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「お店ラジオ」は、店舗経営にまつわるトークラジオ番組です。小売店や飲食店など各業界で活躍するゲストをお招きし、インタビュー形式でお届けしています。この記事は、InterFMで毎週日曜日にお送りしている「お店ラジオ」で放送された内容を未公開放送分も含めて再編集したものです。
今回のゲストは、北海道でパン屋をオープンし、現在は全国に「小麦の奴隷」のFCを展開する株式会社 こむぎの の代表取締役社長の橋本玄樹さんです。北海道でパン屋を開業するに至った経緯や、FC展開についての戦略などをお送りします。
第1回は小麦の奴隷の成り立ちや、SNSをうまく利用して地方で成長させてきた体験についてです。
この記事の目次
オープンのきっかけはホリエモンのオンラインサロン!
私は現在、「小麦の奴隷」と言うパン屋を経営しています。最初は、北海道大樹町という人口5,500人ほどの小さな町でオープンしました。大樹町は帯広から数十キロ南にある海沿いの町で、パン屋で地域を活性化させようと頑張っています。
この町にパン屋をオープンしたきっかけは、堀江貴文さんのオンラインサロンでした。堀江さんのオンラインサロンに入っており、オンラインサロンの中で堀江さんが人口5,000人くらいで成立するビジネスを何かやろうということを話されていて、その一つがパン屋でした。
その時に、五島列島の福江島のパン屋さんで毎日完売しているおしゃれなパン屋さんがあるというお話をされました。
その一方で、地方に行けば行くほど人口が減少しパン屋さんも少なくなっていて、残っているパン屋さんもアップデートされていない状況がある、という事でした。
そのような状況の地方の小さな町でも東京レベルのパン屋をやれば、五島列島のパン屋さんのように繁盛させられるのではないか、という仮説を堀江さんが立てられ、大樹町で誰かやる人がいないかということになりました。
そこで私が手を挙げて、北海道の大樹町に移住し「小麦の奴隷」をオープンすることになったという経緯です。
「小麦の奴隷」名前の由来はサピエンス全史
会社は「株式会社 こむぎの」という名前で、現在FC展開をしている店舗は「小麦の奴隷」といいます。
まず、「小麦の奴隷」の名前の由来についてです。実は、「サピエンス全史」という世界的に売れた本を読んでいて、それをヒントに「小麦の奴隷」という名前を思いつきました。
その本の中に「昔、人間は狩猟採集民族で、狩りをしたり木の実を取ったりして暮らしていたが、小麦などの穀物が現れて、それを栽培して定住していくようになった。そしてその結果、コミュニティが増えて食料が不足したため大変な穀物の栽培に囚われていった」と書いてありました。
つまり、穀物の栽培に囚われていくことが小麦の戦略だったということです。人間が小麦の奴隷になったということもありつつ、軽く言うと、パンやうどん・ピザ・パスタって単純に美味しいから食べてしまいますよね、というメッセージを込めたのが「小麦の奴隷」です。
それまでは青山で整体を一人でやっていましたが、堀江さんの企画に乗り、全く不安もなく移住してパン屋をやることにしました。
広告費は使わない!田舎でのSNS戦略
開店にあたって一番難しかったのは物件の確保でした。運よく国道のロードサイドで駐車場はないものの、近くに道の駅がある場所に物件を見つけました。周囲には飲食店が1、2件あり、「小麦の奴隷」の横にはセブンイレブン、正面には老舗のパン屋があるという立地条件でした。こうして広さ15坪、家賃4万5千円のところから店舗はスタートしました。
場所が決まったらオープン準備ですが、広告費は絶対に使わないと決めていましたので、SNSマーケティングに力を入れ、オープン前からファン獲得に努めました。
移住してわかったことですが、地方でSNSなどをフォローしてくださる方のアクティブユーザー率は都会より高く、フォロワー=お客様という感じで、オープンの日には30人くらいの方が列をなして並ばれていました。SNSの影響が非常に濃いんだなという印象を受けました。
現在では、月商で300万円から400万円、年商で3,000万円代後半から4,000万円くらいになっています。田舎だと客単価も安いように思われますよね。しかし、お土産需要があり、一人のお客様が紙袋2、3個買われることもありますので、客単価は1,200〜1,300円、高い時には1,500円になります。
そして買った後にはSNSにアップしていただきたいのでこれも広告費ととらえて、紙袋を百貨店並にしっかりとおしゃれに作っています。それがお土産需要を呼び込むことにつながっているのかもしれないですね。
北海道大樹町での冬対策は訪問販売
大樹町は雪が積もるというよりも道が凍結してしまうので、12月から2月後半ぐらいまでは客足が止まってしまいます。そこで対策として、個人宅ではなく事業所を中心に訪問して販売する「訪問販売」を始めました。
保育園などにも行きますが、主婦の方に翌日の朝食用のパンなどをまとめて買っていただくこともあります。
冬期以外の時期であれば、売上の割合は店が7割・訪問販売が3割ほどですが、真冬になると比率が逆転して訪問販売がメインになります。
そして、訪問販売をしてわかったのは「訪問販売が重要であることと、パンを買いに行きたいというモチベーションで買う人よりも、パンがあるから買うという人の方が圧倒的に多い」ということでした。
訪問販売は大樹町だけでなく、全国のFCでも行っています。「小麦の奴隷」は、現在、出店数ベースで全国に57店舗まで広がっています。
訪問販売は強制ではなくあくまで推奨にすぎませんが、“地方創生型”と言っているように地域を盛り上げたいという思いを持ち、訪問販売の大切さを感じて経営されている方が多い印象で、多くの店舗が訪問販売を行っています。
怒涛のFC展開のきっかけは「ガイアの夜明け」と「ザックザクカレーパン」
そして、人口5,500人ほどの小さな町におしゃれなパン屋をオープンさせた後、FC展開をしようとなった時に後押してくれたのが「ガイアの夜明け」でした。「ガイアの夜明け」に取り上げていただいて、FC加盟店数の成長が加速しました。
また、「ザックザクカレーパン」という商品がバズったこともFCの成長の要因として大きかったです。
「ザックザクカレーパン」はクルトンを衣の代わりに付けて、手榴弾のような見た目です。食感はサクサクではなくて、ザックザク。食べにくいとか血が出るとか、過剰なまでにクレームが来るくらいのものにしようというコンセプトで作りました。あえて嫌いな人も出てくるような、特徴があり賛否両論分かれるようなものにしないと印象に残らないと考えたからです。
そして、「株式会社 こむぎの」の役員である堀江さんが運営されている「ホリエモンチャンネル」で説明会が始まり、そこをキーにして多くの方に知っていただきFC展開が進んでいきました。
今回のお話はここまでです。次回は、冷凍生地によって可能になった小麦の奴隷独自のビジネスモデルについてや、FC展開する際のSNSの絡め方についてです。