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「お店ラジオ2」は、店舗経営にまつわるトークラジオ番組です。小売店や飲食店など各業界で活躍するゲストをお招きし、インタビュー形式でお届けしています。この記事は、InterFM・FM大阪で毎週日曜日にお送りしている「お店ラジオ2」で放送された内容を再編集したものです。
今回のゲストは、1992年に八百屋「アキダイ」を23歳で創業し、仕入れと販売にこだわる現場主義で店舗を増やし、現在は、ロピアグループの一員として活躍、“生鮮の目利き”としても注目される株式会社アキダイ 代表 秋葉弘道さんです。
八百屋「アキダイ」を創業した経緯、仕入れ・販売への徹底したこだわりと現場主義によって顧客の信頼を獲得し、店舗拡大のプロセス、そして“ファンがつく八百屋”としての販売哲学と仕入れの目利き力について、3回に分けてお送りします。
第1回は、「アキダイ」創業の背景や店名に込めた想い、開業当初の苦悩と転機などについてお送りします。
第2回は、多店舗展開の葛藤や商品の魅力を伝える大切さ、出店で重視する閃きなどについてお送りしました。
第3回は、八百屋は商売の基本やロピアとの連携、PB開発への挑戦、そして“人と人との商売”の未来についてお送りします。
この記事の目次
野菜は「経験」と「感覚」の商売
八百屋という仕事は、一見シンプルに見えますが、実は商売の基本が詰まっています。野菜を育てているわけでもなく、商品を並べているだけに見えるため、簡単な仕事だと誤解されがちですが、実際はまったく違います。魚屋や肉屋のような専門技術はないかもしれませんが、野菜には野菜の「経験と感覚」が必要です。
たとえば、「今はどの産地がいいか」「この時期にいくらで売るか」「今日は値段を下げるべきか」など、すべて現場での判断力が問われます。
スーパーで「肉は美味しいけど野菜はイマイチ」と感じるなら、それは仕入れのセンスの違いです。どの店も一生懸命やっているのは分かっていますが、それでも結果に差が出るのは、仕入れの目利きや判断力の差なのです。
肉はお金を出せば一定の質を確保できますが、野菜はそうはいきません。見極め、交渉、タイミング――すべてが商売の結果に直結します。
八百屋は商売の基本が詰まっている
八百屋という仕事は、商売の基本が詰まっています。野菜を育てているわけでもなく、ただ商品を並べているように見えるため、簡単な仕事だと誤解されがちです。しかし、実際はまったく違います。魚屋や肉屋のような専門技術こそないかもしれませんが、野菜には野菜ならではの「経験」と「感覚」が必要です。
たとえば、「今はどの産地がいいか」「この時期にいくらで売るか」「今日は値段を下げるべきか」といったことは、すべて現場での判断力が問われます。
スーパーで「肉は美味しいけど、野菜はいまひとつ」と感じるとしたら、それは仕入れのセンスの違いです。どの店も一生懸命やっているのはわかっていますが、それでも結果に差が出るのは、仕入れの目利きや判断力の違いなのです。
肉は、お金を出せば一定の品質を確保できますが、野菜はそうはいきません。見極め、交渉、タイミング――そのすべてが、商売の結果に直結しているのです。
信頼で築く仕入れのネットワーク
私は青果の仕入れにおいて、市場との信頼関係を何よりも大切にしています。売り子さんが困っているときには、できる限り力になりたいと思っています。もちろん、こちらも商売ですから無理はできませんが、「困ってるんだ」と言われると、「本当は必要ないんだけどな」と思いながらも、つい気持ちが動いてしまうのです。
お互いに助け合いながら信頼を築くことで、今度はこちらが困ったときに「この前助けてもらったから」と応えてもらえる。これが、仕入れ現場における信頼の積み重ねです。
こうした関係性があるからこそ、私たちは青果に強みを持つことができているのだと思います。そしてそれは、青果に限ったことではありません。肉や魚の部門でも同じことがいえます。取引先と信頼関係を築いてこそ、スーパー全体としての強さにつながるのです。
昔から「生鮮が強いスーパーは最強」と言われていますが、まさにその通りだと実感しています。

ロピアとのご縁と決断の理由
15年前、私は「ロピア」の会長と現社長にお会いする機会がありました。そのときの印象は、「とにかく商人だな」ということ。商売に対する姿勢が自分と似ていて、とても気が合いました。
