飲食店を経営している場合、税金を納めるために確定申告をしなければなりません。お店を始めたばかりの人や、これから飲食店をオープンしようと考えている人は、飲食店の確定申告について気になる点が多いでしょう。
本記事では、飲食店の確定申告のやり方を分かりやすく解説します。飲食店の確定申告をするうえで知っておきたいポイントも紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。
この記事の目次
確定申告を行う時の流れ
確定申告では、以下の書類を提出しなければなりません。
- 確定申告書
- 収支内訳書もしくは青色申告決算書
- 控除に関連する書類や寄付金受領証明書(必要に応じて)
上記の書類を用意し、税務署に提出するのが確定申告の主な流れです。以下では、具体的にどのような手順で確定申告を進めていくのか解説します。
①必要な書類を準備する
まず、1年間の収支がわかる書類を準備しましょう。具体的には、以下のような書類が必要です。
- 日々の収入・支出を記入した帳簿
- 材料の仕入れや光熱費などの領収書
これらの書類をもとに、税務署に提出する以下の書類を作成します。
- 確定申告書
- 収支内訳書もしくは青色申告決算書
確定申告には白色申告と青色申告の2種類の形式があり、提出する書類や控除額などが異なります。白色申告は特別控除額が10万円で、帳簿は比較的簡単な単式簿記形式です。一方青色申告は、複雑な複式簿記形式の帳簿が必要ですが、最大65万円の特別控除が受けられます。
白色申告の場合は収支内訳書、青色申告の場合は青色申告決算書が必要です。どの形式で申告するのかを決めて、それぞれ必要な書類を準備しましょう。
②所得、課税所得、所得税額を計算する
収支を記録した帳簿や領収書から、所得・課税所得・所得税額を計算します。
所得とは売上から経費を引いたもので、飲食店の場合は材料費や店舗の家賃、光熱費や広告費などが経費となります。
課税所得は、所得から控除の金額を引いたものです。医療費控除や社会保険料控除、寄附金控除など、所得控除にはいくつかの種類があります。また、白色申告では10万円、青色申告では最大65万円の特別控除も受けられます。
所得税額は、課税所得に税率をかけたものです。所得税率は課税所得の金額によって定められていて、所得税額から控除される金額も決まっています。例えば、課税所得が700万円の場合は税率が23%、控除額が63万6,000円なので、所得税額は以下のように求められます。
7,000,000×0.23-636,000=974,000円
課税所得ごとの所得税率は国税庁サイトに記載されているので、それぞれの課税所得に応じて所得税額を算出しましょう。
③確定申告を税務署に提出する
所得・課税所得・所得税額を算出したら、確定申告書に記載して税務署に提出します。確定申告は毎年期間が決まっているので、必ず期限内に提出しましょう。
確定申告の提出方法として、以下があります。
- 税務署に持参する
- 郵送で提出する
- e-taxで申告する
確定申告期間の税務署は混み合うので、直接税務署に行く必要がない郵送やe-taxがおすすめです。特にe-taxは自宅からパソコンやスマホで提出できるので手軽で、青色申告の場合はe-taxで提出することで控除額が最大の65万円になるというメリットもあります。
④納税をする
確定申告を終えたら、納税をします。税務署から通知書などが届くわけではないので、確定申告後に各自で忘れず納税しなければなりません。
納税方法として用意されているのは、以下です。
- ダイレクト納付
- インターネットバンキング等
- クレジットカード納付
- コンビニ納付
- 振替納税
- 窓口納付
上記の中から、都合のよい方法を選んで納税します。ダイレクト納付などの自宅から納税できる方法を選ぶと、コンビニや金融機関に行く必要がなく便利です。
飲食店が正しく確定申告を行うために知っておきたい5つのこと
飲食店が正しく確定申告を行うために、次の5つのことを理解しておきましょう。
