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お店ラジオ 2023/06/23 2024/03/14

定食屋で野菜の供給量コントロールにチャレンジ!?肉野菜炒めで非日常体験を提供する“ベジ郎”

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「お店ラジオ」は、店舗経営にまつわるトークラジオ番組です。小売店や飲食店など各業界で活躍するゲストをお招きし、インタビュー形式でお届けしています。この記事は、InterFMで毎週日曜日にお送りしている「お店ラジオ」で放送された内容を未公開放送分も含めて再編集したものです。

今回のゲストは、コロナ禍でのドライブスルー八百屋や肉野菜炒め専門店「ベジ郎」の出店など、新たな挑戦で野菜業界に革命を起こす株式会社フードサプライ 代表取締役社長 竹川 敦史さんです。
「野菜の最大利用を追求すること」を目標に掲げ、コロナ禍での新しい事業の展開から今後の戦略についてなど、2回に分けてお送りします。

第1回は野菜のフードロス問題に取り組む竹川さんの挑戦と、その挑戦の1つである肉野菜炒め専門店 ベジ郎の立ち上げ背景、メディア・商品戦略についてお送りします。

 

この記事の目次

 

八百屋がドライブスルー!?コロナ禍でのチャレンジについて

株式会社フードサプライは、野菜の卸売事業や「肉野菜炒め ベジ郎」の運営を行っています。

まず、野菜の卸売事業においては、都内の約5,000店舗の飲食店に毎日野菜を配達しています。また、コロナ禍では「ドライブスルー八百屋」という新しいサービスも提供していました。

「ドライブスルー八百屋」とは何かというと、マクドナルドのドライブスルーのようなイメージです。「お客様が車で来店し、袋詰めされた野菜を購入してその場で支払いを済ませて帰る」という形式で、2ヶ月間で約6万人のお客様にご来店いただきました。

 

自分たちで野菜の供給量をコントロールするために新事業を立ち上げる

コロナ禍の飲食店では22時以降の営業制限や、場合によっては完全な休業といった制約があり、当社の売上は約3割まで落ち込んだ時期もありました。

これまで農家さんに対して半年前から納品量を相談していましたが、コロナ禍の飲食店では予定していた量の消費が実現されないため、在庫が余ってしまうという状況が発生していました。

そのような状況において、余った野菜を活用し、コロナ禍でもお客様に野菜を届けられるサービスである「野菜のドライブスルー」を始めました。

しかし、コロナが徐々に収束してくると、このような一時的なサービスは需要が減少すると予想していました。そのため、日常的に野菜を消費できるサービスを提供することの必要性を感じ、自分たちで野菜の供給量をコントロールできる事業を模索して試行錯誤の末に、肉野菜炒め専門店「肉野菜炒め ベジ郎」を立ち上げることにしました。

 

「ありそうでないこと」は大成功する可能性がある!?

肉野菜炒め専門店を立ち上げることについて、私は100%成功すると確信していました。自信を持って流行ると感じ、このアイデアを周囲に提案しましたが、99%の人に流行らないと言って反対されました。

しかし、私は「ありそうでないこと」が実際に流行るというのもドライブスルーで経験しています。

野菜炒めは必ずと言っていいほど、中華料理のレストランのメニューにあると思います。定番のメニューの中には必ず野菜炒めがある一方で、野菜炒めの専門店はありません。これが私が考えていた「ありそうでないこと」であり、成功を確信していた理由です。

 

取引先の協力もあり、食べログのアクセス数 日本一を達成

私は、これまで食品商社や外食チェーンを経験した後に今の会社を設立しており、外食業界については明るいと思っています。また、飲食業界に5,000店舗もの取引先のお客様がいらっしゃるため、そういった方々のご協力を仰ぎながら、メニューを試行錯誤しました。

