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お店ラジオ 2023/05/24 2023/05/25

食べ物として楽しむコーヒー!? ブルーボトルコーヒーが考える“消耗しないブランド戦略”とは

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「お店ラジオ」は、店舗経営にまつわるトークラジオ番組です。小売店や飲食店など各業界で活躍するゲストをお招きし、インタビュー形式でお届けしています。この記事は、InterFM・FM大阪で毎週日曜日にお送りしている「お店ラジオ」で放送された内容を未公開放送分も含めて再編集したものです。

今回のゲストは、“体験を売るお店” ブルーボトルコーヒーのストラテジック・ブランド・アドバイザーの井川さんです。

「コーヒーを食べ物として楽しみ、お客様に体験を売る」店づくりについてお送りします。
1回目の今回は、井川さんとブルーボトルコーヒーとの出会いから日本第1号店オープンまでのお話です。

 

この記事の目次

  1. 食べ物として楽しむコーヒー店!?ブルーボトルコーヒーの創業
  2. 流行りものにはさせない。消耗しないブランド戦略とは?
  3. 地域に定着していくPR戦略の徹底。清澄白河の第1号店オープンは予想外の展開に!
  4. 玄人とマス層への提供価値の違い

 

食べ物として楽しむコーヒー店!?ブルーボトルコーヒーの創業

ブルーボトルコーヒーのストラテジック・ブランド・アドバイザーの井川沙紀です。

ブルーボトルコーヒーは2002年にジェームス・フリーマンによってアメリカのオークランドで創業し、2022年で20周年を迎えました

創業者のジェームス・フリーマンは元々コーヒーが大好きな音楽家だったのですが、40歳の時に音楽を辞めて、自分でお店を始めたのがスタートです。サードウェーブと言われる、コーヒー豆を自分たちで買い付けて、見える状態でお客様に届け、消費者と生産者を繋ぐお店です。

サードウェーブという言葉を聞き慣れない方もいらっしゃると思います。例えば、野菜であれば生産者の顔が見えて分かりやすいですが、コーヒー豆は食べ物であるにも関わらず、食べ物として扱われていません。豆、もっというと焙煎されたコーヒー豆の形で届いてしまいますので、生産から加工の過程が全くわからなくなってしまうのです。

果物のようにシーズンや取れる場所によって味が変わったり、産地によって味が違ったりするのに、そういったことがほとんど知られていないのです。

ちなみに、ファーストは個人のコーヒー屋さんで、それをマス化したお店がセカンドウェーブです。例えばスターバックスさんなど、マシーンで作ったり属人化しない形でスケールさせたりすることがセカンドと言われています。サードはそれらのミックス、コーヒーをさらに食べ物として扱いながら流通させていくようなイメージの形態を言います。

 

流行りものにはさせない。消耗しないブランド戦略とは?

私は以前、アメリカのブランドの日本進出を支援する日本のライセンス会社に勤務し、PRを担当していました。

その当時、多くのイベントやPRをやりました。PRの成果で多くの人が来店し行列ができることがありますが、一度行くと疲れてしまい、テーマパーク的な感じになってしまうことがあります。ブランド自体が“流行りもの”として扱われてしまうのです。

特に日本に進出した海外のブランドのなかには、最初は人気があっても縮小や撤退してしまうブランドなどもあり、海外ブランドが継続するかどうかは2年ぐらいでわかると言われていました。そんな中、私はブランドが消耗されていくことに対してもどかしさを感じていました。

その後、私はブルーボトルコーヒーに入社することになります。ブルーボトルコーヒーの魅力の一つは、米国本社の100%子会社であり、直接本国と仕事ができるということでした。以前の会社のようなライセンスの仕事でもグロースさせることはできますが、クライアントとのやり取りが難しい面があります。そのため、ダイレクトに本社とやりとりができる「ブルーボトルコーヒージャパン」に魅力を感じたのです。

 