- 白色申告と青色申告の違いを理解する
- スムーズに確定申告を行うためにも日頃の管理が大切
- 自分で確定申告を行う場合はアプリやソフトの活用がおすすめ
- 落とせる経費や項目を把握しておく
- 新型コロナウイルス感染症に関連する給付金や協力金も課税対象
それぞれのポイントについて、以下で詳しくみていきましょう。
白色申告と青色申告の違いを理解する
先述のとおり確定申告には白色申告と青色申告の2種類があり、どちらで申告するかによって帳簿の形式や控除額が変わってきます。まずはどちらで申告するか決めるために、白色申告と青色申告の違いを理解しておきましょう。
白色申告は単式簿記といわれる簡易的な記帳方法でよく、申告のための事前申請も必要ありません。一方青色申告は、複式簿記といわれる複雑な記帳方法で帳簿を作成する必要があり、青色申告を行うには税務署に事前申請しなければなりません。
青色申告は最大65万円の特別控除や3年間の赤字繰越などメリットもありますが、不慣れな人は白色申告を選ぶのがおすすめです。
スムーズに確定申告を行うためにも日頃の管理が大切
確定申告は1年分の収支を計算しなければならないため、日頃の管理が大切です。確定申告前にまとめて記帳するのは大変ですし、日々の売上や支出を把握しておくことは飲食店を経営するうえでも重要です。
日頃から収支をしっかり記帳しておけば、所得や課税所得の算出も楽に行なえます。お金の流れを把握できる帳簿を日頃から作成しておき、確定申告に備えましょう。
自分で確定申告を行う場合はアプリやソフトの活用がおすすめ
確定申告を行うためのアプリやソフトはたくさん提供されており、データを入力するだけで確定申告書の作成からe-taxでの提出まで行えるものもあります。自分で確定申告を行う場合は、便利なアプリやソフトを活用しましょう。
飲食店の場合は、POSレジと連携できる会計ソフトが特に便利です。レジで会計した売上が自動で会計ソフトに連携されるので、売上データを会計ソフトに入力する手間が省けます。業務負担が減らせて入力ミスも防げるので、店舗でPOSレジを使っているなら連携できる会計ソフトがあるかチェックしてみましょう。
落とせる経費や項目を把握しておく
所得税額は課税所得によって決まるので、経費として計上できるものが多ければそれだけ税額も抑えられます。節税のために、飲食店で経費として計上できるものをしっかり把握しておきましょう。
例えば、以下のような項目は経費にできます。
- 材料費
- 人件費
- 水道光熱費
- 店舗の家賃
- 有線放送の受信料
- チラシやサイトの作成費
- 割り箸やストローなどの消耗品
- 事業税
- 建物や機材の修繕費 など
店舗運営のための支出は基本的にすべて経費になるので、計上していない項目がないか確認してみてください。
新型コロナウイルス感染症に関連する給付金や協力金も課税対象
飲食店は新型コロナウイルス感染症の流行による事業への影響が大きく、給付金や協力金を受け取った人も多いのではないでしょうか。その場合、給付金や協力金は課税対象のものが多い点に注意してください。
確定申告の際に所得を計算するための「収入」は、通常の売上だけでなく給付金・協力金を含めた金額となります。ただし、特例貸付や一部の給付金は非課税となっているため、受け取ったお金が課税対象かどうか、確定申告時にしっかり確認しましょう。
個人事業主の飲食店も確定申告は必要!やり方をしっかり理解しておこう
法人でも個人事業主でも、飲食店を経営している場合は確定申告が必要です。必要な書類や手続きの流れを理解し、期限内に余裕を持って確定申告を完了できるように対応しましょう。
確定申告の手間を軽減するには、POSレジと会計ソフトの連携がおすすめです。タブレット型POSレジの「スマレジ」は会計ソフト「freee」と連携が可能で、1日の締め作業や確定申告を簡単に完了できるようになります。毎日の記帳や確定申告を効率化したい人は、ぜひスマレジを活用してみてください。