カフェを開業するには、いくつかの資格を取得し、時間をかけて準備をしなければなりません。未経験での開業はハードルは高いですが、しっかり準備をすれば成功することも十分可能です。
本記事では、最初に未経験でカフェの開業ができるのかについて触れて、中盤にかけて開業に必要な資格や開業の主な流れについて紹介します。最後までチェックして、カフェの開業までの全体像を頭に入れておきましょう。
この記事の目次
未経験でカフェの開業をするには?
未経験でカフェを開業するには、いくつかの方法があります。主な方法は以下の4通りです。
- ゼロから個人でカフェを開業する
- カフェのスクールに通って開業する
- フランチャイズでカフェを開業する
- 社員としてカフェを開業する
いずれにもメリット・デメリットがあるので、どの方法が自分に適しているかを検討してみましょう。
ゼロから個人でカフェを開業する
ゼロから個人でカフェを開業すれば、自由度が極めて高く理想の店舗造りを実現することができます。しかし、未経験の場合には非常にハードルが高い方法だと言えるでしょう。
たとえば、開業までに以下のような準備をする必要があります。
- 店舗の立地探し
- 設備・内装の選択
- 店舗のコンセプト決め
- 営業計画決め
- メニュー決め
- 仕入れ先の決定
- 食器等の確保
経験や知識がなければ、効率よく準備を進めることが難しいので、開業に至るまでに相応の手間と時間がかかる可能性が高いでしょう。
未経験者が一人で全てを自分の判断だけでこなすのは困難なため、基本的には経営コンサルタントやアドバイザー等の有識者からアドバイスをもらいながら準備を進めた方が良いでしょう。
ただし、コンサルタントを雇う際の契約料を用意しなければなりません。そのため、ゼロから個人でカフェの開業は、ある程度金銭や時間に余裕があって、あらゆる面で自分の要望をそのまま実現させたい方に向いている方法と言えます。
カフェのスクールに通って開業する
未経験で足りない知識やスキルを、カフェのスクールに通って補う方法もあります。
カフェの開業に向けて必要な知識や経営の方法等を細かく教えてくれるので、段階を踏んで開業に向けて進むことが可能です。
また、スクールに通うことでカフェの開業を目指す仲間と出会うことができ、開業に向けて切磋琢磨できるというメリットもあります。夜間でも通えるケースが多いので、日中は仕事をしながら学ぶこともできるでしょう。
費用がかかる点はデメリットですが、スクールでカフェの経営に必要なことを体系的に学び、開業前から人脈を広げることで、事業の成功する可能性が高まります。未経験でいきなり開業するのが不安な方は前向きに検討してみましょう。
フランチャイズでカフェを開業する
フランチャイズでカフェを開業する方法も有力です。
既存の企業に加盟店として参加することで商号や商標の使用許可を得られる制度で、大手企業の設備やノウハウを活用することができます。フランチャイズ契約をすると、以下のような支援を受けられる点がメリットです。
- 店舗開発
- 経営ノウハウ
- 商品メニュー
- 物流
- スタッフ研修
- 宣伝
カフェの開業に必要なことは全て契約先の本部が担ってくれるため、未経験でも支障なく開業できるでしょう。ただし、契約先の本部が指揮をとるので、自由度が低い点が挙げられます。店舗のコンセプトや内装等は全て決められることから、自分の意思を直接反映させることは困難です。
また、ロイヤリティが発生するので、独自で開業するよりも利益が減る点も押さえておく必要があります。開業からその後の営業において、充実したサポート体制を求める方や安全に開業したい方は、フランチャイズでの開業も検討してください。
社員としてカフェで働いて開業する
一度、カフェの社員として経験を積んだ後に開業する方法もあります。
雇われ店長や店長代理として店舗運営を経験することで、カフェの営業に関する知識と経験を得られる点がメリットです。社員として働くことで、収入を得ながらカフェの開業に必要な知識を得られます。
ある程度、自分の店のイメージをして、それに近いタイプのカフェでキャリアを積めば、無駄なくノウハウを蓄積できるでしょう。今すぐに独立は検討していないが将来的に自分の店を持ちたい方やある程度経験を積んで開業したい方におすすめです。
カフェの開業に必要な資格
カフェの開業に必要といわれている資格は主に4つあります。
- 食品衛生責任者
- 防火管理者
- 飲食店営業許可申請
- 菓子製造業許可申請
どんな資格なのか、また取得が必要な要件等について説明するので、手続きの際の参考にしてみてください。
食品衛生責任者
食品衛生責任者は、カフェに限らず飲食店を開業する上で必須の資格です。法律で、1店舗につき食品衛生責任者を1人置かなければならないと定められています。
