補助金や助成金は、国や地方公共団体から支給される返済不要のお金のことで、新規事業の立ち上げや労働環境の改善、ITツールの導入など、様々な目的で利用できます。提供元が定める要件を満たすことで、個人事業主や企業が受給できる制度であり、飲食店の開業時にも活用可能です。
これから飲食店を開業しようとしている方の中にも、対象となる補助金や助成金を探している方も多いのではないでしょうか?
本記事では、以下の飲食店開業時に利用できる代表的な7つの補助金・助成金をご紹介します。
- 小規模事業者持続化補助金
- IT導入補助金2024
- ものづくり補助金
- 事業継承・引継ぎ補助金
- 働き方改革推進助成金
- 雇用調整助成金
- キャリアアップ助成金
これらの補助金は、それぞれ対象となる条件や用途が異なりますが、事業の運営コストを抑える大きな助けとなります。飲食店の開業においては、設備投資や業務効率化、事業の持続性を支援する内容が多く含まれており、適切に活用することで資金面の負担を軽減できます。
本記事では、各制度の特徴や補助内容、申請方法について詳しく解説します。飲食店開業にあたって、ぜひ自店舗に合った制度を見つけるための参考にしてください。
飲食店の開業時に申請できる7つの補助金・助成金
まずは、飲食店開業時に活用できる代表的な補助金や助成金を7つ紹介します。下記の一覧表をご覧ください。
補助金・助成金名称 | 概要 | 最大補助金額・補助率 |
① 小規模事業者持続化補助金(一般型) | 小規模事業者の販路開拓や生産性向上を支援する補助金 | 最大補助金額:200万円 最大補助率:2/3 |
② IT導入補助金2024 | 中小企業・小規模事業者のITツール導入を支援する補助金 | 最大補助金額:3,000万円 最大補助率:4/5 |
③ ものづくり補助金 | 中小企業の革新的なサービス開発や試作品開発、生産プロセスの改善を支援する補助金 | 最大補助金額:8,000万円 最大補助率:2/3 |
④ 事業継承・引継ぎ補助金 | 中小企業・小規模事業者の事業承継やM&Aを支援する補助金 | 最大補助金額:800万円 最大補助率:2/3 |
⑤ 働き方改革推進支援助成金 | 労働時間の短縮や労働環境の改善に取り組む中小企業を支援する助成金 | 最大補助金額:200万円 最大補助率:3/4 |
⑥ 雇用調整助成金 | 経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者の雇用維持を図るための助成金 | 最大補助金額:1人あたり8,355円/日 最大補助率:2/3 |
⑦ キャリアアップ助成金 | 非正規雇用労働者の処遇改善や正社員化を図る事業主を支援する助成金 | 最大補助金額:120万円 |
※上記の情報は、2024年12月時点のものです。各補助金・助成金の詳細や最新情報については、公式サイトをご確認ください。
飲食店開業にあたって利用できる補助金や助成金は、それぞれ特徴が異なり、対象となる事業者や条件が細かく定められていますので、それぞれの内容について、下記に詳しく紹介してまいります。
① 小規模事業者持続化補助金(一般型)
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃金引上げ、インボイス導入等)に対応するため、経営計画を作成し、それに基づいて行う販路開拓などの取り組みや業務効率化の取り組みに要する経費の一部を補助する制度です。
応募対象者・条件
応募対象者は、商工会地域の小規模事業者等であり、具体的には以下の条件を満たす必要があります。
- 商業・サービス業(宿泊・娯楽業除く):常時使用する従業員の数が5人以下
- サービス業のうち宿泊業・娯楽業:常時使用する従業員の数が20人以下
- 製造業その他:常時使用する従業員の数が20人以下
また、資本金または出資金が5億円以上の法人に、直接または間接に100%の株式を保有されていないこと(法人のみ)や、商工会の管轄地域内で事業を営んでいることなどの条件があります。
補助金額・補助率
補助率および補助上限額は、申請する枠によって異なります。
- 通常枠
・補助額:〜50万円
・補助率:2/3 - 賃金引上げ枠
・補助額:〜200万円
・補助率:2/3(赤字事業者については3/4) - 卒業枠
・補助額:〜200万円
・補助率:2/3 - 後継者支援枠
・補助額:200万円
・補助率:2/3 - 創業枠
・補助額:〜200万円
・補助率:2/3
さらに、インボイス特例の要件を満たしている場合は、上記補助上限額に50万円を上乗せすることが可能です。
