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お店ラジオ 2024/02/15 2024/03/14

鉄板ナポリタンの復活

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「お店ラジオ」は、店舗経営にまつわるトークラジオ番組です。小売店や飲食店など各業界で活躍するゲストをお招きし、インタビュー形式でお届けしています。この記事は、InterFMで毎週日曜日にお送りしている「お店ラジオ」で放送された内容を再編集したものです。

今回のゲストは、大正12年(1923年)に愛媛県西条市の駅前の食堂として創業し、現在では地元に愛されるお店としてイタリア料理店など5店舗を展開し、ソウルフードである「鉄板ナポリタン」を復活。また、翌日の来客数や1カ月間の来客数、商品の販売数量などを予測するAIを活用した来客数予測システムの導入により、効率的な店舗運営を行い、お客様に「おいしい」と地域への「感謝」や「健やかさ」をお届けする株式会社マルブン代表取締役眞鍋一成さんです。

大正12年(1923年)に創業し、西条市のソウルフード「鉄板ナポリタン」の復活、スマレジやAIによる分析システムなど、店舗DXの導入による徹底した在庫管理やシフト管理など効率的な店舗運営の実践し、さらに、お客様に「おいしい」を届けるという企業理念に共感できる人材を採用することで離職率を改善した手法など、3回に分けてお話しいただきます。

第1回は、大正12年の創業から、「鉄板ナポリタン」の復活戦略についてお送りします。

 

この記事の目次

 

大正12年創業“丸文食堂”

株式会社マルブンは、創業大正12年(1923年)、西日本最高峰・石鎚山を望む愛媛県西条市の駅前に「丸文食堂」として開業しました。現在は地元に根差したローカルレストランを5店舗展開しています。

お店では、安全・安心な地元生産者の食材にこだわったイタリア料理や、食堂時代から親しまれてきたオムライスやナポリタン、ハンバーグなどを提供し、「おいしい」をお届けするとともに、自然豊かな愛媛の地で採れた野菜や特産物を使って、地域の皆様に感謝の気持ちや「健やかさ」をお届けしたいと考えています。

高祖父の眞鍋文吉が愛媛県西条市の駅前で「丸文食堂」を創業したのが始まりで、私は5代目を務めています。当初は食堂で、3代目までは食堂を1店舗のみ経営していました。約30年前、4代目が食堂からイタリア料理のレストランへ業態を変更し、その後、お店は繁盛し、数店舗を増やしてきました。

 

西条市のソウルフード、伝統のナポリタン

西条市の伝統的なソウルフードであるナポリタンは、私たちのお店のメイン料理として提供されています。この料理の特徴は、鉄板の上で焼かれた卵の上にナポリタンが乗せられる点で、伝統的な料理であると同時に、私たちの店独自の進化を遂げたメニューです。

この料理は昔から存在していましたが、私たちはこの料理を西条市と共に掘り起こし、10年の歳月をかけてこれをブランド化し、看板メニューへと育て上げました。

かつてこのナポリタンはほとんど姿を消しかけた時期がありました。一時は絶滅危惧種のような状態でしたが、私自身も学生時代にはこの料理を楽しんだ記憶があります。昔の喫茶店で「スパ」と注文すると、鉄板で焼かれたケチャップ味のスパゲッティが出てきたものです。この懐かしい味が多くの西条市民の心に残り、「西条のソウルフード」として親しまれるようになりました。

西条市の伝統を再発見する過程で、昔懐かしのケチャップ味のスパゲッティが再び注目されるようになりました。このスパゲッティは、昔のナポリタンのレシピに基づいていますが、当時は添加物が多く使われていました。そこで、現代の技術を活用し、添加物を排除して昔のナポリタンを忠実に再現する努力をしました。この10年間の改良を経て、私たちは「駅前ナポリタン」という新たな名前で、改良されたナポリタンを提供しています。

 

「駅前ナポリタン」の進化の軌跡

「駅前ナポリタン」は、当初は「懐かしのナポリタン」として大々的に宣伝されたわけではありませんでした。多くのご年配のお客様が訪れる私たちの店では、このナポリタンは「たまに食べたい」という程度の認知であり、商品の売れ行きや利益貢献度をA、B、Cの3つのカテゴリに分ける分析方法であるABC分析ではBランクの商品でした。

2013年に、カゴメ主催の「ナポリタンスタジアム」というイベントに参加する機会があり、そのイベントが私たちのナポリタンにとって大きな転機となりました。このイベントへの参加を契機に商品を磨き上げたことで、メディアにも「西条のソウルフードB級グルメ、鉄板ナポリタン」として取り上げられるようになりました。この「駅前ナポリタン」を発売してから約8年が経過していました。

当店のナポリタンの一番の特徴は、上に乗せられた大きなフランクフルトソーセージです。これは、愛媛県らしさを出すために自社で開発したもので、中にはみかんジュースを加えています。このユニークなアイデアが注目を集め、全国大会で2位にランクインするほどの評価を受けました。その後、他のお店もみかんジュースを使用したり、ソーセージをトッピングしたりするなどして、「鉄板ナポリタン」としてのスタイルが確立されていきました。

 

行政との協働によるナポリタンの振興

以前から西条市には、ナポリタンの普及のための取り組みを行う「ナポリタンの会」がありました。私たちもこの「ナポリタンの会」の一員として行政と連携し、普及に努めていました。会は、ナポリタンマップやナポリタンシールなどの取り組みを通じて、この地域特有の料理を広める活動を行っていました。

私たちのお店もこの会に加盟していましたので、グランプリで賞を受賞した際にはP R活動の協力を得るなど行政からのバックアップを受けながら、受賞後も積極的なPR活動を続けました。

この取り組みのおかげで、観光シーズンには県外からのお客様が訪れるようになり、地域の名物としての言われるようになりました。しかし、平日は主に地元の方々が訪れるため、地域に根ざした活動も重要視しています。このように行政と協力しながら、ナポリタンの文化を守り育てることは、私たちにとって大変意義深いことだと感じています。

 

第1回は、大正12年の創業から、「鉄板ナポリタン」の復活戦略についてお送りしました。
第2回は、効率的な仕入れ戦略と店舗DXによる来客数、販売数予測についてお送りします。

 

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