食品衛生責任者を取得するには、保健所等が実施する講習会を受講しなければなりません。
講習会では、衛生法規、公衆衛生学、食品衛生学の3つの科目を6時間かけて学びます。そのため、1日で取得が可能です。ただし、講習会の日程は決められており、事前予約が必要なので、早めにスケジュールを調整して席を確保しておきましょう。
なお、以下の資格取得者は、食品衛生責任者の講習が免除されます。
- 栄養士
- 調理師
- 製菓衛生師
- 食鳥処理衛生管理者
- 畜場法に規定する衛生管理責任者若しくは作業衛生責任者
- 船舶料理士
- 医師・獣医師・歯科医師・薬剤師または、学校教育法に基づく大学で、医学・歯学・薬学・獣医学・畜産学・水産学・農芸化学の課程を修めて卒業した者等
上記に該当しない方は、講習を受けて食品衛生責任者の資格を取得しましょう。
防火管理者
店舗の収容人数が30名以上の場合は、防火管理者の取得も必要です。
食品衛生責任者と同様に、防火責任者講習を受講すれば簡単に取得できます。
防火管理者には乙種と甲種の2種類あり、店舗面積に応じて取得しなければなりません。目安として、店舗の延べ面積が300㎡未満は乙種、300㎡以上は甲種を受講することになるでしょう。
乙種では、防火に関する基礎的な知識や技術を、甲種では防火管理の意義や制度、火気管理、防火管理に係る訓練及び教育について学びます。
乙種は5時間の講習なので1日で取得できますが、甲種は2日にわたって10時間の講習を受けなければなりません。地域ごとに設けられている講習会が異なるため、事前にスケジュールを確認して、開業までに必ず取得しておきましょう。
飲食店営業許可申請
上記の資格以外にも、カフェとして開業する場合は、事前に飲食店営業許可申請を行う必要があります。
カフェは飲食店に分類されるため、飲食店営業許可が下りていなければ、営業することはできません。飲食店営業許可申請は最寄りの保健所に行い、設備に関する規定
をクリアしているか審査してもらいます。
たとえば、厨房内の設備や空調関係、トイレなどの規定が具体的に定められており、全ての規定をクリアしなければ許可が下りません。そのため、内装工事が着工する前に、事前に見取り図等を持参して保健所に相談し、設備に問題がないか確認しておくことが大切です。このとき、設計士等と一緒に保健所を訪ねると意思疎通のずれを防ぐことができます。
なお、申請の際には店舗の見取り図や食品衛生責任者手帳等が必要です。手続きに何が必要なのかも含めて、事前に確認しておきましょう。
ちなみに、喫茶店として開業する場合は飲食店営業許可ではなく、喫茶店営業許可を申請します。カフェと喫茶店は営業区分が異なり、カフェは酒類の提供や調理が可能ですが、喫茶店はどちらも不可となっています。
菓子製造業許可申請
ドリンクの他に菓子やパンのテイクアウトを販売する場合は、菓子製造業許可申請もしなければなりません。
つまり、飲食メニューとは別の商品を店頭で販売する場合は、菓子製造業許可が必要です。保健所から許可なく商品を販売すると営業停止となり、処罰の対象となります。
なお、店舗メニューとして提供する場合は、菓子製造業許可は必要ありません。必要かどうか不明な方は、事前に保健所に相談しておきましょう。
カフェを開業する流れ
カフェを開業する主な流れは以下のとおりです。
- コンセプトを設計する
- 店の場所を決める
- 開業費用を準備する
- 店舗デザインやメニューを決める
- 調理機器や備品を購入する
- 従業員を募集する
- プレオープンを行う
- 宣伝活動をする
- 店をオープンする
項目ごとにやるべきことや押さえておくべきポイントを説明するので、開業準備の参考にしてみてください。
コンセプトを設計する
まずは、カフェのコンセプトを設計します。カフェは店舗数が多く競合店と争う必要があり、独自性がないと生き残ることはできません。
安定した集客を得るためには、独自性を確率して固定ファンを獲得する必要があります。
具体的には、以下の「5W2H」を意識することが大切です。
- Why:なぜカフェの開業するのか
- Who:誰をターゲットにするのか
- What:何を提供するのか
- Where:どこに店舗を構えるのか
- When:どの時間帯で営業するのか
- How:どうやって商品・サービスを提供するのか
- How much:どの価格帯で商品・サービスを提供するのか
どの層をターゲットにするのか定めて、内装やメニューをコンセプトに合わせるようにしましょう。
店の場所を決める
コンセプトをもとに店の立地を決めます。
ターゲット層が来店してもらいやすい場所を探すことが大切です。また、物件の選定も行い、テナントを借りるのか物件を購入するのか決めておきましょう。