申請方法
申請には、経営計画を策定し、必要書類を準備する必要があります。商工会がサポートを提供しており、申請書類の提出先や詳細な手続きについては、商工会の指導を受けることが推奨されます。
この補助金は、販路開拓や業務効率化を目指す小規模事業者にとって有効な支援策です。申請前に商工会のサポートを受け、経営計画をしっかりと策定することで、採択の可能性を高めることができます。
詳しくは、下記公式ページをご覧ください。
② IT導入補助金2024
IT導入補助金2024は、中小企業や小規模事業者が業務効率化や生産性向上を目的にITツールを導入する際の費用を補助する制度です。
POSレジやクラウドサービスなど幅広いITツールが対象であり、デジタル化を推進したい事業者にとって心強い支援策です。
応募対象者・条件
対象者は中小企業や小規模事業者(一部の枠は大企業を含む事業者も対象)で、目的別に設けられた枠に応じて、以下の条件を満たす必要があります。
- 通常枠
自社の課題に合ったITツールを導入し、業務効率化や売上向上を目指す中小企業・小規模事業者が対象。 - インボイス枠(インボイス対応類型)
インボイス制度に対応した会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、PC・ハードウェア等を導入し、労働生産性の向上を図る中小企業・小規模事業者が対象。 - インボイス枠(電子取引類型)
中小企業・小規模事業者と受発注の取引を行っている事業者(大企業含む)が対象。発注者がインボイス制度対応のITツール(受発注ソフト)を導入し、受注者である中小企業・小規模事業者に無償でアカウントを供与する場合に、その導入費用の一部を支援。 - セキュリティ対策推進枠
サイバー攻撃の増加に伴うリスクに対処するため、サイバーインシデントに関するリスク低減策を導入する中小企業・小規模事業者が対象。 - 複数社連携IT導入枠
業務上つながりのある「サプライチェーン」や、特定の商圏で事業を営む「商業集積地」に属する複数の中小企業・小規模事業者が連携してITツールを導入し、生産性の向上を図る取り組みを行う場合が対象。
補助金額・補助率
補助率および補助上限額は、申請する枠や事業規模、機能要件によって異なります。
- 通常枠
・補助額:5万円~450万円
・補助率:1/2以内 - インボイス枠(インボイス対応類型)
・補助額:5万円~350万円(ソフトウェア)、10万円(PC等)、20万円(レジ等)
・補助率:4/5以内(小規模事業者)、3/4以内(中小企業)、1/2(ハードウェア) - インボイス枠(電子取引類型)
・補助額:上限350万円
・補助率:2/3以内(中小企業等)、1/2以内(大企業等) - セキュリティ対策推進枠
・補助額:5万円~100万円
・補助率:1/2以内 - 複数社連携IT導入枠
・補助額:50万円~最大3,000万円(グループ全体)
・補助率:4/5以内(小規模事業者)、3/4以内(中小企業)、2/3以内(その他経費)
申請方法
ここでは、大まかな申請の流れを紹介しますので、詳細な手順については公式ページをご確認ください。また、複数社連携IT導入枠については申請フローが一部異なります。
① IT導入支援事業者を選ぶ
導入したいITツールを提供する支援事業者を公式サイトから選定します。
② gBizID(ジー・ビズ・アイディー)プライムアカウントを取得
申請にはgBizIDプライムアカウントが必要です。取得方法は、経済産業省の公式サイトにて詳しく案内されています。
③ 申請書類を作成
支援事業者と連携して、事業計画書や申請書類を準備します。
④ オンライン申請を実施
「申請マイページ」からオンラインで提出します。
⑤ 交付決定後にITツールを導入
交付決定通知を受け取った後、契約・導入・支払いを進めます。
⑥ 事業実施報告を提出
導入完了後、実績報告を行い補助金を受け取ります。
この補助金は、デジタル化を検討している事業者にとって最適な支援策です。また、IT導入支援事業者が書類作成や申請のサポートを行うため、初めて補助金を利用する事業者でも安心して進めることができます。
詳しくは、下記公式ページをご覧ください。
③ ものづくり補助金
ものづくり補助金は、中小企業や小規模事業者が新製品や新サービスの開発、または生産プロセスの改善を行う際に必要な経費の一部を補助する制度です。
特に、デジタル化や脱炭素化への取り組み、インボイス制度対応など、時代に即した設備投資を支援します。
応募対象者・条件