その当時、創業者のジェームス・フリーマンも1ヶ月に1回のペースで日本に来ていました。あの頃は彼が日本に来て直接指示をしていて、店舗デザインなども彼が最終段階は決定していました。ただ、全世界を見てはいるのですが、会社の方針などビジネスの話を聞いても何も答えてはもらえませんでした。ビジネス感覚はあまり無かったと思います。プロマネの感覚もないですし、おそらくガントチャートも作ったことはないと思います。ですから、本当に行き当たりばったりで、やっておかなければいけないことが抜けていたりすることもありました。

ですから、私はシンプルに「変えたくないことを言ってくれ」と彼にお願いしたのです。すると、「味は変えたくない。レシピも変えたくない」と言われました。

「日本はダークローストで焙煎のものが流行っているし、そういう文化だけども、自分たちのスタイルでここまで大きくなったのだからそれをアジャストしたり変化させたりしたくない。自分たちなりのプロダクトを皆さんにわかってもらいたい」と言われました。

であれば、受け入れてもらえるまでにはすごく時間かかると思います。何故なら、どうしてこのスタイルなのかをお客様に丁寧に説明していかないと認知はされないし、買ってももらえないと、私の意見を伝えました。
そして、出店戦略やメディア戦略もゆっくり出していくことになったのです。やりたくないことを先に言ってもらったということは結構大きかったと思います。

 

地域に定着していくPR戦略の徹底。清澄白河の第1号店オープンは予想外の展開に!

私は、ブランドを消耗させたくない、ブルーボトルコーヒーを一時的な流行で終わらせたくないと思っていましたので、地域に定着していくためのPRや立地戦略を考えました。流行の一部にならずに定着するためには、そうした戦略が必要だと思っています。

私は、最終的には日本の代表になりましたが、入社のときはPRの担当として入社していました。一般的にプロモーションを仕掛ける場合はテレビや雑誌を呼ぶなど、できる限りメディアで露出をすることを狙いますが、それをやることによってブランド自体が消耗することがわかっていました。そのため、第1号店である清澄白河店オープンに際しては、マスコミも10社程度しか取材を受けないことに決めていました。

例えば、テレビの取材については2社までで、そのうち1つはドキュメンタリーのような番組。雑誌や新聞であれば、ビジネスとして扱っていただけるメディアだけ、などお店の思いやコンセプト、ストーリーなどをきちんと書いていただけるところだけ、のようにです。

また、オープン時には「行列は作らない、初日の売り上げも13万円ほど」を目標として設定しました。しかし、PR戦略が逆にミステリアスな印象を与えてしまったためか、オープン時には4時間の行列ができ、売り上げも目標を大幅にクリアする結果になりました。

そもそも、ブルーボトルコーヒーはアメリカでもほとんどプロモーションをしておらず、ナチュラルに口コミで広げていったブランドでした。マーケティングチームもブランドチームもいませんし、PRチームもいませんでしたので、いつも通りオープンしたら、売り上げは13万円くらいだろうという感じだったのです。

結果、売上は想定の10倍強になりましたが、オペレーションは大変でした。商品は2時間で全て売り切れてしまい、翌日用に残しておいた豆を出してその横でも焙煎して、といった状況でした。客層については、コーヒー好きの方が多く、コーヒー業界の人々も多かったですが、最初はインスタグラマーのような方は少なかったように思います。

 

玄人とマス層への提供価値の違い

玄人層にはサードウェーブの哲学的なところに魅力を感じていただけると思いますが、マス層には哲学的な部分はなかなか理解されづらいと思います。それに、当初は「酸っぱくて酸味が強いコーヒー」などのコメントも多く、お客様のニーズと合っていない、飲み物としてもあまり受け入れられていないようにも感じてはいました。

ただ、そういったギャップを補填するポイントとして、可愛いといっていただけるロゴなどのデザイン力、店舗の内装などのデザインなど、コーヒー以外のポイントでインフルエンサー的な人たちがハマっていった感じはありました。でも、その辺りも戦略的に最初から狙っていたわけではなくて、結果的にそうなったという感じです。

 

今回のお話はここまでです。次回は、2店舗目の出店や飲食店PRのコツについて詳しくお聞きしていきます。

 

 

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執筆 麻衣 大西

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