Powered by

Home お店ラジオ お店とは〜人の心と街を綺麗にするシンボル〜

お店ラジオ 2024/01/16 2024/03/14

お店とは〜人の心と街を綺麗にするシンボル〜

about

「お店ラジオ」は、店舗経営にまつわるトークラジオ番組です。小売店や飲食店など各業界で活躍するゲストをお招きし、インタビュー形式でお届けしています。この記事は、InterFMで毎週日曜日にお送りしている「お店ラジオ」で放送された内容を未公開放送分も含めて再編集したものです。

今回のゲストは、60年前から緩やかに市場規模が拡大している「コインランドリー業界」に着目し、2016年に「Baluko Laundry Place」を運営する株式会社OKULABを創業、数年で全国に200店舗以上のフランチャイズを展開する株式会社OKULAB 代表取締役CEO 久保田 淳さんです。

コインランドリーに着目した経緯から、利用者のニーズの変化とユーザー目線のサービス開発、Balukoのフランチャイズ全国展開、コインランドリーの経営視点からの利益やリスク、立地戦略、今後のコインランドリー業界の展望など、3回に分けてお話しいただきます。

第1回は、緩やかに成長するコインランドリー業界の変遷やユーザー目線のサービスなどについてお送りしました。第2回は、フランチャイズの全国展開と経営視点でのリスクや立地戦略などについてお送りしました。第3回は、ポートフォリオと出店戦略、将来展望と勝ちパターンの立地などについてお送りします。

 

この記事の目次

 

フランチャイズ事業におけるポートフォリオ構築

コインランドリーにおいては、地域の特性が分かれば出店判断できるように感じる方も多いかもしれません。

しかし、実際には、この業界は数百メートル場所が移動しただけでも売上が大きく変わります。道路の通りやすさや自転車の停めやすさ、ちょっとしたストレスの有無によって、利用者数が20%減少することもあるため、非常に繊細なバランスが求められます。

単に20万人の人口を持つ都市であるとか、それに似たマーケットの地域であっても、売上は変わるため、より詳細な分析が必要です。ですから、自分の土地を活用したいという動機での出店は難しい場合が多いです。遊休地などは一般的に人目につきにくく、人通りが少ないため、出店には不向きな場合が多いのです。

しかし、例外的に大成功している事例もあります。北陸のある県で、遊休地を利用しアミューズメント施設と組み合わせ、駐車場を有効活用して大成功した例がありますが、一般的には、自宅近くの余っている駐車場でコインランドリー経営を試みるような土地は、少なくとも我々のロジックには合わない可能性が高いです。

 

コインランドリーと飲食店の融合:新しい業態の可能性と立地の重要性

最近は、コインランドリーに加えて他のサービスを提供する業態が増えています。

例えば、代々木上原にある店舗では、カフェがBalukoに併設されていたり、金沢の店舗ではドーナツブランドがBalukoに併設されていたりします。

実際、飲食店系との組み合わせは最も相性が良いと思われます。以前は、マッサージチェアを導入したり、フィットネス系とのコラボレーションを行ったりしましたが、一番相性が良いのが飲食系だとわかってきました。

そして、コラボレーションを行う場合には、立地が重要な要素になります。例えば、駅前で稼ぎたいカフェにコインランドリーを併設する場合、駅前すぎるとコインランドリーにはお客様があまり来ないため、コラボレーションは難しいです。逆に、駅から少し離れた落ち着ける場所であれば、カフェへのコインランドリーの併設は相性が良いと思います。

新たにある物件を使って出店される方で、広い店舗の一部をコインランドリーにして、その売上を家賃に充てる場合もあります。このアプローチは、固定費の回収を目的とし、本業とは別事業としてコインランドリーを利用するものです。

10坪程度のスペースを使ってカフェ等の事業を始めようとしていたが、30坪や40坪の店舗しか空いていない場合にこの方法を採用し、固定費回収を行うといった方も実際にいらっしゃいます。郊外の場合であれは、1階をコインランドリーにし、2階を店舗にするというのが一般的なパターンかもしれません。

 

コインランドリーにおける勝ちパターンの立地

コインランドリーの立地は、例えば東京であれば、23区の西部あたりが勝ちやすいと思っています。世田谷区、中野区、渋谷区、杉並区、新宿区、豊島区、北区などが挙げられます。

中央区や千代田区は昼間人口が多く、住民が少ないにも関わらず、最も高い売上を記録している店舗もありますが、これらの区では賃料が高いため、ハイリスクハイリターンとなり、失敗時のダメージは大きいと考えられます。

こういった地域別の収益性には、所得水準が一定の影響を与えていると思われますが、東京は他地域に比べて所得が特別高いわけではないと思います。家賃などを考えると、可処分所得の観点からも、上位にはないはずです。

このため、例えば福岡の高級住宅地のような、地方で家賃が安く、かつ高所得層がいる地域は、コインランドリー事業にとって有利な条件がそろっており、勝ち筋があると思われます。

また、私たちのビジネスでは、駅から20分離れた立地でも問題ありません。そのため、無理に好立地の坪単価が高い物件を選択する必要はありません。

駅が徒歩圏内になく、バスを利用するような立地でも適しています。必要なのは路面で電気と水道の利用が可能かどうかです。電気の増強の必要性やガスの種類(都市ガスかプロパンガスか)などは調査します。排水管の接続の容易さや、そもそもの存在もコストに影響を与えます。排水管がない場合は、大掛かりな工事が必要となり、初期コストが高くなります。

 

コインランドリー市場の将来展望

コインランドリー市場はまだ飽和しておらず、今後10年間程度は、まだまだ出店の余地が大いにあると思います。今後、50~60年前の店舗も含め、市場のリプレイス(既存店舗の更新)が進むと考えられます。そんな中でも、新規プレイヤーの出店が年間の既存店舗の退店数を上回っていく見込みですので、今後業界としても活性化していくことが期待されます。

また、既存店舗が売上を上げていくためには、新しいユーザーの獲得が必要です。新しいユーザーの獲得という面でも、現在のコインランドリー利用率は人口比で約5~7%ですが、10~15%までの増加が見込まれ、今後、既存店舗の売上もさらに成長していくだろうと思っています。

また、IoT化されたコインランドリーの需要はまだまだありますし、シェアリングエコノミーの流れにより、大型家電の家庭での必要性は減少すると考えていて、今後は、子供服や女性の下着など日常用の小型洗濯機とコインランドリーの組み合わせが普及すると考えています。我々はIT企業などと連携し、さらに利便性の高いサービスについても導入していきたいと考えて、日々取り組んでいます。

 

私にとってお店とは「人の心と街を綺麗にするシンボル」

私にとって、お店は「人の心と街を綺麗にするシンボル」です。コインランドリーは今後も広がっていくと思っていますし、面倒なことを何かで解決できることは非常に爽快ですので、この思いをお客様に伝え続けることで、事業はさらに拡大していくと考えています。私は、お店を開く以上、街の価値を高めることを目指しています。

執筆 横山 聡

このページの先頭へ