対象者は中小企業や小規模事業者で、以下の要件をすべて満たす3~5年の事業計画の策定が求められます。
- 事業者全体の付加価値額を年平均成長率3%以上増加
- 給与支給総額を年平均成長率1.5%以上増加
- 事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準にする
補助金額・補助率
補助率および補助上限額は、申請する枠や類型によって異なります。
- 省力化(オーダーメイド)枠
・補助額:750万円~8,000万円
・補助率:中小企業1/2、小規模・再生事業者2/3
※補助金額1,500万円までの部分は1/2または2/3、それを超える部分は1/3が適用。 - 製品・サービス高付加価値化枠(通常類型)
・補助額:750万円~1,250万円
・補助率:中小企業1/2、小規模・再生事業者2/3、新型コロナ回復加速化特例2/3 - 製品・サービス高付加価値化枠(成長分野進出類型)
・補助額:1,000万円~2,500万円
・補助率:2/3 - グローバル枠
・補助額:〜3,000万円
・補助率:中小企業1/2、小規模・再生事業者2/3 - 大幅賃上げ特例
・補助額:上記枠に100万円~2,000万円を加算
・補助率:各枠の補助率を適用
申請方法
ものづくり補助金の申請は、電子申請システムを通じて行います。事前にgBizIDプライムアカウントを取得し、事業計画書や必要書類を準備して提出する必要があります。
また、補助申請額が一定規模以上の申請を行う事業者の場合、オンラインにて口頭審査が実施されます。
ものづくり補助金の申請では、具体的で実現可能な事業計画を作成することが採択のポイントとなります。また、申請に必要な書類が多岐に渡るため、商工会や専門家のアドバイスを活用しながら、余裕を持って準備を進めることが大事です。
詳しくは、下記公式ページをご覧ください。
④ 事業継承・引継ぎ補助金
事業継承・引継ぎ補助金は、中小企業や個人事業主が事業承継やM&Aを行う際に必要な費用を支援する制度です。事業の引継ぎに伴う新たな取り組みや、経営の持続性を確保するための投資をサポートします。
応募対象者・条件
補助の対象となる取組内容や経費の種類に応じて、「経営革新枠」「専門家活用枠」「廃業・再チャレンジ枠」の3事業に分かれます。それぞれの対象者と条件は以下の通りです。
- 経営革新枠
事業承継やM&Aを通じて新たな取り組みを計画している中小企業や個人事業主が対象で、承継後に具体的な事業計画を立て、革新性や成長性を備え、継続的な雇用維持が可能であることが条件です。 - 専門家活用事業
M&Aや事業承継において、弁護士や会計士などの専門家を活用する中小企業や個人事業主が対象で、経営改善や事業承継に資する助言・支援を受ける計画があり、それが事業の持続性や成長に寄与することが条件です。 - 廃業・再チャレンジ事業
廃業を経て新たな事業を計画する中小企業や個人事業主が対象で、廃業後に再チャレンジとしての具体的な事業計画があり、従業員対応や債務整理を適切に行っていることが条件です。
補助金額・補助率
補助率および補助上限額は、申請する枠や類型によって異なります。
- 経営革新枠
・補助額:100万円~800万円
・補助率:1/2〜2/3 - 専門家活用事業
・補助額:50万円~600万円
・補助率:2/3〜1/2 - 廃業・再チャレンジ事業
・補助額:50万円~150万円
・補助率:2/3以内
申請方法
まずは、gBizIDプライムアカウントを取得します。事業計画書や必要書類を用意し、経済産業省が運営する電子申請システム「jGrants(ジェイ・グランツ)」により、電子申請を行います。
申請には、事業計画の具体性と実現性が重要なため、専門家の助言を受けながら準備することで、採択率を高めることができます。また、他の補助金と比べて申請締切が短いため、事前準備を徹底することが重要です。
詳しくは、下記公式ページをご覧ください。
⑤ 働き方改革推進支援助成金
働き方改革推進支援助成金は、中小企業や小規模事業者が、働き方改革を推進するための取り組みにかかる費用を支援する制度です。具体的には、労働時間の見直し、年次有給休暇の取得促進、生産性向上に向けた設備導入などが対象となります。
応募対象者・条件
下記要件を満たす、労働者災害補償保険の適用中小企業事業主が対象で、時間外労働の削減や適正な労務管理に向けた取り組みを行うこと、計画的に労働環境を改善するための事業計画を策定することなどが条件となっています。
- 小売業(飲食店を含む)
