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お店ラジオ 2024/03/21 2024/03/26

海外進出、朝食市場の革新 ~既存イメージを覆す経営戦略~

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「お店ラジオ」は、店舗経営にまつわるトークラジオ番組です。小売店や飲食店など各業界で活躍するゲストをお招きし、インタビュー形式でお届けしています。この記事は、InterFMで毎週日曜日にお送りしている「お店ラジオ」で放送された内容を再編集したものです。

今回のゲストは、2015年に沖縄県那覇市内にオープンカウンター6席の人気店「やっぱりステーキ」1号店をオープン、同年に2号店をオープンし、翌2016年には株式会社株式会社ディーズプランニングを設立。以後本格的に県内外に店舗を展開し、現在では日本国内に90店舗以上を展開、さらに2023年からは海外へも進出している株式会社ディーズプランニング 代表取締役 義元大蔵さんです。

沖縄で手軽に楽しめるお店としてやっぱりステーキ1号店を開業後、革新的な価格展開の秘訣や独自の店舗の見つけ方、ミスジ革命によるステーキの価格破壊、ドミナント戦略とフランチャイズ戦略、そして海外進出とやっぱりステーキの次の一手「いつでも朝ごはん」についてなど、3回に分けてお話しいただきます。

第1回は、コンサルタントから焼肉店を始めた理由、独自の価格破壊の戦略についてお送りしました。
第2回は、出店の立地戦略やミスジによる価格破壊、ドミナント・フランチャイズ戦略についてお送りしました。
第3回は、海外進出とオーストラリアでの拡大戦略、次の一手「いつでも朝ごはん」についてお送りします。

 

この記事の目次

 

グローバル仕入れによる飲食業界のイノベーション

私たちは国内外に90店舗以上を展開しており、オーストラリアのシドニーやブリスベンにある店舗では、現地の肉屋と直接交渉を行い、日本市場では一般には出回っていない部位や、通常の仕入れ業者では取り扱わないような部位を、コストを抑えて仕入れることができています。日本国内での仕入れにおいても、様々な部位の知識を活かし、オーストラリア産ビーフを効率的に使用しています。ミスジなどの特殊な部位を見つけ出し、将来的に人気を集める可能性のある部位を取り入れ、幅広い客層を惹きつけています。

 

「やっぱりステーキ」の海外進出:第1号店はネパール

「やっぱりステーキ」は、海外展開にも力を入れています。ビジネスパートナーにネパール人がいることから、海外初の出店地としてネパールを選択し、ネパールに海外第1号店を出店しました。ネパールでは牛肉の消費が一般的ではないため、メニューはヤギ肉、豚肉、鶏肉などに変更しました。それに伴い、ロゴも牛からヤギに変更しました。

さらに、オーストラリアのシドニーとブリスベンにも店舗を開設しています。オーストラリアは高品質なビーフの生産国であり、直接的な供給網を構築することで厳格な品質管理を実現しています。将来的にはオーストラリアで約10店舗の展開を目指しており、店舗数の増加に応じて専用の企画やセントラルキッチンの設置も検討中です。

海外事業では、各地域の文化や食習慣に適応し、現地市場にフィットしたビジネスモデルの構築が求められます。信頼関係の構築と長期的な維持も重要であり、私たちはまずはこの点に注力して取り組んでいます。

 

オーストラリア市場における日本式ステーキハウスのコストパフォーマンス戦略

オーストラリア市場への日本式ステーキハウスの導入は、ステーキの本場であるオーストラリアに逆輸入する試みと言えます。オーストラリアでの私たちの成功戦略は、国内市場での価格競争力を海外にも適用することにあります。

オーストラリアでは労働コストが高く、従業員の平均時給が約25オーストラリアドルです。そして、私たちのステーキハウスは、25オーストラリアドルでステーキを提供しています。これは他のレストランが提供する70オーストラリアドル程度のステーキと比べて非常にリーズナブルです。

オーストラリアにおいてこの価格帯でステーキを提供することは珍しく、結果として多くの顧客に利用されています。特に、お客様はステーキの他にドリンクを追加注文することが多いため、日本市場と比べても平均単価は高めになります。

