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お店ラジオ 2024/05/16 2024/05/16

“ぼんご“との出会いから生まれたおにぎり屋

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「お店ラジオ」は、店舗経営にまつわるトークラジオ番組です。小売店や飲食店など各業界で活躍するゲストをお招きし、インタビュー形式でお届けしています。この記事は、InterFMで毎週日曜日にお送りしている「お店ラジオ」で放送された内容を再編集したものです。

今回のゲストは、大学卒業後「ほっかほっか亭」のフランチャイズオーナーとして起業、その後、「ほっかほっか亭」がダイエー傘下に入るとダイエーへ入社し、“ミスターほっかほっか亭“と呼ばれる。退社後ゆで太郎の水信社長と出会いをきっかけに、自ら「ゆで太郎システム」を創業し、郊外型ゆで太郎の店舗拡大やもつ次郎との併設など新しいチャレンジを続ける、株式会社ゆで太郎システム 代表取締役 池田智昭さんです。

「ほっかほっか亭」のフランチャイズ店の開業から「ほっかほっか亭」への転職、ゆで太郎水信社長との出会いと、ゆで太郎システムの設立、そして、フランチャイズ展開のためのマニュアルづくりと教育システム。郊外型蕎麦屋の店舗拡大と、革新的なもつ次郎との併設型店舗の展開など3回に分けてお話しいただきます。

今回のゲストは、1996年に脱サラし、裏原宿にスニーカーの並行輸入店「チャプター(CHAPTER)」を開店。独自のアイディアでビジネスを軌道に乗せ、2000年に「アトモス」をオープン。「ナイキ(NIKE)」などとのコラボにより事業を拡大。その後大塚の有名なおにぎり屋「ぼんご」の右近由美子さんとの出会いを機に、会社を売却しおにぎり屋を開業、「ぼんご」の伝統を守りながら新しいおにぎりにチャレンジするおにぎり専門店 まんま オーナー 本明秀文さんです。

「チャプター」「アトモス」開業の経緯と有名ブランドとのコラボやヒットの予兆の見つけ方、共感を得る方法。おにぎり屋を始めたきっかけ、特別な価値による成功の法則、おにぎり屋の拡大と多店舗展開の戦略、新たな食のスタイルを提案するおにぎりなどについて3回に分けてお話しいただきます。

第1回は、スニーカーショップの開業と拡大、ヒットの予兆の見つけ方などについてお送りしました。
第2回は、お店を繁盛させる秘訣や面白いことの大切さ、特別な価値による成功の法則などについてお送りします。

 

この記事の目次

 

地域密着の感性〜お店を繁盛させる秘訣〜

私はお店が上手くいかなくなる理由について考えることがあります。私自身が小売をやっていて思うことは、街の人の常識とかけ離れてしまうと商売は上手くいかないということです。

それでは、商売が上手くいくために、街の人の常識とかけ離れないために何をすれば良いのか。
私はとにかく事務所にはおらず、徹底的に街を歩く人を観察しています。世の中の人がどのようなものを好んでいるのかが分からないと商売はできないと考えていますので、お客さんの好みを理解するにはやはり街に出るしか無いのです。

こうした考え方は、私だけでなく長年お店に立つスタッフも、同様の感覚を身につけていきます。そして、「あれ」と言えば「あれ」が分かる、私とスタッフとの間に、そんな阿吽(あうん)の呼吸が生まれるのです。幸い、私の店にはそうした感性豊かなスタッフがたくさんいました。

会社が成功するか否かは、まさにこうした地域密着の感性を持ったスタッフをどれだけ抱えているかにかかっていると思います。

 

“面白い”が良いチームづくりの秘訣

採用で最も大切にしているのは、一緒にいて楽しいかどうかです。食事の好みのような、一見些細なことが実は重要だと考えています。例えば、寿司が好きな人が、焼肉ばかり食べている人たちの中にいたら、話が合わずに居心地が悪くなってしまいます。共通の話題が増え、コミュニケーションが円滑になることで、チームワークも向上すると考えています。

ですから、私たちの会社では、同じような好みを持つ仲間が集まっていて、食べ物では町中華が好きなスタッフが集まっていました。私は、食生活は性格形成にも影響を与える重要な要素だと考えていて、好みが近い人同士の方が、以心伝心で分かり合える部分が多く、強いチームを作れるのではないかと思っています。

もちろん、採用してみないと分からないことも多いので、まずは広く門戸を開いています。アルバイトから社員になるという流れも、リスクを軽減する有効な手段だと考えています。

一方で、似たようなタイプの人ばかりだと、新しい発想が生まれにくいという懸念もあるかもしれませんが、私たちは特別な才能があるわけではないので、「面白いことをやろう!」という気持ちで働けることが大切です。お金も大切ですが、それ以上に面白さがなければ、生きていても楽しくないと思っています。