資本または出資額が5,000万円以下、あるいは常時使用する労働者が50人以下のいずれかを満たす - サービス業
資本または出資額が5,000万円以下、あるいは常時使用する労働者が100人以下のいずれかを満たす - 卸売業
資本または出資額が1億円以下、あるいは常時使用する労働者が100人以下のいずれかを満たす - その他の業種
資本または出資額が3億円以下、あるいは常時使用する労働者が300人以下のいずれかを満たす
助成金額・助成率
取り組み内容や条件によって、助成の上限額と助成率が異なります。
・助成額:〜200万円(取り組みによって異なる)
・助成率:対象経費の3/4(条件によって変動)
申請方法
労働環境の改善に向けた事業計画を作成し、申請書とともに都道府県労働局へ提出します。交付決定後は、提出した計画に沿って取り組みを実施し、労働局に実施状況を報告し、助成金の支給を受ける流れになります。
労働環境の改善は従業員満足度の向上や生産性向上に直結します。計画の策定時には専門家のアドバイスを受けることで、より実効性の高い取り組みが可能です。
詳しくは、下記公式ページをご覧ください。
⑥ 雇用調整助成金
雇用調整助成金は、経済的理由や災害などの影響で業績が悪化し、一時的に労働者を休業させたり教育訓練を行ったりする際に、事業主が支払う休業手当や賃金の一部を補助する制度です。雇用の維持を目的とし、特例措置が設けられる場合もあります。
応募対象者・条件
応募対象者は、雇用保険に加入している事業所の事業主で、直近3ヶ月間の売上高または生産量が前年同期と比べて10%以上減少していること、あるいは直近3ヶ月間の雇用量が前年同期と比べて、中小企業の場合は10%を超えてかつ4人以上、中小企業以外の場合は5%を超えてかつ6人以上増加していないことが主な条件です。
また、労働者の雇用維持を目的とした休業、教育訓練、または出向を行うことなど、いくつかの条件があります。
助成金額・助成率
補助金額は、休業を実施した場合は事業主が支払った休業手当負担額、教育訓練を実施した場合は賃金負担額の相当額に、下記の助成率を乗じた額になります。助成率は、企業規模や教育訓練の実施率によって変動します。
教育訓練実施率 | 企業規模 | 助成率 | 教育訓練加算額 |
1/10未満 | 中小企業 | 1/2 | 1,200円 |
大企業 | 1/4 | ||
1/10以上1/5未満 | 中小企業 | 2/3 | |
大企業 | 1/2 | ||
1/5以上 | 中小企業 | 2/3 | 1,800円 |
大企業 | 1/2 |
また、対象労働者1人あたり8,355円/日が上限となります。
申請方法
まずは、休業計画や教育訓練計画を策定し、雇用調整の計画の内容について計画届を労働局またはハローワークに提出します。提出後は、計画届に基づいて雇用調整
を実施し、雇用調整の実績に基づいて支給申請を行います。
売上減少の要件や助成率などは特例措置により変更されることがあります。最新の要件を確認し、計画的に申請を進めることが重要です。
詳しくは、下記公式ページをご覧ください。
⑦ キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金は、従業員の職業能力向上や働き方改革に取り組む企業を対象に、費用の一部を助成する制度です。この取り組みは、働く人のキャリアアップや企業の競争力向上に寄与するとともに、地域や産業の活性化にもつながります。
応募対象者・条件
キャリアアップ助成金の対象は、雇用保険適用事業所で、キャリアアップ管理者を設置し、対象労働者ごとにキャリアアップ計画を策定・認定を受け、賃金や労働条件に関する書類を整備したうえで、計画期間内にキャリアアップに取り組み、各コースの支給要件を満たしている事業主です。
また、キャリアアップ助成金には、以下のコースが用意されています。
- 正社員化コース
- 障害者正社員化コース
- 賃金規定等改定コース
- 賃金規定等共通化コース
- 賞与・退職金制度導入コース
- 社会保険適用時処遇改善コース
応募条件はコースによって異なりますので、公式ページにてご確認ください。
助成金額
助成金額は、申請するコースや条件によって異なります。
- 正社員化コース
・有期雇用者を正社員化:大企業60万円、中小企業80万円
・無期雇用者を正社員化:大企業30万円、中小企業40万円 - 障害者正社員化コース
・重度身体障害者、重度知的障害者および精神障害者:45万円〜120万円(企業規模や措置内容によって変動)
