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お店ラジオ 2022/04/06 2024/03/14

フランチャイズ化とM&Aを駆使したロボ団の驚くべき事業拡大戦略とは!?

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「お店ラジオ」は、店舗経営にまつわるトークラジオ番組です。小売店や飲食店など各業界で活躍するゲストをお招きし、インタビュー形式でお届けしています。この記事は、InterFMで毎週日曜日にお送りしている「お店ラジオ」で放送された内容を未公開放送分も含めて再編集したものです。

今回のゲストは、ロボットプログラミング教室「ロボ団」を展開する「夢見る株式会社」の代表取締役、重見彰則さんです。重見さんのお話を3回に分けてご紹介します。

第1回目はロボ団の起業についてを中心にお聞きしました。ロボットプログラミングという新しい市場で起業した重見さん。その原体験は子どもの頃のある「おもちゃ」にありました。
第2回目は子どもの習い事の決定権を握っている親をどう口説くのか、詳しくお聞きしました。
第3回目は、フランチャイズ化についてです。ロボ団は起業後まもなくフランチャイズ化をして各地に展開を始めますが、なかなか利益が出ない時期が続きました。そこにはフランチャイズ化の盲点があったそうです。

 

この記事の目次

  1. 1店舗しかないのにフランチャイズ化に踏み切った
  2. ロボ団は直営とフランチャイズの役割をはっきりと分けている
  3. ブランド力が足りないなら借りればいい“他人のふんどし作戦”
  4. 更なる成長の実現のために。M&Aで大企業エディオングループの子会社に
  5. ロボ団とエディオンのM&Aは双方にシナジーを生み出すものだった
  6. これからもロボ団の価値を膨らませたい

 

1店舗しかないのにフランチャイズ化に踏み切った

ロボ団は2014年に起業し、16年にはフランチャイズ化に踏み切りました。

フランチャイズ化はそのサービスが圧倒的に良くないと難しいですが、当時のロボ団の顧客満足度は高く、ロボットコンテスト大会での実績もありましたから、できると考えました。類似サービスもほかにありませんでした。

フランチャイズ化に踏み切ったとき、直営の店舗は1店舗でした。その店舗は大阪の堺市の郊外型の店舗で、人がたくさんいるようなところや富裕層が多い地域ではなく、人の多さも所得層的にも中間的なところで成功していたので、それもフランチャイズ化を進める理由になりました。堺市のようなところは全国どこにでもあるので、横展開できるだろうということです。

 

ロボ団は直営とフランチャイズの役割をはっきりと分けている

ロボ団では、直営とフランチャイズの役割は明確に分けています。私たちはロボ団を、新しい教育を生み出すメーカーだと捉えています。
その中で、直営店は我々のサービスが市場に受け入れられるためのモデル化をするのが役割です。フランチャイズはそれを広げる役割を担っています。

直営店には、いろいろなことをすぐにトライ&エラーできるというメリットがあります。新しい教材ができればすぐ試せて、そのトライ&エラーによって教育の開発のスピードが早まります。
一方、直営の教室が増えすぎるとアセットが大きくなり、組織も大きくなるのでマネジメントコストが高くなります。そこはデメリットです。

フランチャイズ店のメリットは展開がスピーディーにできるところです。一方でリスクもあって、フランチャイズの数が増えすぎると、会社全体の売上がフランチャイジー頼みになってしまいます。

会社がフランチャイジーに依存すると、彼らの調子が良ければ会社は良くなりますが、そうならなければ、会社は思った通りの成長を描けません。直営とフランチャイズ、どちらか一方ではなく、大切なのはやはりバランスです。

 

ブランド力が足りないなら借りればいい“他人のふんどし作戦”

2014年の起業当初は、ロボットプログラミング自体が知られていなかったため「レゴブロックを使った教育」という推し方をして、2017年ぐらいまでそれで引っ張っていました。説明会に来てもらえればしっかり保護者を口説いて一定の成果は出せていましたが、生徒の増加数は想定を下回っていました。

そして次第に競合が増え始め、それも大手ばかりで、ロボ団にはそれに対抗するブランド力はありませんでした。そこで思いついたのが、ブランド力のあるところと一緒に組む、「他人のふんどし作戦」でした。

第一弾で組んだ相手がJAXAです。世間はロボ団のことは知りませんがJAXAは有名です。とくに当時ははやぶさ2のブームで、JAXAに注目が集まっていました。

いろいろ調べるとJAXAには宇宙教育センターという部門があり、より多くの子どもたちに宇宙のことを知ってもらおうと様々な活動をしていましたが、イベントをやっても集まる人はいつも同じ子どもたちばかりという悩みを抱えていました。

宇宙好きの子は自分でJAXAのイベントを調べて毎回来てくれるものの、一般の子どもたちは自分で調べないし、JAXAも彼らに情報を届ける方法はありませんでした。JAXAとしては広く子どもたちに届けたいのに、狭い領域の子どもたちにしか届いていないという課題があったのです。