また、効率的な運営を基本とする当社のビジネスモデルは、労働コストが高く原材料コストが低いオーストラリアの市場に非常に適しています。日本の他の飲食店が多数の従業員を必要とする中、私たちも最初は20名でスタートしましたが、現在ではたった8名で運営しており、これは他の多くの飲食店と比較しても非常に少ない人数です。この効率的な運営モデルが、オーストラリア市場における競争力を高め、明確な勝ち筋を築いています。

 

オーストラリア市場での日本食ブランドの地域適応と展開戦略

今年は、オーストラリアのシドニーとブリスベンに次いで、メルボルンにも新店舗のオープンを予定しています。これにより、1年間にオープンする店舗の合計が4店舗になります。
私たちの戦略は、各主要都市に最初に1店舗を開設し、そこを起点にしてブランド認知度を高め、周辺地域への拡大を目指します。私たちのブランドが地元に定着する前に模倣されることを防ぐため、地域での知名度を一気に高めるため、10店舗まで各都市へ積極的に出店し、その後地域内での店舗数を増やしていく戦略です。

例えば、シドニーでは将来的に6店舗に拡大し、これらの店舗は研修施設としても機能させる予定です。このアプローチは、まず地域ごとにブランドの影響力を確立し、さらに拡大していくための土台を築くためのものです。

また、オーストラリアでの出店にあたり、単に日本のスタイルを輸出するのではなく、現地市場に適応したカスタマイズを施しています。メニューの調整やサイドオーダーの多様化に注力し、日本での唐揚げ店やポテト専門店といったビジネスモデルのノウハウを活用しています。

ステーキのみならず、唐揚げやポテトといったサイドメニューを提供することで、家族連れにも魅力的な選択肢を提供しています。特に子供がいる家庭にとっては多様な選択肢があることが重要です。こうした取り組みにより、海外の顧客からも「自国でも出店したい」というオファーをいただいており、待っていただいている状況です。

 

朝食市場の革新:沖縄発『いつでも朝ごはん』

私たちはステーキを主軸にしながらも、居酒屋や沖縄そば、そして近年は朝食事業に力を入れています。沖縄での「いつでも朝ごはん」事業は、朝食市場の未充足な需要に応え、その拡充を目指しています。当社の店舗はホテル内にもあり、ホテルの朝食サービスを提供しています。特にコロナ禍で朝食サービスが提供できなくなったホテルにおいて、私たちは朝食の提供を担っています。

ホテルの朝食サービスは事前に朝食券を購入する宿泊客の人数を把握できるため、人員配置が容易です。さらに、ホテル宿泊客だけでなく、外部からの顧客にも朝食を提供しており、午前10時から午後2時までの延長営業を行っています。これにより、夜遅くまで飲んだ次の日に遅く起きた人々も朝食を楽しむことができます。

朝7時頃に最も客足が多く、ホテル内の店舗は9時から11時にかけても顧客が訪れますが、ホテル外の店舗はこの時間帯に客数が減少する傾向にあります。「いつでも朝ごはん」では、時間に縛られることなく、柔らかく優しい食事を提供することを目指しています。現在、沖縄で「いつでも朝ごはん」を3店舗経営しており、今後も需要が高まると予測しています。

 

沖縄の朝食市場と『いつでも朝ごはん』

沖縄を訪れる旅行客の多くは3泊から4泊の滞在であり、旅行者は毎日異なる食事を楽しみたいと考えます。しかし、朝食時に営業している店は少なく、ましてや遅起きの顧客にとっては選択肢が限られています。

「いつでも朝ごはん」で遅い時間帯にサービスを提供することで、これらのニーズを満たすことが可能になります。特に観光地では朝食の需要が高く、この成功によりホテルからの関心も高まっており、直接運営を依頼されるケースも増えています。ホテル側は、運営の難しいレストランの家賃を減額することで空室を防ぐことで、朝食ニーズに対応し、予約に与える影響を最小限に抑えたいと考えており、そうしたホテルへ出店することで、低コストで店舗を運営することができます。

大規模な市場ではありませんが、地域全体をカバーすることによりボリュームディスカウントが適用され、競争力が高まりますので、私たちは朝食事業を非常に有望なニッチマーケットと捉えています。

 

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