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「お店ラジオ」は、店舗経営にまつわるトークラジオ番組です。小売店や飲食店など各業界で活躍するゲストをお招きし、インタビュー形式でお届けしています。この記事は、InterFMで毎週日曜日にお送りしている「お店ラジオ」で放送された内容を未公開放送分も含めて再編集したものです。
#19 知っているようで知らない・・炭火焼肉たむらオープンまでの道のり
#20 たむけん式フランチャイズ
今回のゲストは、「たむけん」の愛称で親しまれるお笑い芸人であるかたわら、炭火焼肉たむらをはじめとする多数の事業を手がける株式会社田村道場の代表、田村憲司さんです。
「焼肉屋をやっている」ということを知っていても、意外とオープンまでの経緯や、経営に対する考え方は知らないのではないでしょうか。
今回は「お笑い芸人 たむらけんじ」ではなく「経営者 田村憲司」について深掘っていきたいと思います。
田村さんのお話を紹介する第1回は、焼肉屋をオープンするに至った経緯です。そこには意外なドラマがありました。
第2回目は、田村さんの接客へのこだわりと、とある後輩芸人が入ったことによる変革についてでした。
第3回の今回は、フランチャイズに対する考え方と、焼肉以外の事業展開を中心に伺っていきます。
この記事の目次
次にやりたいのは「お手軽フランチャイズ」
今すごくやりたいなと思っているのは、コロナで困っているお店向けにゆるいフランチャイズをやることです。
今後コロナ補助金も止まっていくはずですが、そうなった時にどれほどのお店が耐えられるのかと考えると、しんどいところも多いはずです。
そういうしんどいお店に対して、看板だけうちの名前に変えて、メニューは好きなように取り入れるという形を取れば、原型を残しつつ興味本位で少しはお客さんが集まってきてくれる状況が作り出せると思うんです。もちろん、接客は僕が指導します。
さらに最初にお金を出す必要もないようにするという、お手軽フランチャイズのようなシステムをうまく作ることができたらいいなと思っています。
仕組みを活かすのも人、壊すのも人
ただ、今までやってきたお手軽じゃないバージョンのフランチャイズに関しては、厳選しつつ慎重に進めていくつもりです。
できれば、フランチャイズの経験がある人にやってもらいたいです。やはりフランチャイズ慣れしていると話が早いですし、こちらも勉強になることが多いです。
また、オーナーさんともちゃんと会うようにしていて、任せられる人なのかはきちんと自分の目で判断しています。
個人的には、フランチャイズでガンガン広げるよりも、直営で2,3店舗くらいを経営するのが性に合っているなとは思うんです。こじんまりやっている間に人がめちゃくちゃ育ったらのれん分けのような形で拡大していくというやり方なら安心感があっていいかもしれません。
やはり、どれだけ綺麗な仕組みを作っても、それを活かすのも人だし、壊すのも人なので、人が育っているかが全てだと思います。
新しい大阪土産を作りたい!500円レトルトカレー
実はいろんな飲食店をやっているのですが、その中でも少し特殊なものとして500円のレトルトカレーを販売しています。
これは元々「新しい大阪土産を作りたい!」という気持ちだけで始まったものですが、最初は「500円のレトルトカレーなんて高すぎるだろ」と言われていました。
しかし僕は「でも、キーホルダーだって500円するやん」と思っていました。
大阪に行った友達から「たむけんのとこのカレーあったから買ってきたで、うまいか分からんけど」と言われたら面白いし、美味しいレトルトカレーをもらったら嬉しいはずです。自分のためには買わなくてもお土産としての需要はあるはずだと考えました。
ECで売ったり店舗で売ったり、スーパーに置いてもらったりして、結局累計500万食売れるというとんでもない売れ行きになりました。
他にもローソンさんとコラボしてカップラーメンを出したりもして、これも25万食売れました。実際そんなに利益がでたわけではないですが、ブランド力を上げることには繋がったんじゃないかと思います。
さらにポテトチップスも出しました。パッケージを真っ黒にして、気になって手にとって裏を見ると僕の顔があるという仕掛けをして、話題を狙いにいきました。
このポテチは350円と高めだったのですが、意外と今どきの子は面白がって買ってくれるんです。
いろんな価値観があって、たくさんの人がいる。きっとこの商品を買ってくれる人もいる。
値段が高いのは、大企業のようなスケールメリットがないことで原価が高くなってしまうからです。ただ、作りたいものを作った結果「どうしてもちょっと高めの値段になりそうです」となった時に、それを理由に諦めるのは嫌なんです。
その値段で売ったとしても買ってくれる層がいると思うなら、そのまま出します。
今はいろんな価値観があります。NFTだって無価値だと思う人も入れば、何億円も出す人もいます。
それに、今世界にはとんでもない数の人がいます。飛行機に乗っている時に下を見ると家がびっしりと埋まっていて、それぞれに人がいるんだと想像すると恐ろしいほどです。
これだけたくさんの人がそれぞれの価値観を持っているのなら、この350円のポテチを買ってくれる人もいるんじゃないかなって思えるんです。
お店とは「キャラ」である
僕は焼肉屋を始めるまでは何にも仕事がありませんでした。焼肉屋を始めることによって先輩後輩、同期がいじってくれて、僕に焼肉屋のキャラクターをつけてくれたんです。
これで本業の方も色々させてもらえるようになって、それと一緒にお店も成長していきました。
やっぱり僕にとってお店というのは、大事なキャラクターだったのかなと思います。