・重度以外の身体障害者、重度以外の知的障害者、発達障害者、難病患者、高次脳機能障害と診断された者:33万円〜90万円(企業規模や措置内容によって変動) - 賃金規定等改定コース
・賃金増額率3%以上5%未満:大企業3万3,000円、中小企業5万円
・賃金増額率5%以上:大企業4万3,000円、中小企業6万5,000円 - 賃金規定等共通化コース
・大企業:45万円
・中小企業:60万円 - 賞与・退職金制度導入コース
・賞与または退職金制度を導入:大企業30万円、中小企業40万円
・賞与および退職金制度を同時に導入:大企業42万6,000円、中小企業56万8,000円 - 社会保険適用時処遇改善コース
・手当等支給メニュー:大企業7万5,000円〜30万円、中小企業10万円〜40万円(取り組み期間によって変動)
・労働時間延長メニュー:大企業22万5,000円、中小企業30万円
申請方法
支給申請は、事業所の所在地を管轄する都道府県労働局またはハローワークに、キャリアアップ計画や支給申請書類を各コースの実施日の前日までに提出することで行います。
申請は窓口への持参、郵送、または電子申請で受け付けており、支給申請期間内に必要書類をすべて提出する必要があります。
助成金の対象となる取り組みの計画と実施内容を具体的に明記し、書類の不備がないように準備することが重要です。
詳しくは、下記公式ページをご覧ください。
東京都内限定の3つの補助金
ここまで、全国の企業を対象とした補助金について紹介してまいりましたが、都道府県による補助金や助成金もあります。ここでは、東京都内に限定して3つの補助金・助成金を紹介します。
補助金・助成金名称 | 概要 | 最大補助金額・補助率 |
① 創業助成事業 | 東京都内で創業する個人・法人を対象に、創業初期の経費を補助 | 最大補助金額:400万円 最大補助率:2/3 |
② 若手・女性リーダー応援プログラム助成事業 | 東京都内の商店街で開業または事業承継を行う若手や女性を支援する助成金 | 最大補助金額:844万円 最大補助率:3/4 |
③ 商店街起業・承継支援事業 | 東京都内の商店街で新規開業や事業承継を行う個人・法人を支援 | 最大補助金額:694万円 最大補助率:2/3 |
※上記の情報は、2024年12月時点のものです。各補助金・助成金の詳細や最新情報については、公式サイトをご確認ください。
以下に、ひとつずつ詳しく解説してまいります。
都内限定① 創業助成事業
創業助成事業は、東京都内の開業率向上を目的に、創業希望者や創業間もない事業者を支援する制度です。都内の産業活力を高めるための事業計画に対し、創業初期に必要な賃借料、広告費、従業員人件費などの経費の一部を補助します。
応募対象者・条件
都内での創業を具体的に計画している個人、または創業後5年未満の中小企業事業者などのうち、一定の条件を満たす方が対象です。詳しい条件については、公式ページをご覧ください。
助成金額・助成率
助成金額は、事業費、人件費、委託費など対象となる経費によって異なります。
・助成額:100万円〜400万円(対象経費によって変動)
・助成率:2/3以内
申請方法
申請方法は、郵送による申請か電子申請のいずれかになります。電子申請の場合は「jGrants」により、申請を行います。提出された申請書をもとに書類審査および面接審査を実施し、採択結果が通知されます。
詳しくは、下記公式ページをご覧ください。
都内限定② 若手・女性リーダー応援プログラム助成事業
若手・女性リーダー応援プログラム助成事業は、個人の開業支援に特化した助成金です。東京都内の商店街での活性化を目指し、女性や若手の積極的な起業を促進することを目的としています。
応募対象者・条件
東京都内の商店街で新規に実店舗を開設する女性、または年度末時点で39歳以下の男性が対象となっており、条件は、都内外を問わず申請時点で実店舗を持っていないことと、独創的な事業プランを持ち、商店街活性化に意欲的であることです。
助成金額・助成率
助成金額は、事業所整備費と店舗賃借料で異なります。
- 事業所整備費
・助成額:~400万円
・助成率:3/4以内 - 店舗賃借料
・助成額:1年目〜180万円、2年目〜144万円、3年目〜120万円
・助成率:3/4以内
申請方法
申請方法は、ひとつ前の「創業助成事業」と同様で、郵送か「jGrants」による電子申請で行い、書類審査および面接審査を実施し、採択結果が通知されます。
詳しくは、下記公式ページをご覧ください。
都内限定③ 商店街起業・承継支援事業
