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お店ラジオ 2023/02/08 2024/03/14

数字がよくないお店には、それなりの理由がある

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「お店ラジオ」は、店舗経営にまつわるトークラジオ番組です。小売店や飲食店など各業界で活躍するゲストをお招きし、インタビュー形式でお届けしています。この記事は、InterFMで毎週日曜日にお送りしている「お店ラジオ」で放送された内容を未公開放送分も含めて再編集したものです。

今回のゲストは、40年続く老舗のサンドイッチ専門店を展開する株式会社メルヘン 代表 原田純子さんです。飲食業界の常識に囚われない経営で、圧倒的な地位を築いたその考え方とはどのようなものなのでしょうか。詳しく話を伺っていこうと思います。

1回目は、原田さんがサンドイッチ専門店を始めた経緯と、初期の経営についてです。
2回目は、原価管理はしないという衝撃的な話を中心とする経営の考え方についてです。
3回目は、お客さんを裏切らない商品作りについてです。

この記事の目次

  1. お客様を裏切らない商品作りだけを考えてきた
  2. 現場に立たないからこそ、お客様の立場でお店を見られる
  3. 自分がお客さんだったらしてほしいことを優先する
  4. 数字がよくないお店には、それなりの理由がある
  5. 競合のことは考えない
  6. どこまでを現場に任せるか?
  7. お店とは「夢を持って働ける場所」

 

お客様を裏切らない商品作りだけを考えてきた

もっと稼ごうとか、有名になろうとか、そのあたりのことにあまり関心はありませんでした。

競合他社のことを気にしたこともありません。コンビニを競合と思ったこともないですし、たくさん増えたフルーツサンド屋さんもうちの2、3倍高いのでそこまで気にすることもないと思っています。

とにかくお客様を裏切らない商品づくりのことだけを考えてきました。
売上をもっと上げるとか、店舗数を増やそうということに力を入れるのではなく、とにかくクオリティを上げたかったのです。

海外展開のチャンスもいくらでもあったのですが、パンが違ってしまうなどで同じものは出せないと思いますし、他の企業が海外に挑戦している様子を見るとなんだかうまくいかないような気がしてしまいます。

 

現場に立たないからこそ、お客様の立場でお店を見られる

私は現場に立たないことから、客の立場でお店を見ています。お客さんと並んでお店を観察するので、お客さんの欲しがっているものがよく見えます。そのため、現場がどう動いているかを考えずに「お客さんの立場だったらこうしてほしいけどね」というポイントを見つけることができます。

「その時間にそれはできません」となるのなら、どうしてできないのか考え、実現することを目指してみると良い方向にいったりします。

 

自分がお客さんだったらしてほしいことを優先する

店長がいない時に1人で対応していて、何か判断に迷うことがあったら「会社の得は考えず、自分がお客さんだったらしてほしいこと」をとにかくよく考えて対応するようにと伝えています。その従業員が間違った対応をしたとしても、お客さんに迷惑をかけるつもりはなかったということだけで全然違います。

たとえば量を誤魔化すとか、質を落とすというようなことは一見すると会社のためにはなるかもしれませんが、お客さんのためになりません。そして、そんなお店には行きたいとは思わなくなるので、結局会社のためにもなりません。

とにかくお客さんを裏切らないことが大切なのです。

 

数字がよくないお店には、それなりの理由がある

一応数値目標のようなものはありますが、数字のために行動を起こすと間違えます。「綺麗な商品を作りましょう」「隅まで入っているか確かめましょう」のような基本的なことがきっちりできていれば、それ以外のことは考えなくていいと話しています。

あんまり数字がよくない店舗があった場合は、その店舗に行ってみると大体原因がわかります。

まずその店舗には原因がない場合があります。たとえばパンの催しを隣でやっていてすごく安売りをしているとか、新しいところが近くにできた、のようなことなら右往左往しても仕方がありません。この場合は基本的なことをしっかりとやるだけです。

その店舗に原因がありそうな場合は、私と一緒に従業員にもお客様目線でショーケースを見てもらいます。
すると、たとえば表示と違うものが並んでいたり、手前に並んでいるものが綺麗でなかったり、彩りのメリハリがなかったりと、大抵すぐに原因が見つかります。

パッと見た瞬間に購買意欲がわかないお店というのは、それなりの理由があるのです。

 

競合のことは考えない

フルーツサンドがここ数年ブームになっていると思うのですが、それに関しては特に良いこととも悪いことともあんまり考えていません。

うちが脅かされるようなところは出てこないので、何というお店があるのか名前すら覚えていません。やはりうちよりいい場所にもっといい条件で入ることが難しいのかなと思っています。

うちはすでにとびっきりの場所に出店しているので価格も安定させることができますが、普通はなかなか難しいと思います。

 

どこまでを現場に任せるか?

どこまで現場に任せるかですが、うちでは商品はきっちりと本部で決めて、接客などの現場のことは現場に任せるというスタンスです。味付けや作り方のルールは個人の判断では変えさせません。フランチャイズを入れないのは、この部分が崩れてしまう恐れがあるからです。

ただ、百貨店によって発信する情報が違ったり、それぞれに寄り添った対応をしなくてはいけない時もあるので、それは現場に任せるということです。

 

お店とは「夢を持って働ける場所」

自分としては、知らない間にブランドができ上がったという感覚です。
遠くを見て努力を重ねてきたというものではなく、ひたすらコツコツやってきて、振り返ったら不思議と何かができ上がっていました。

お店は夢を持って働ける場所だと思っています。
そして、私にとっての一番の夢は商品で人を感動させることです。だから、たまにメルヘンの商品を食べて感動している人を見かけると本当に嬉しいです。
もちろん私がいることなんて気がついておらず、ずっと美味しいと言いながら召し上がって、周りの人にもたくさん宣伝している様子を見ると、感動する商品を作ることの大切さを感じます。

口コミのシーンを人為的に作ったり、SNSを駆使したりして大きくしていくよりも、本人が感動するようなものを作るのが結局1番なのかなと思います。

感動して身近な人につい言いたくなってしまうくらいの広がり方が、本物としての質を担保しながら広がっていける最高の塩梅なのかもしれません。

 

 

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執筆 横山 聡

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