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お店ラジオ 2023/07/12 2023/07/13

ターゲット顧客は自分!?自分が行きたいと思うような理髪店を作る!

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「お店ラジオ」は、店舗経営にまつわるトークラジオ番組です。小売店や飲食店など各業界で活躍するゲストをお招きし、インタビュー形式でお届けしています。この記事は、InterFM・FM大阪で毎週日曜日にお送りしている「お店ラジオ」で放送された内容を未公開放送分も含めて再編集したものです。

今回のゲストは、独自の出店戦略やスタイリストファーストの経営方針で大阪のど真ん中である本町へ「Barber the GM」を開業し、現在は11店舗を経営するギークマン株式会社の代表取締役CEO 田中 慎也さんです。

「Barber the GM」を開業するまでの経緯から、独自の出店戦略、キャッシュレスの導入や予約を取らない理容室である理由、そして、田中さんのお店への思いを2回に分けてお送りします。

第1回は、「Barber the GM」オープンから、スタイリストファーストのお店づくりについてお送りしました。

第2回は、出店戦略とBarber the GMのこだわりについてお送りします。

 

この記事の目次

 

大阪・本町出店の理由と戦略

最初にお話しした通り、私が理髪店を開いたきっかけは、「自分が行きたいと思うような理髪店があれば人気が出るだろう」と考えたことです。

そのため、「Barber the GM」の構想においては、私自身をターゲット顧客(ペルソナ)としました。

私の理想は「散髪したい」と思ったその時に利用できるお店です。

その際、私自身の生活にも照らし合わせて、“ビジネスマンが平日昼間の空時間を活用して散髪に行けること”を重視しました。

平日の昼間に散髪するには、理髪店が職場の近くになければなりません。その視点で、最初の店舗の立地には大阪の本町が適していると判断しました。

本町には中小企業から大企業まで多く集まっていて、かつ保険代理店のように働く人々の時間が比較的自由な業種も多いからです。

 

予約は非対応にすることで経営効率UP

散髪したい時にすぐ利用でき、スタイリストに高い報酬を提供するお店を目指していましたので、予約は一切受け付けないことにしました。

予約を受け付けないことによってお客様には待ち時間が発生することもあるかもしれませんが、スタイリストやお店側から見れば、予約を取らない方が効率は良いのです。

なぜなら、髪型にもよりますが、1人のお客様のカットにかかる時間は、15分で終わることもあれば40分かかることもあります。お客様の要望が事前にわからない限り、必要な時間はお客様によって異なります。

もしも、予約制にして一律の時間枠を設定すると、スタイリストに稼働の無い余白の時間が生まれてしまい、結果的に効率が落ちてしまうのです。

 

待ち時間を減らす先進的な受付システムの導入

一方で、予約を取らないとはいえ、何人待っているのかもわからないお店に行きたくないと思いますので、Barber the GMでは、受付の仕組みを独自に設計することにしました。

最初の頃は、当店のホームページ上で店内の様子をリアルタイムで公開し、お客様が混雑状況を確認できるようにしていました。現在は、このシステムを更に発展させ、待ち人数を数値化し、その数字をウェブサイトで確認できるようにしています。

さらに、受付では携帯電話の番号を登録していただきます。そして、受付が完了すれば、「あと10分でご案内できます」といった通知がお客様の携帯電話にショートメッセージで送られるようなシステムを導入しています。

また、カットが終了した後にはその日のスタイルの写真を撮影し送信し、お客様にフィードバックを求めるメールも送信します。

 

顧客の地図を使った巧妙な拡大戦略とは?

本町に最初に出店したBarber the GM本町では、受付時に携帯電話の番号を登録していただくシステムでしたが、同時にお客様の職場の郵便番号をお聞きするアンケートも行っていました。

そのデータを地図上にマッピングして分析してみると、本町の店舗へ来てくださるお客様のエリアがわかります。

その結果、意外と遠くから本町のお店に来てくださっているお客様が多いことがわかりました。ボリュームゾーンは500mから1km以内にあるエリアの方でしたが、1kmから2km離れたところからもお客様が来てくださっていました。

そこで、2店舗目の出店場所の選定にあたっては1店舗目のお客様のデータをマッピングし、本町店から2km以内でお客様が多い地域を調べました。そして、本町店にご来店いただいているお客様が多い肥後橋という場所に出店することにしました。

3店舗目は梅田に出店しましたが、同様の考え方で立地を選定しました。

 

近隣での店舗展開によって得られたドミナント効果とは?

特定のエリアに3つの店舗を集中させることで、結果的にドミナント効果がもたらされました。

例えば、お客様がウェブで予約する際に、ホームページで各店舗の混雑状況を確認できます。その際、お客様は待ち時間と移動時間を考慮して、3つの店舗の中から最適なものを選ぶことができます。

さらに、私たちの立場から見ても、お客様を店内でお待たせしてしまう時間を減らしたり、待ち時間が長いことで失う可能性があったお客様を他の店舗に誘導できるといったメリットがありました。

私は、最初からこうしたドミナント効果を意識して店舗戦略を立てていたわけではありません。

最初は「まず、1店舗作ってみよう」と考え、スタイリストが利益を得られる店を作れば面白くなると思っていただけでしたので、1店舗目を出店した時点で「その後どのように拡大していくか」といった具体的な戦略やイメージを持っていたわけではありませんでした。

 

現金決済廃止!完全キャッシュレスにした理由とは?

Barber the GMでは、全ての店舗でキャッシュレス決済を導入しました。現金が絡むことによるミスや、それに伴うスタッフ間のトラブルや心労といった現金による問題を排除するためです。

キャッシュレス化によって、売上の管理や分析も容易になり、店舗運営の効率化にも寄与しています。

また、これはお客様にとってもメリットがあります。現金を持ち歩く必要がない、決済がスムーズに行える、レシートの管理が楽になるなど、様々な便利さがあります。それによって、より多くのお客様に気軽にお店をご利用いただけると考えています。

一方で、キャッシュレス決済を導入することで、「現金主義のお客様を排除してしまうことになり、機会損失を生むのではないか」という懸念は、私には全くありませんでした。

というのも、前に述べたように私が目指していたのは“自分自身が理想とするお店”を作ることであり、ターゲット顧客(ペルソナ)は私自身です。私自身がカード決済で問題を感じていないのであれば大丈夫だと考えていました。

 

お店とは「ファミコンのカセット」

私にとってお店とは、ファミコンのカセットのようなものだと考えています。

ファミコンのカセットは、たとえ1本や2本でも、小学生にとっては非常に貴重で特別な物です。それはまるで宝物が手に入ったような特別な感情を呼び起こすものです。

店舗をなんとなく始め、いつか飽きるかもしれないという恐怖が私自身の中には存在しています。だからこそ、「宝物が欲しい」と思う感情をずっと大切にし続けようと思っています。

あくまでも私にとってですが、店舗はそのような存在であって欲しいと思っています。

 

執筆 横山 聡

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