店舗開業にはさまざまな準備があり、その負担は決して小さくありません。そのため、開業準備について事前に知っておくとやるべきことを整理でき、身体的負担と精神的負担のどちらも軽減されるでしょう。
この記事では開業準備の4つのステップと、開業準備に欠かせないものリストを紹介しています。開業を目指している方はぜひ参考にしてみてください。
この記事の目次
開業準備の4つのステップ
それではさっそく、開業準備の4つのステップを紹介します。各ステップのポイントを整理しながら、開業のイメージを膨らませてみましょう。
ステップ1. 事業計画・資金計画を立てる
開業準備でまずやるべきことは、「事業計画」と「資金計画」です。2つの計画の違いを簡単にまとめました。
- 事業計画
- 店舗運営を通じてどのようなビジョン・目標を達成したいか、ターゲット、ビジネスモデル、売上計画といった情報をまとめる。事業計画を店舗経営の指針とすることで、計画性のある経営を目指す。
- 資金計画
- 開店前・開店後に必要がいくらかかるかを計算し、それらの資金をどのように捻出するかをまとめる。事前に資金計画を立てて開業準備中の「資金が足りない」トラブルを防ぐ。
事業計画と資金計画は、開業準備でおろそかにしがちな準備です。しかし、2つの計画がなければ店舗開業・経営を戦略的に進めることができず、開店1年未満で閉店に追い込まれるケースもあります。
2つの計画は事業の実現性・将来性があるかどうかを客観的に考えるためにも大切です。開業準備の最初のステップとして、事業計画と資金計画を必ず作成しましょう。
ステップ2. 市場調査・物件選びを行う
続いて、店舗開店を検討している地域の市場調査と物件選びを行いましょう。
「市場調査」と聞くと大袈裟に聞こえるかもしれませんが、地域の通行量を調べるだけでも立派な調査になります。通行量はどれくらいか、男女比や年齢層といった情報をまとめるだけで、事業計画に基づいた店舗経営を行えるかどうかを判断できるでしょう。
市場調査の結果、その地域での店舗開業を決めたら物件選びを行います。物件選びでは、最寄駅からのアクセスの良さ、周辺からお店を見つけやすいかどうか、家賃などさまざまな項目を比較しながら、開業したい店舗にあった物件を探してみてください。
また、良い物件が見つかったら誰かに先を越されないために、物件の仮押さえを行うことをおすすめします。
ステップ3. 開店に向けて準備を進める
店舗開業の物件が決まったら、開店に向けて準備を進めていきましょう。準備すべきことはたくさんあり、パニックになりやすいポイントです。やるべきことをリスト化した上で、一つひとつ着実に準備を進めるよう心がけてください。
<開店に向けて準備すべきこと>
- 必要資金を調達する
- 物件を取得する
- 店舗の内装・外装を決める
- 内装・外装工事を依頼する
- 仕入れ先を決める
- 商品企画・メニュー開発を行う
- 商品・資材を仕入れる
- 事業の許認可を取る
- 対応する支払い方法を決める
- 設備・備品を導入する
- 対応する支払い方法を決める
- スタッフを募集する
- 開店キャンペーンを考える
- Webサイトを作る
- SNSアカウントを開設する
開業する店舗形態によってやるべきことは変わるので、自分の店舗に何が必要かをしっかりと考えた上でリスト化しましょう。
ステップ4. 税務関係の届出を行う
開業準備として忘れてはいけないのが税務関係の届出(書類の提出)をすることです。具体的には、下記2つの書類提出が必要となります。
- 個人事業の開業届出・廃業届出等手続(開業届)
- 個人事業税の事業開始等申告書(個人事業税申告書)
開業届は管轄の税務署に提出し、個人事業税申告書は店舗住所なる都道府県税事務所に提出してください。
開業準備で青色申告は申請すべき?
