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お店ラジオ 2022/10/14 2024/03/14

日本では3万円のメガネが、韓国では3千円!?メガネ事業参入のきっかけは韓国旅行

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「お店ラジオ」は、店舗経営にまつわるトークラジオ番組です。小売店や飲食店など各業界で活躍するゲストをお招きし、インタビュー形式でお届けしています。この記事は、InterFMで毎週日曜日にお送りしている「お店ラジオ」で放送された内容を未公開放送分も含めて再編集したものです。

今回のゲストは国内最大手のメガネブランド「JINS」を手がけるJINSホールティングス代表の田中仁さんです。メガネブランドを立ち上げたきっかけや、不調時にユニクロ柳井さんにかけられた言葉からの復活劇、商売のコツなどについて3回に分けてお送りします。

第一回は田中さんがメガネ事業に目をつけた経緯から、実際に事業をつくっていく上での苦悩についてです。ご自身のメガネ事業の価値は何なのか。それはお客様に理解してもらえているのか。メガネ事業の難しさをどう乗り越えてきたのでしょうか。詳しくお聞きしました。

この記事の目次

  1. 日本では3万円のメガネが、韓国では3千円!?メガネ事業参入のきっかけは韓国旅行
  2. 洋服を買うように気軽にメガネを買えるお店にしたい!
  3. 売上が半分以下になる大ピンチ!自分達の価値を見直す
  4. メガネ業界の大変さを知る。意外にも無知が功を奏した
  5. 商品の信頼性を担保するには、エビデンスを積み上げるしかない
  6. メガネを1人10本持つ世界が来るかもしれない

 

日本では3万円のメガネが、韓国では3千円!?メガネ事業参入のきっかけは韓国旅行

 JINSはメガネのブランドですが、元々はメガネではなく服飾雑貨に関する事業をやっていました。

しかし、円高によって国内生産が難しくなったり、今まで売れていたものが急に売れなくなったりと、事業の不安定さに頭を悩ませていました。

そこで何か次の手を打たなければいけないなとアンテナを立てている時に訪れた韓国で、3000円のメガネに出会ったのです。一緒にいた友人はそのメガネを「安い、安い」と喜んで買っていました。

日本で買おうとすると3万円はするであろうメガネが10分の1の値段で普通に売られていることに衝撃を受け、業界のことを調べてみることにしました。

すると日本ではメガネが市場に出回るまでにたくさんの業者が入っており、それによって余計に値段が高くなっているということがわかりました。ならば自分達で全てをやってみたらどうか、と考えてメガネ事業に参入することにしました。

 

洋服を買うように気軽にメガネを買えるお店にしたい!

当時のメガネ屋さんは、一度入ったら買うまで出してもらえないイメージがあり、妙な緊張感が漂っていました。ならば洋服を買うように気軽にメガネを買えるお店ができたらいいな、と思って一号店を作りました。

一緒に韓国に行った友人が福岡の天神ビブレ一号店の店長だったので、場所を用意してもらいました。福岡は正直遠いなとも思ったのですが、初めから遠方からのマネジメントを経験できると前向きに捉え、福岡からスタートすることになります。

 

売上が半分以下になる大ピンチ!自分達の価値を見直す

その後は若い人をターゲットにして代官山に出店し、続いて神戸、京都、前橋とアクセルを踏んで各地を開拓していきました。特に一号店の福岡は人気で、かなりお客さんがきていました。

しかし、たまたまビブレの親会社が潰れてしまったため売掛金も入ってこないというアクシデントが発生します。さらに近所には似たようなお店もたくさん出てきてしまったこともあり、売上は一気に半分以下になってしまいました。

辞めるのを覚悟するくらい絶望していましたが、競合店をよく観察してみるとJINSとは似て非なるものだということに気がつきました。自分が思い描いていたような「洋服と同じようにメガネをファッション的に買えて、なおかつ接客もリラックスできるようなもの」にはなっていなかったのです。

