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お店ラジオ 2023/11/09 2024/03/14

自分たちが使いたいものを作る

about

「お店ラジオ」は、店舗経営にまつわるトークラジオ番組です。小売店や飲食店など各業界で活躍するゲストをお招きし、インタビュー形式でお届けしています。この記事は、InterFMで毎週日曜日にお送りしている「お店ラジオ」で放送された内容を未公開放送分も含めて再編集したものです。

今回のゲストは、大学卒業後に株式会社リクルートへ就職し、雑誌編集長やメディアプロデュース責任者などを経て、2014年に株式会社シロに入社。現代表取締役会長 今井 浩恵さんと二人三脚で経営全般の戦略立案や、新規・海外事業展開を実行し、2021年から現会長 今井さんの後任として株式会社シロ 代表取締役社長に就任した福永 敬弘さんです。

1989年に株式会社シロの前身である株式会社ローレルが創業。「自分たちが使いたいものを作る」という経営理念や独自の出展戦略、新工場建設にあたっての北海道砂川市への想いやイギリスへの海外展開、良い商品を作ることのロマンなどについて、3回に分けてお送りします。

第1回は、「SHIRO」誕生までの変遷と企業理念や独自の店舗戦略についてお送りします。

 

この記事の目次

 

株式会社シロの前身は北海道の観光土産品の製造会社

株式会社シロは、「自分たちが毎日使いたいものをつくりたい」というシンプルな想いを形にしたコスメティックブランド「SHIRO」を展開しています。

株式会社シロは、元々、1989年に観光土産品を製造・卸販売するために設立された株式会社ローレルが前身です。当時は、ハーブや石鹸の製造や通信販売、ジャムやドレッシングの卸販売などを行っていました。

そして、2000年に現会長の今井が当時26歳で会社を引き継いで以降、観光土産から生活雑貨の製造へと徐々にシフトし、化粧品雑貨のOEM製造も行うようになりました。

その後、2009年に自社ブランド「LAUREL」を、そして2011年にスキンケアライン「sozai LAUREL」の展開を始めました。2015年には、ブランド名を「LAUREL」から「shiro」に変更しました。

現在では小文字であったブランドロゴを大文字の「SHIRO」に変更しています。

「SHIRO」シリーズの主力商品は、フレグランス、スキンケア、メイクアップの3カテゴリーで、その中でもシリーズを牽引したのが石鹸のような優しい香りのフレグランス「サボン」でした。「サボン」は「LAUREL」がスタートした2009年から取り扱っているアイテムです。

そして、2013年からはスキンケア製品を増やしていき、2017年にはメイクアップ製品もシリーズに加えました。その結果、2017年には製品ラインナップが約200種類に達しました。

 

自分たちが使いたいものを作るために立ち上げた「LAUREL」

現会長の今井が社長へ就任した2000年以降、B oBで化粧品の製造を手がけてきましたが、作るのであれば「本当に自分たちが使いたいものを作りたい」という想いから、自分たちのブランドを立ち上げるという決断をしました。その想いが株式会社シロの原点であり、現在に至るまで企業理念となっています。

自社ブランドの商品開発においては、マーケットのニーズだけを追うわけではありませんでした。マーケットインの発想で売れることを第一に商品開発を行ったのではなく、「自分が使いたいと思える商品を作る」というプロダクトアウトの発想で商品開発を行っていました。

その当時から、社長でありブランドの製品開発の責任者であった今井が「これだ!」と判断した商品を製造し販売してきました。

広告についても、多くの企業が広告に多額の予算をかける中、私たちは異なるアプローチを選びました。最初のプロモーションは2009年に札幌のステラプレイスという商業施設で行いましたが、僅かなスペースをお借りして、香りをつけた紙を配りながら、通行人に「試してみませんか」と声をかけ続けました。

しかし、札幌でイベントをするだけでは事業を拡大するのは難しいと考え、1年間で10カ所以上の場所でイベントを行い、香りのサンプルを配布しました。そして、徐々に認知度を高め、2009年のスタートから5年後の2014年には札幌から福岡まで店舗を増やすことができました。

当時「LAUREL」というブランド名でまだ知名度は低かったのですが、私たちは香りを試してもらうことができれば、製品の魅力を理解してもらえると確信していました。

 

「一駅歩く価値のある店舗」を目指し、国内30店舗に限定

「SHIRO」は、ほんの小さなスペースを借りて販売するところからスタートし、最初は「君たちは2軍だ。もっと売ってきたら、このスペースも少しだけ用意してあげるよ」と言われたこともあります。

売上実績に応じて良いスペースを得るという厳しい条件でのスタートでしたが、結果を出し続けることで、売場スペースを徐々に良い条件の場所に移動させていくことができました。この戦略を「ヤドカリ戦法」と私たちは名付けました。

商業施設では、主に坪当たりの売上がその店舗の評価基準となるため、坪当たり売上を向上することで、より条件の良い売場への出店が許可されていくのです。我々はそれを10年間必死でやってきました。

また、SHIROはどこにでもある店舗展開を避け、独特の価値を持つブランドを目指しました。一駅離れた場所からでも足を運んで購入したいと考えるような魅力を持つブランドです。そのため、最初から「大きな商圏に1つあれば十分」という考え方の下、国内での店舗数は最大30店舗に限定すると決めていました。

売上を向上させるために店舗数をどんどんと増やすという手段を取る企業が多い中、我々は店舗数の増加に慎重でした。店舗数が増えると投資が必要であり、固定費も増加することでリスクも拡大すると考えていたからです。実際、我々の1坪あたりの店舗出店コストは約200万円で、10坪の店舗では2,000万円の投資が必要になります。

我々は店舗数を増やすよりも、新製品のリリースによってリピート顧客含むたくさんのお客様に来店していただき、1店舗あたりの売上を増加させる戦略を選択したのです。

 

接客の質を高めるプログラムの導入

店舗の運営においては、接客サービスの質を非常に重視しています。店舗における接客が極めて重要で、ファンの獲得に直結すると考えています。

店舗のスタッフは、お客様の関心や興味を見極めるために、お客様の動きを注意深く観察し、それらに基づいてお客様本意の接客をしなければなりません。お客様が「SHIRO」を初めて訪れるのか、それともすでにサービスを知っているのかを判断するだけでも、実際には非常に難しいのです。

ですから、我々はまず「SHIROを以前にご利用いただいたことはございますか?」という確認の質問を最初にさせていただくようにしています。

しかしながら、我々の接客にも改善すべきポイントは多くあり、お客様から接客についてのご意見をいただくこともあります。例えば、Aの店員が「SHIROは初めてですか?」とお客様に聞いた後、数分後にBの店員から同じ質問をされたとか、男性に対して最初から「プレゼント用ですか?」と決めつけた接客をされた等のご意見をいただいています。

私が最も強く注意しているのは、このような決めつけた販売です。お客様が商品をプレゼントとして購入するのか、あるいは自身で使用するのかなど、あらかじめ決めつけて接客をしていくことは避けるべきだと思っており、このようなお客様からの貴重なフィードバックを基に、研修プログラムを継続的に見直しています。

第1回は、「SHIRO」誕生までの変遷と企業理念や独自の店舗戦略についてお送りしました。
第2回は、独自の商品開発戦略や地域活性化のための新工場建設についてお送りします。

 

執筆 アキナイラボ 編集部

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