的な流れ
飲み屋を開業するまでの流れについて説明します。主な段取りは以下のとおりです。
- コンセプトを定める
- 物件を決める
- 開業資金を調達する
- 資格取得や手続きを行う
- メニューを決める
- 必要な設備を用意する
- スタッフの求人募集をする
- 宣伝活動をする
開業を成功させるためには、しっかりと準備することが大切です。オープン日までに何をすべきか、事前に確認しましょう。
コンセプトを定める
まずは、店舗のコンセプトを明確にします。ここで言うコンセプトとは店舗のテーマで、どのような飲み屋にしたいかを決めること。たとえば、活気があって来店すると元気が出るような店や、落ち着きがあって、雰囲気がおしゃれな店のように、店舗運営を具体的にイメージして下さい。
また、店舗のテーマを決めるときに、ターゲット層も具体的に想定しておきましょう。ターゲット層によって店舗の内装やメニューが変わります。店舗完成後のイメージとの乖離を防ぐためにも、コンセプトやターゲット層の設定が大切です。
物件を決める
コンセプトとターゲットをもとに物件を決めます。たとえば、隠れ家的な飲み屋を目指す場合は人通りが少ない場所に、気軽に1杯を楽しんでもらいたい店なら駅前の利便性の高い場所が最適でしょう。
ただ人通りが多ければ良いというわけではなく、コンセプトやターゲット層に沿った場所の選定が大切です。ちなみに、気に入った物件が見つかれば、他に借主が現れる前に、手付金を支払って物件を押さえてください。
また、物件によっては希望通りの工事ができない可能性があるため、できれば施工業者に同行を依頼し、希望の内装工事が可能か否か、判断することをおすすめします。内装に強い思いがある方は、施工業者とスケジュールを合わせて、物件を探しましょう。
開業資金を調達する
物件が決まったら、開業資金を調達します。開業資金に必要な金額のほとんどは、物件取得費と設備費なので、資金調達をする前に、物件を決めることが大切です。開業資金の調達方法は、自己資金と借入の2パターンで上手く組み合わせて資金を調達しましょう。
すべて自己資金で開業する場合は、必要な額まで集めるのに時間がかかります。一方、すべて借入で補う場合は、多額の借金を追うことになります。このため、開業資金の3分の1を自己資金でまかない、残りを融資で補うよう、バランスを考えて資金を調達しましょう。
資格取得や手続きを行う
開業資金の目処が立ち、工事が始まったら、資格取得や手続きを行いましょう。飲み屋を開業するためには、食品衛生責任者と防火管理者の資格を取得する必要があります。
食品衛生責任者は、食品を扱う場合、店舗に必ず1人は必要です。一方、防火管理者は収容人数が30人以上の店舗に1人必要で、収容人数が30人未満は取得する必要はありません。食品衛生責任者は最寄りの保健所、防火管理者は管轄の消防署で取得できます。
また、資格取得に加えて、飲食店営業許可と深夜酒類提供飲食店営業開始届出書の提出をしなければなりません。飲食店営業許可は飲み屋を開業する上で提出は必須ですが、深夜酒類提供飲食店営業開始届出書は、深夜12時以降も営業する場合に提出が義務付けられています。食品営業許可申請は保健所に提出しますが、深夜酒類提供飲食店営業開始届出書は警察署が窓口になっているので注意しましょう。
メニューを決める
資格取得や手続き等をするころになったら、メニューの開発も行います。店舗のコンセプトやターゲット層を意識したメニューを揃えることが大切です。メニューを考える上で押さえておくべき項目は定番メニューと看板メニューの2つで、これらのメニューは集客力を決める要因にもなります。
まず、枝豆や唐揚げなど飲み屋の定番メニューを押さえつつ、お客様に食べてもらいたい店舗オリジナルの看板メニューは充実させておきましょう。また、他にも利益率の高い稼げるメニューを用意しておくのもおすすめで、利益確保のために工夫するのもポイントです。
必要な設備を用意する
厨房設備の他に、必要な設備を用意しておきましょう。たとえば、POSレジやパソコン、固定電話、勤怠管理システムなど、店舗を運営する上で欠かせないものを揃える必要があります。