私たちが価値観を変えることを目標にしていたのに対し、競合店はただ低価格でメガネを提供していただけでした。フレームもお店も、接客している人もダサいという有様だったので、これならば本気でやれば勝てるのではないかと思いました。しかし、本気で取り組めばものすごくお金がかかります。

その時はたまたま雑貨事業がうまくいっていたので、そこから資金を入れてアクセルを踏んでいきました。

 

メガネ業界の大変さを知る。意外にも無知が功を奏した

昔はレンズを仕入れることも一苦労で、「そんな安いメガネ屋さんにうちの高い品質のレンズは卸しません」と断られ続けていました。なので、レンズ工場の開拓も韓国から始めることになります。さらに、そのレンズを仕入れるには輸入許可が必要で、その許可を得るためには理系の大学でいくつか単位を取る必要があったのです。

こうしてレンズを仕入れることに成功しても、メガネを加工したり視力測定器を入手する必要があったりと、とにかくやらなければいけないことが多かったです。だから意外にもメガネ事業は難しく、当時参入した企業はほとんど生き残りませんでした。

この大変さはやり始めてから分かったことで、気づいてからは「恐ろしい世界に入ってしまったな」とかなり参ったことを覚えています。しかし今思うと、業界のことをよく知らなかったことが逆に良かったのではないかと思います。

いろいろな会社をみていて感じますが、計画通りにいくことなどほとんどありませんそれなのにみんな細かく計算をして、一歩踏み出すことを躊躇してしまいます。一歩踏み出すことが何よりも大事なので、無知は一つの武器と言えるのかもしれません。

 

商品の信頼性を担保するには、エビデンスを積み上げるしかない

一番の課題だと感じていたのは「安いから、質も悪いのだろう」と思われることがよくあったということです。これは自分としてはすごく不本意で、価格が安くても信頼してもらうためにはどうすればいいかをものすごく考えました。

そこで辿り着いたのが「しっかりとしたエビデンスを示す」ということです。

各大学病院などと産学連携の契約を結んでいき、たくさんの実験を行っていくことでサイエンスに基づいた信頼を勝ち得ようと考えました。代表的なものがブルーライトに関する研究です。

パソコンに長時間向き合った後の目の痛みについて、連携していた慶應大学医学部の方に尋ねたところ、「おそらくブルーライトが原因で、そのことについて眼科の人たちの中ではなんとなく共通認識になっているけど、本格的な調査が行われたことはない」ということがわかりました。

そこからは臨床試験を含めさまざまな実験を行い、エビデンスを積み重ねていき、最終的に完成したのがブルーライトカットメガネなのです。実は私たちがブルーライトのことを話し始めるまでは、その概念が注目されることはありませんでした。だからiPhoneなどに当たり前のようにブルーライトカット機能が備わっていますが、先んじたのは私たちなのです。

 

メガネを1人10本持つ世界が来るかもしれない

普通、メガネは頻繁に買い換えるものでもないし、リピートをするものでもありません。

ひたすら新しい顧客を見つけなければいけないというのが現状で、それは私たちの業界が「生涯を通して寄り添う」というベネフィットを与えられていないからだと考えています。これには一人一人に寄り添うパーソナライズされたサービスを実現することが必要です。

みなさん、メガネは一人一本買えばそれで十分だと考えています。しかし本当に目のことを考えるのならば昼間に外でかけるメガネ、夕方にかけるメガネ、夜にかけるメガネというのは最適なものが違うのが当然です。パソコンを使うときと運転中ではまた違うでしょう。ゴルフで芝を読みやすいメガネなんかもあります。

とにかくいろんな使い分けが本当はできるのですが、それを私たちがまだしっかりと啓蒙できていないのだろうと思っていて、そこは業界全体でやっていかなくてはいけないことだろうと思っています。

 

今回はここまでです。第一回はJINSの立ち上げ期についてでした。

次回は上場後の大ピンチから奇跡の復活劇についてです。ユニクロ柳井さんの厳しいお言葉が田中さんを奮い立たせます。

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執筆 アキナイラボ 編集部

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