その結果、一時期には食べログのアクセス数が日本で1番になりました。私のお店は定食屋であり、ホームページも必要ありませんし、予約も必要ありません。それでも日本一のアクセス数を獲得できたことは、多くの人に注目されたことを意味していると実感しました。

私が考えるメディア戦略に置いて重要なポイントは「情報の伝達」です。

SNSやメディアは、飲食業において切っても切り離せない存在であり、どうすればSNSやメディアを通してお客様に情報を効果的に伝えることができるのか、情報伝達速度を上げることができるのかを考えました。

その結果、情報を伝達し拡散していくためには「ストーリー性」と「映え」といった要素が重要で、わかりやすく、伝えやすい情報を意識することで注目されやすくなると考えました。商品開発や業態開発においては、このポイントを非常に重視しています。

 

ストーリー性のある情報発信によってエモーショナルな消費を生み出す

野菜専門店 ベジ郎がオープンした当初は、多くのメディアに取材していただきました。

特にコロナ禍では、飲食店が自粛や営業制限を行っている中で、農家さんが作った野菜が余ってしまうという問題が話題になっていました。

私たちは、野菜の消費を最大化することを目指しているため、その問題に焦点を当て「ストーリー性」を意識して情報を発信しました。

野菜専門店 ベジ郎は、八百屋が飲食店を展開するという新しい形態でした。なぜ八百屋が飲食店を始めたのかといえば、それはコロナ禍で困っている飲食店や農家様を支えようという目的もありました。

結果的に、新規事業の立ち上げに「コロナ」と「八百屋」、そして「飲食店や農家様を支える」というストーリー性を加えることで、メディアにとっても非常に魅力的なトピックになり、注目が高まったのだろうと思います。

私たちとしても、この取り組みを応援しようと思ってくれる方が少しでも増え、エモーショナルな消費につながればいいなと考えていました。

 

肉野菜炒めを特別で非日常的なものに変える商品企画戦略とは?

肉野菜炒め専門店 ベジ郎の肉野菜炒めは、お肉に唐揚げを使用しています。

一般的に野菜炒め専門店というと、健康志向の人々が満足感を得られるヘルシーな食事を求めて訪れるのではないかと思われるでしょう。しかし、唐揚げはそのイメージとは相反するものです。

実際に肉野菜炒め専門店を開業する際には、成功を確信していましたが、商品に魅力やインパクトがなければ流行しないということも理解していました。

そのため、ありふれた商品を特別なものに変える必要があります。一般的な肉野菜炒めの野菜の組み合わせを変えても、あまり味は変わりません。そこで肉を変えると味が変わるという考えに至り、何が一番合うのかを考えました。

外食が流行する要素の1つに、「家庭では再現できないもの」があると思います。
肉野菜炒め専門店では、大量の野菜を使用し、それらを家庭のフライパンでは実現できない強火力を使って炒めています。これも、家庭では再現できないものの1つだと思います。

さらに揚げ物は家庭では手間がかかるため、それを組み合わせることで非日常的な体験を提供することにしました。

肉野菜炒め専門店は、健康志向の女性客が多いイメージを持たれるかもしれませんが、実際に開店してみると多くの40代~50代の男性の方に多くご来店いただきました。

その後、2、3ヶ月経って女性客も増えてきました。ベジ郎は肉抜きや油抜き、ご飯抜きなどのオプションも提供しており、幅広いニーズに対応していることが口コミで広まったのだと思います。

がっつり食べたいお客様と、健康志向の高いお客様の双方に満足していただけることが、幅広く、多くのお客様のご来店につながっていると思います。

 

第1回は、野菜のフードロス問題に取り組む竹川さんの挑戦と、その挑戦の一つである肉野菜炒め専門店 ベジ郎の立ち上げ背景、メディア・商品戦略についてお送りしました。
次回は、野菜の最大利用の追求と取引先の発展を実現するベジ郎のビジネスモデルと、竹川さんの挑戦である「野菜業界の構造改革」についてお送りします。

 

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執筆 横山 聡

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