設備を揃える際は、事前に予算を決め、その予算の範囲に収まる機器を導入しましょう。先に機能性を求めてしまうと金額が跳ね上がり、必要のない出費につながる可能性が高くなります。予算に余裕がない場合は、目的を明確にした上で、必要な設備のみ導入してください。
スマレジでは、飲み屋の業務に対応したPOSレジを提供しています。業務効率をアップさせる便利な機能が揃っているので、POSシステムの導入を検討している方は、お気軽にご相談ください。
スタッフの求人募集をする
オープン日が近づいて来たら、スタッフの求人募集を行います。目安としては、社員は開業の3カ月前、アルバイトは1カ月前には必要な人数を揃えておくのが理想です。ちなみに、1店舗あたりのホールスタッフの適正人数は、「店舗の客席数÷適切なテーブルの数÷4」で計算ができます。
たとえば、店舗の客席数(収容人数)が40人でテーブルが8席の場合、適正人数は『40÷8÷4=1.25』となり、必要なホールスタッフは2人となります。開業前に必要なスタッフ数を確保していなければ店舗が回らなくなり、顧客対応の質が低下することも。アルバイトが週に1回の出勤でも十分回るよう、やや多めに採用しましょう。
宣伝活動をする
最後に開業の宣伝活動をしましょう。宣伝方法はさまざまですが、チラシやSNS、ブログ等で情報を発信し、周知するのが一般的です。フランチャイズ契約の場合は、契約先の会社が率先して行ってくれますが、個人で店舗を持つ場合は、自ら情報を発信しなければなりません。
特にチラシのポスティングは効果が高く、狙ったエリア全般に宣伝活動ができます。チラシ制作会社に依頼すればクオリティの高いチラシができますが、費用が高くなりがちです。広告費を抑えたい方は、手作りチラシのポスティングやtwitterによる情報拡散を活用して、効率良く宣伝活動をしましょう。
飲み屋の開業で成功するコツ
飲み屋の開業で成功するためには、いくつかのコツがあります。特に押さえておくべき注意点は以下の3点です。
- 競合と差別化できるコンセプトを設計する
- 立地にこだわる
- 接客の質を高める
当たり前かもしれませんが、意識するだけで店舗の実績は上がりやすくなります。特に、難しい作業ではないため、開業準備の段階で、できる限り徹底しましょう。
競合と差別化できるコンセプトを設計する
コンセプトを設計する際は、競合店との差別化を意識することもポイントです。数多くの飲み屋がある中で集客を上げるには、お客様に選んで来店してもらう必要があります。そのためにも、お客様に興味を持ってもらわなければなりません。
お客様に興味を持ってもらうには、他店と異なる独自性のアピールが大切です。立地やターゲット層、メニュー、店内の雰囲気、価格帯などの観点で、他店との違い(差別化)をを意識しましょう。
立地にこだわる
コンセプトや予算と合った立地の選定が重要です。立地によって店舗のイメージがガラッと変わります。人通りの多い道路に面していると、活気があってにぎやかな雰囲気が自然と生まれ、人通りの少ないひっそりとした場所にあると、おしゃれで落ち着いた雰囲気が醸し出されるものです。
店舗のイメージを明確なものにするためにも、コンセプトに適した立地を選びましょう。なお、条件がよくなるほど家賃も高くなるので、予算を超えない範囲で探すことが重要です。
接客の質を高める
リピーターを獲得するためには、ファンになってもらう必要があるので、接客の質を高めなくてはなりません。いくら店内の雰囲気がよく、美味しい料理を提供していても、店員の態度が悪ければ、お客様は気分を害します。
たった1つ不満に感じる点ががあると人は、対象に対して、相対的に悪い印象を持ちがちです。特に接客は人を不快にさせる要素が多く含まれているため、あいさつの徹底や迅速な対応は意識しましょう。
飲み屋の開業に向けて準備しよう
飲み屋は利益率が高く、飲食店初心者でも成功を収めやすい業界です。しかし、開業するには資金が必要なので、融資や助成金などを利用して十分な金額を集めるようにしましょう。開業を成功させるには、コンセプトを明確にし、立地や接客の質にこだわるのがポイントです。
なお、飲み屋を開業する上でさまざまな設備が必要ですが、その中でもPOSレジを導入することで、業務効率アップを図れます。スマレジでは飲み屋に特化したクラウド型POSシステムを提供しているので、興味のある方はお気軽にご相談ください。