開業準備を進める上で、開業者が届け出るかどうかを検討すべき書類があります。それが「青色申告承認申請書(青色申告)」です。
青色申告承認申請書を提出し青色申告事業者になれば、確定申告時に最大で65万円の控除を受けられるようになります。個人事業主の確定申告には青色申告と白色申告の2種類があり、それぞれの違いは下記の通りです。
- 青色申告
- 複式簿記を用いた方法で確定申告を行う。青色申告のみ受けられる控除制度がある。
- 白色申告
- 単式簿記を用いた方法で確定申告を行う。独自の控除制度はない。
青色申告事業者になるメリットはやはり、最大で65万円の控除が受けられることです。税負担が少なくなるため、少しでも納税額を抑えたい経営者には青色申告事業者になることをおすすめします。
また、赤字を3年間繰り越せるようになり、家族への給与を全額経費にできるのも青色申告事業者のメリットです。「申告書類が複雑になる」というデメリットもありますが、それを超えるメリットがあるため、青色申告承認申請書の提出を前向きに検討しましょう。
開業準備に欠かせないものリスト
最後に、開業準備の際に欠かせないリストを紹介します。いずれも設備・備品として重要なのでぜひ参考にしてみてください。
印鑑(実印)
開業準備では、店舗にしたい物件を取得する際に印鑑証明が必要となります。印鑑証明として登録できる印鑑のサイズは「一辺の長さが8mm~25mm」なので、規定サイズの印鑑を作り、かつ印鑑登録を済ませておきましょう。
ちなみに印鑑証明として登録した印鑑を銀行印に使うこともできます。法人の場合、銀行印として人気のサイズは「一辺の長さが16.5mm/18.0mm」です。
印鑑をいくつも作りたくない方は、「一辺の長さが16.5mm/18.0mm」の印鑑を作成し、印鑑証明と銀行印として併用しましょう。
名刺
開業準備では経営者の名刺に加えて、店舗の名刺も作っておくことをおすすめします。
店舗を開業するとさまざまなビジネスパーソンと関わる機会が増え、その都度名刺を出すことになります。その際に店舗の名刺も交換すれば、少しでもお店の認知度を上げるきっかけになるでしょう。
また、店舗カウンターに店舗名刺を置いておくだけでも集客の一環になるので、自分用の名刺・店舗の名刺を作成しましょう。
マイナンバーカード
マイナンバーカードをまだ作成してない人は、開業準備の一環として作成することをおすすめします。
マイナンバーカードがあれe-Taxを利用した確定申告が可能です。オンラインでさまざまな税関連手続きを行えるので、業務効率化のために作成・利用を検討してみてください。
また、運転免許証を持っていない方の場合は身分証明書として利用できます。
メールアドレス
店舗を開業すると、仕入先や取引先、スタッフとのやりとりにメールアドレスが必要になります。
無料で作成可能なGmailでも問題ありませんが、店舗・会社の信頼性を少しでも高めたい場合は、店舗・会社専用のメールアドレスを作成しましょう。専用メールアドレスの作り方は次の通りです。
- ドメインを取得する
- レンタルサーバーを契約する
- レンタルサーバーでDNS設定を行う
- メールアドレスを作る
- メールソフトに設定する
ドメインの維持費用は年間1,000円ほど、レンタルサーバーの月額料金は500〜1,000円程度です。取得したドメイン、契約したレンタルサーバーを使ってWebサイトを立ち上げることも可能なので、開業準備として検討しておきましょう。
事業用の銀行口座
個人事業主として開業すると、屋号での銀行口座開設が可能になります。事業用の銀行口座を作るとプライベートと支出を分けられ、お金の管理が楽になるのでおすすめです。
また、開設した銀行口座に対応した会計ソフトを導入すれば、口座とソフトを紐づけて仕訳作業の自動化も可能になります。
ビジネスカード
ビジネス用のクレジットカードがあるとさまざまな決済をカードで行える上、ポイント還元も受けられます。
さらに、ビジネスカードで決済すれば実質的に支払い期日を延ばすことができ、余裕を持ったキャッシュフローを実現できます。
事業用の銀行口座を紐付けたり、会計ソフトと連携すれば支出の管理、帳簿の管理も楽になるので、ビジネスカードを1枚持っておくことをおすすめします。
POSレジ
POSレジとは、「POSシステムを搭載したレジ」のことです。通常の会計処理に加えて、レジ締め作業を自動的に行なったり、売上分析機能で日々の売り上げデータを分析したりとさまざまな機能が備わっています。
POSレジといえば1台あたり50〜100万円するような高額な設備ですが、最近では低コストで導入できる「タブレットPOSレジ」が人気を集めています。iPadなどのタブレット端末にPOSレジアプリをインストールするだけで、タブレットをPOSレジとして利用可能です。
ハンディスキャナーやレシートプリンターなどの周辺機器を揃えば、高額なPOSレジと機能面の遜色がありません。
タブレット上で日々の売り上げデータを分析したり、さまざまなアプリを追加して業務効率化を図ったり、単純な会計処理だけではない機能をフル活用して店舗経営の改善に役立てられます。
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開業準備は焦らず着実に進めよう!
店舗開業はやるべきことがたくさんあり、途中で挫折しそうになることもあるでしょう。しかし、開業準備に欠かせないことをリスト化し、一つひとつタスクをこなしていけば着実に開店に漕ぎ着けることができます。
この記事で紹介した開業準備やリストが、未来の店舗開業者の参考になれば幸いです。