私は人脈を伝ってJAXAにたどり着き、JAXAの宇宙教育センターの担当者相手に渾身のプレゼンをしました。JAXAの持つ課題に対して「私たちは全国に教室を持っていて、私たちと組めばそこの数千人の子どもたちに情報が届けられます」と提案をしたのです。プログラム教育の必修化という背景も大きかったです。

それでJAXAと一緒にやることになり、JAXAに関係する教材やプログラムを作って、チラシにJAXAやはやぶさ2の名前を入れて宣伝したところ、反響率が3倍くらいに跳ね上がりました。

それで味をしめて、その後もいろんな企業と組んで集客をするようになりました。たとえば関西の電鉄会社と組んだときは、未来の電車を作ろうというプログラムにしました。電車好きな子どもは多いですから、そのときも大きな反響がありました。

 

更なる成長の実現のために。M&Aで大企業エディオングループの子会社に

併設のフランチャイズ中心のロボ団では、教育の実績は残しつつも大きな利益は得られないという状況で、プログラミングの小学校必修化が決まり、社会の風向きが変わりました。そして、ロボ団を併設というおまけではなく、単体で勝負できるビジネスモデルに転換していきたいと、変えようと考え始めたのが2019年です。

しかし、直営の教室を増やしたいと考えつつも資金は足りませんでした。競合の増加によって、ロボ団のブランド力不足も痛感していました。

そんな状況で資金とブランド力の両方が得られる方法がないかと考えたとき、大企業とのM&Aが選択肢として浮かび、エディオンさんとの出会いがありました。

私たちとしては、エディオンのブランド力とともに、全国1,200店舗の店舗網を活用できます。
エディオンとしては、家電販売がネットにシフトする中で店舗の価値を見直そうという時期であり、その方策として2018年頃から取り組み始めた教育事業にロボ団がマッチし、ロボ団を店舗に置くことでお店に新しい価値を加えられるという狙いがありました。

 

ロボ団とエディオンのM&Aは双方にシナジーを生み出すものだった

エディオンの子会社になったことにより、現在私たちの新しい教室は、ほぼすべてエディオンの店舗内に出しています。

エディオンの店舗に教室を作れば、駐車場を借りる必要がなく、店舗の家賃もかなり割安になります。敷金や礼金も必要ありません。出店のための初期投資やランニングコストは、かなり低く抑えられるようになりました。フランチャイジーさんがエディオン内に教室を出すこともできます。今後は直営とフランチャイズの両方で、店舗をどんどん増やしていきたいと思っています。

22年4月に大阪の岸和田にエディオンの新店舗がオープンしましたが、そのお知らせの垂れ幕には「ロボ団開設」と大きく書かれていました。
エディオンさんがロボ団をこれだけ大きく扱ってくれるのも、ロボ団で生徒を集めることに大きなメリットがあるからです。

メリットとは、まず生徒ひとり集めることで得られる売上です。ロボ団の月謝は1万~1万5千円で、平均継続年数は3~5年ですから、生徒をひとり集めれば、それで50万円くらいの商材が売れることになります。

さらに子どもの送り迎えに、毎週親が付き添いでエディオンに来てくれます。ある調査によると、家電量販店に行く回数は年に5~6回が平均ですが、子どもがロボ団に入るとほぼ毎週教室があるため、その親子は年間40回くらいはエディオンに来ることになります。

お店にとっては、タッチポイントが従来の10倍くらいになるということで、それだけ増えれば間違いなくついで買いが増えるため、家電の販売にも好影響を与えることは容易に想像できます。また、店にとって意外と大きかったのは、比較的すいている平日の家電量販店にロボ団があることで賑わいをもたらしたことです。

ロボ団とエディオンのM&Aは、このように双方にシナジーをもたらすものになっています。

 

これからもロボ団の価値を膨らませたい

いま私自身は、夢見る株式会社の代表であるのと同時にエディオンの教育事業部の責任者として、社長兼サラリーマンという二足の草鞋を履いています。
グループの子会社のいち社長と本体の部長とではやはり格が違うところがあり、本体の部長になったことで使えるリソースは増えました。

活用できる企業ネットワークも広がり、いろいろなメーカーや企業とのタイアップもこれまで以上にできるようになりました。

たとえば22年春に行ったのは、エプソンとタイアップしたロボットプログラミング教室でした。その後も、名だたるメーカーや企業とのタイアップが続くことになっています。

また、教育事業というものはSDGsや企業のCSRに繋がるところがあり、先日もマイクロソフトがスポンサーになってキングコングの西野亮廣さんと教育をテーマにした対談を行いました。

エディオングループに加わったこの2年間で、エディオンのことや経営ノウハウについてしっかりと学ばせてもらい、エディオン店舗内でのロボ団のモデル化も完成しました。

これからはいよいよ拡大期です。現在、エディオン内の店舗は10教室ほどですが、全国のロードサイドのエディオンに、できるだけ多くのロボ団の看板が掲げられるよう、取り組んでいきたいと思っています。

 

 

 

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執筆 アキナイラボ 編集部

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