ちなみに、物件を探すときは物件取得費用がかかる点に注意しなければなりません。テナントを借りる場合は、家賃だけでなく、補償金や仲介手数料等がかかることがあります。また、契約時に手付金が必要なので、月々の家賃だけでなく、トータルでかかる費用を調べましょう。
開業費用を準備する
立地や物件探しと並行して、開業費用も準備しましょう。
あくまで目安ですが、独立店舗の場合に必要なカフェの開業資金は1,200万円程度といわれています。特に内装工事費と設備費用で500~600万円ほどかかり、運転資金として200~300万円確保しておくのが理想とされています。
基本的には金融機関から融資を受けることになりますが、少しでも借金を抑えるために、少なくとも100万円は頭金として用意しておくことが理想です。また、助成金や補助金を活用することもおすすめします。助成金は厚生労働省が管轄しており、人材育成や処遇改善に取り組めば返済義務なしで給付を受けられます。
補助金は市区町村などの自治体に申請して、要件を満たしている場合に給付を受けることが可能です。必ずしも受けられるわけではありませんが、金銭的な負担を軽減できる可能性があるので、一度担当者に相談してみましょう。
店舗デザインやメニューを決める
コンセプトに合わせて、店舗のデザインやメニューを決めます。
予算と相談しながら、コンセプトに矛盾しないインテリアを検討するのがポイントです。たとえば、若年層向けの店舗にする場合は、明るめの色を使い、華やかな雰囲気にすることが一つのテーマといえます。
また、ターゲット層のニーズに合う価格帯のメニューを選定することも大切です。デザインとメニューに関しては、一つの店舗として統一感が出るようにしましょう。
調理機器や備品を購入する
内装工事の進捗状況を見ながら調理機器や備品の購入もしておきましょう。工事終了からなるべく早く開業できるように、事前に調理に必要な細かい用具やテーブル、椅子、照明などの備品を揃えておく必要があります。
店のコンセプトにもよりますが、カフェのリピーターを増やすためにはネット環境の整備も大切です。スマホの充電や長時間のパソコンの使用に対応できるよう、Wi-Fiや電源タップを設置しておきましょう。
また、レジの導入も必須で、売上管理を簡単に済ませたいならPOSレジの導入がおすすめです。スマレジではカフェで使いやすい機能のPOSシステムを提供しているので、興味のある方はお気軽にご相談ください。
従業員を募集する
開店が近づいてきたら、従業員を募集しましょう。
従業員の研修をしなければならないため、余裕を持ってオープン日の3カ月前あたりから募集活動をすることをおすすめします。社員も募集する場合は、アルバイト研修の前に社員研修を終わらせる必要があるため、4~5カ月前あたりから本格的に募集をかけましょう。
プレオープンを行う
従業員の研修が終わり、店舗が完成したらプレオープンを行うのが理想です。
プレオープンを行うことで、客層や込み具合を把握したり、オペレーションの確認等ができたりするので、オープンに向けて貴重なデータを集められます。
なお、プレオープンでは、不特定多数の一般客を入れるのではなく、主に知人等を招待するのが一般的です。接客等で迷惑をかける可能性があるため、顔が利く人々を相手にした方が大きなトラブルに発展しない可能性が高く、失敗を恐れずにシミュレーションできます。オープン初日に備えて、家族や友人等を招待してオペレーション等を確認しておくことをおすすめします。
宣伝活動をする
オープン日が近くなったら、宣伝活動をします。
ベーシックな方法としてはチラシのポスティングが挙げられますが、最近はTwitterやInstagramなどのSNSも活用するのが主流です。SNSは自分の店のアカウントから発信することはもちろん、ユーザーにその情報をさらに拡散してもらったり、ユーザー自身にも投稿をしてもらえる可能性があります。開店から良いスタートを切るためにも、オープン前からSNSによる宣伝活動も始めておきましょう。
店をオープンする
準備が整ったらお店をオープンしましょう。
開業に向けて念入りに準備を進めていれば、よいスタートダッシュが切れるはずです。来店してくれた顧客に満足してもらえるように、懇切丁寧に対応しましょう。
憧れのカフェ開業にチャレンジしよう
カフェを開業することを決心したら、まずはどのような流れで開業するか決めることが大切です。必要な資格を取得しながら、開業に向けて着々と準備を進めていきましょう。
なお、カフェの営業で必要な売上管理などの事業者業務を簡潔に済ませたい方には、POSレジの導入をおすすめします。
スマレジでは、カフェの営業に便利な機能が多数搭載しているPOSレジを提供しているので、前向きに導入を検討してみてください。