例えば、年に一度ラスベガスに行くのですが、ショーは一日だけ見て、あとはイエローストーンなどの国立公園を巡ります。新しい発見や楽しい経験が、チームの原動力になっています。 “次はグランドキャニオンに行こう!”とみんなで目標を共有することで、仕事へのモチベーションも上がります。

 

5面白いことを伝えて共感を得る

20~30年前は、店舗での購入が当たり前だったスニーカーも、今ではインターネットで購入する時代になりました。そんな中、実店舗が生き残るためには、ただ商品を販売するだけでなく、”面白い取り組み” で顧客の共感を得ることが重要だと考えています。

私が成功した要因は、高額なスニーカーを販売するのではなく、1万5千円から2万円程度の、少し背伸びすれば買えるようなスニーカーを“これはいいよ”、“こんな珍しい企画があるんだ”という形で紹介し、販売したことだと思います。それが多くの人々の共感を得たのだと思います。

その後、私は会社を売却することになりました。その時は、お金を得ることができて幸運だと思った反面、同時に、会社を売却するということは、そこで働いている人たちも売るということなのだと気づき、複雑な思いを抱きました。

長く一緒に働いてきた仲間とは仕事がしやすいですし、チームとしてそのような関係は非常に重要です。彼らは単なる労働力ではなく、会社の成長を支えてきた大切な仲間です。良いスタッフがいれば、どんな困難にも立ち向かえます。結局、会社を売るというよりも、人を売ってしまうことになるのだと感じたときは、少し心苦しさを覚えました。

 

“ぼんご“との出会いから生まれたおにぎり屋

友人と大塚の有名なおにぎり専門店「ぼんご」を訪れたことが、私とおにぎりの初めての出会いでした。右近由美子さんが経営する超有名店、「ぼんご」のおにぎりを食べて、私はその美味しさに感動しました。家庭では決して真似できない味だと感じたのです。

その友人は、私の会社にいた男性で、レディースファッション業界で限界を感じていた時期でした。その美味しさに感動した彼は、1年間おにぎりの修行をしようと決意したのです。そして、実際に修行を積み、“おにぎり屋を始める”という夢を実現することになりました。

「ぼんご」の女将さんのご厚意で、私たちは新しいおにぎり屋を「ぼんこ」という名前でスタートしました。そして、お店が成長したら「ぼんこ」に“点”を打って、店名を「ぼんご」にしてもらえることになったのです。

 

おにぎりベンチャーの挑戦

私たちは、おにぎり屋「ぼんこ」を立ち上げおにぎりを販売していましたが、私はもともとスニーカー業界で別注モデルなどを手掛けていたので、おにぎりでも同じように別注モデルを作れば売れるのではないかと考えました。そこで、「呪術廻戦」や「ワールド・ベースボール・クラシック」といった話題のテーマとコラボしたおにぎりを販売すると、ヒットさせることができました。

しかし、ぼんこは新参者でしたから、我々にクレームは来ませんでしたが、“ぼんご”の女将さんのもとには、昔からのファンや暖簾分けをした弟子などから多くのクレームが届いてしまいました。

そこで、女将さんから「レシピをあげるから名前を変えてほしい」と提案され、新たに「まんま」という会社を設立することになりました。そして、まんまで別注のおにぎりを続けることになりました。

以降、私はスニーカー業界のビジネスモデルがおにぎり業界でも通用するのではないかと考えて、様々なチャレンジをしています。例えば、まんまの一番人気である味噌おにぎりをさらに進化させるために、味噌メーカーと交渉し、市場には出回っていない「10年味噌」を使った特別な味噌おにぎりの開発を進めるなど、これまでのおにぎりの概念にとらわれない、新しい具材の開発にも取り組んでいます。

 

特別な価値による成功の法則

スニーカーは、大量生産が可能なため、原価も比較的抑えることができますし、希少価値が高まれば高値で売れます。一方、飲食店、特に多様な食材を使うお店では、価格設定や原価管理が難しくなります。私たちのお店も例外ではなく、原材料費の高騰などにより、最近全品30円値上げを行いました。しかし、それでも、売上は伸びました。

なぜ値上げしても売上が伸びたのか? それは、大塚のぼんごの女将、由美子さんから教わったレシピのように、「家庭ではなかなか作れない特別感」が商品にあるからだと思います。家庭ではなかなか作れない、こだわりの具材や絶妙な握り加減など、特別な価値を感じていただけているのだと思います。

自分では作れない、作ろうと思っても手間がかかるから価値がある。これは、スニーカーとおにぎり、どちらにも共通しているのだと思います。

第2回は、お店を繁盛させる秘訣や面白いことの大切さ、特別な価値による成功の法則などについてお送りしました。
第3回は、多店舗展開と拡大戦略、儲けより笑顔、おにぎり屋で目指す理想の味と新しい形などについてお送りします。

 

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