ロピアは「肉のロピア」と呼ばれるほど肉に強く、私も多くのスーパーを見てきましたが、あれほど強いところは初めてでした。そうしたご縁もあり、2023年2月1日、アキダイはロピアグループの一員となりました。
ただ、誤解されたくないのは、赤字で買収されたわけではないという点です。アキダイは黒字経営を続けており、他社からも複数の声がかかっていました。しかし、最終的に選んだのは、買収金額では一番安かったロピアでした。
それでも決めた理由は、「好きだったから」です。ファミリー的な社風がアキダイに似ており、何より商売と従業員の生活を守りたいという思いがありました。
現在も「今まで通りやってください」と言われており、「アキダイ」のスタイルをそのまま守っています。今はロピアの青果アドバイザーとして、商品開発やPB(プライベートブランド)の立ち上げにも関わっています。
「生産者を支えたい」きのこに込めた想い
私が商品開発で最初に注目したのは、「きのこ」でした。
プライベートブランドを立ち上げるには、品質の安定性が欠かせません。品質にばらつきがあると、ブランドとして成り立ちませんが、その点で、きのこは非常に優秀です。
しかし、きのこは一年を通して安定的に栽培できる一方で、生産者が厳しい現実に直面している食材でもあります。だからこそ、ビジネスとしてだけでなく、「生産者を支えたい」という想いも込めて取り組んでいます。
きのこ栽培の課題は、夏に売れにくく、冬に需要が集中することです。生産者は人員を季節ごとに調整することができず、常に一定の生産体制を維持しなければなりません。
そこで私は、「夏も買います。その代わり、冬は価格を少し抑えてください」と、生産者と直接話し合い、共にやっていく関係を築いています。どれだけ手間をかけても報われない――そんな状況を、少しでも変えたいという思いがあります。
当然、この仕組みでは私たちの利益率が下がる時期もあります。それでも、冬にしっかり利益をいただいているからこそ、夏に還元できる。そうしたバランスも、“商い”の一部だと考えています。
それは、私なりの“ありがとう”の表現でもあります。誠実に向き合ってくれる生産者に対して、感謝の気持ちを行動で返す。商売とは、そうした人と人とのつながりの上に成り立つものだと、私は信じています。
何より大切な“目利きの力“
私が何より大切にしているのは、「いいものを仕入れる」ということ、つまり“目利きの力”です。「アキダイ」という看板を掲げている以上、その名に恥じない商品を提供しなければならないのです。
たとえばトマトひとつにしても、私たちはサイズをきっちり指定して仕入れています。実はこれを徹底している店は少なく、多くの仲卸業者さんにとっては、とにかく数をそろえることだけで精一杯なのです。
陳列にも工夫が必要です。お客様は、まず店の外観――つまり第一印象で入店するかどうかを決めます。多くのスーパーでは店頭に野菜を並べますが、私はまず果物を手前に、その奥に野菜を置くようにしています。
入り口で季節の果物やお買い得品が目に入ると、お客様の「買い物スイッチ」が入ります。そしてその先に野菜があると、「今日はこれが安いから鍋にしよう」「炒め物にしようかな」と、自然に買い物のイメージを連想してもらえるのです。
そして特に意識しているのが「季節感」です。店に一歩入った瞬間、「春が来たな」「もう冬なんだな」と感じてもらえるような空間づくりを心がけています。こうした工夫こそが、“日常に寄り添うお店”のあり方だと、私は思っています。
値引き前提の価格設定はしないという信念
生鮮品は賞味期限が短く、売れ残ればロスになります。だから多くのスーパーでは、あらかじめロスを見越して価格設定をしており、夕方になると値引きシールを貼って対応しています。最初から「ここまで値引いても利益が出る」ように設計されているのです。
でも私は、そうしたやり方がどうしても好きになれません。朝から来てくださる常連のお客様に対して、時間帯で価格が変わるのは不公平だと感じるからです。
「だったら最初から安く出せばいい」と思い、アキダイでは朝からしっかり価格を抑えて販売しています。その代わり、基本は“売り切り”。このスタイルを評価して、朝から足を運んでくださる方も多いのだと思います。
もちろん、お肉やお寿司など、シャリが固くなったり乾燥したりと、どうしてもその日中に売らなければ品質が明らかに落ちるという場合には、値引きをすることもあります。でも、それはあくまで例外であり、「その日中に売り切る」というのが私の基本姿勢です。