商店街起業・承継支援事業助成金は、東京都内の商店街で新規開業や事業承継を支援する助成金です。商店街の活性化や、多様な事業の継続・発展を目指して設けられた制度で、新たな事業の立ち上げだけでなく、既存事業の承継にも活用できます。
応募対象者・条件
個人、法人を問わず、東京都内の商店街で新規に実店舗を開設する方や、既存事業を引き継ぐ方が対象となっており、申請者もしくは事業担当者が店舗事業に専念できることが条件です。
助成金額・助成率
助成金額は、事業所整備費と店舗賃借料で異なります。
- 事業所整備費
・助成額:~250万円
・助成率:2/3以内 - 店舗賃借料
・助成額:1年目〜180万円、2年目〜144万円、3年目〜120万円
・助成率:2/3以内
申請方法
ひとつ前の「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」と同様に、郵送か「jGrants」による電子申請で行い、書類審査および面接審査を実施し、採択結果が通知されます。
詳しくは、下記公式ページをご覧ください。
補助金や助成金は、飲食店を開業する際の初期費用を抑え、事業を軌道に乗せるための強力なサポートとなります。
では、補助金や助成金を活用しない場合、どのような方法で飲食店を開業することができるのか、その具体的な方法について次項で解説します。
補助金の活用以外で飲食店を開業する方法は「銀行融資」や「出資」
ここでは、飲食店開業のための資金調達の手段として、補助金・助成金以外の方法を挙げ、比較してみました。下記の表をご覧ください。ここでは「銀行融資」「出資」と比較します。
銀行融資 | 出資 | 補助金・助成金 | |
メリット | 金利が安い | 返済の必要がなく、自由に使える | 資金を返済する義務がなく、特定の条件で利用可能 |
デメリット | 審査の手間や時間がかかる | ・事業計画の透明性が求められ、信頼を得る必要がある ・増資を得るのが難しい |
・対象条件や用途が限定される ・金銭は後払いとなる |
手数料・金利 | 安い(金利) | 無し | 無し |
審査期間(交渉期間) | 長い | 比較的短い | 期間が一定で公募制が多い |
担保・保証人 | 必要な場合が多い | 不要な場合が多い | 不要 |
返済の義務 | 借り入れのため返済が必要 | 無し | 無し |
飲食店の開業には資金調達が欠かせませんが、「銀行融資」「出資」「補助金・助成金」の各方法には、それぞれメリットとデメリットがあります。
銀行融資は金利が低く安定した資金調達が可能ですが、審査に時間がかかり、担保や保証人が必要な場合が多い点がハードルです。一方、出資は返済義務がなく資金を柔軟に活用できるものの、事業計画の透明性や信頼構築が求められます。
補助金・助成金は、金利や担保などが必要なく、返済義務もない点が最大の魅力です。また、対象や条件が異なる補助金を併用できる場合があるため、資金調達の幅が広がるのも大きなメリットといえます。
例えば、創業支援の補助金と特定の事業目的に合わせた助成金を組み合わせることで、店舗改装費や広告費、人件費まで幅広くカバーすることが可能です。
ただし、対象条件や用途が限定されることや、後払いである点がデメリットとして挙げられます。
補助金や助成金は、飲食店のように設備投資が多く、初期段階の資金繰りが大変な事業において非常に有効な選択肢といえます。特に、自己資金が限られている方には、銀行融資や出資と併用することで、安定したスタートを切る助けとなるでしょう。
もちろん、いずれの制度も細かい条件が指定されているため、採択される可能性を見極めることも重要です。しかし、適切に準備を整えた上で申請してみる価値は十分にあります。
補助金を活用して負担を軽減しよう
飲食店が利用できる補助金や助成金には多くの種類があり、自店舗が対象となる制度をぜひ探してみましょう。これらの補助金は原則として後払いで支給されるため、開業資金として直接使うことはできませんが、導入費用や運営コストを大幅に削減できる可能性があります。
特に飲食店では、売上管理や分析、キャッシュレス対応など、業務効率化を実現できるPOSレジの導入がおすすめです。POSレジの導入が対象となる助成金や補助金もあり、これらを活用することで、初期の負担を抑えながら効率的な店舗運営を実現できます。
「スマレジ」は初期費用0円で導入でき、セルフオーダーやデリバリー・テイクアウト対応など、飲食店に必要な便利な機能を多く備えています。助成金を上手に活用して、店舗運営の効率化を目指してみてはいかがでしょうか?
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