給与計算は複雑そうに思えるかもしれませんが、要点さえ押さえれば、経理の経験がない方でも簡単に計算できます。本記事では、給与計算で必要な知識や流れ、給与計算の仕方についてわかりやすく紹介します。給与計算をするときの参考にしてみてください。
この記事の目次
【基礎知識】給与計算とは?
まずは給与計算に関する基礎知識から紹介します。給与計算をする上で知っておくべきことは、考え方と仕組みの二つです。給与計算の大切な要素について触れるので、給与計算の知識を補完しておきましょう。
給与計算の考え方
給与計算は主に基本給、各種手当、控除の三つの要素で構成されています。基本給とは、従業員に支給するベースとなる給与のことです。次に各種手当とは、基本給に加えて従業員に支給するお金で、時間外労働手当(残業代)や通勤手当、役職手当、家族手当などが該当します。
控除とは給料から一定の金額を差し引くことです。主に公的控除(健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、所得税、住民税)が発生します。従業員の給料は、基本給、各種手当、そして控除の三つの要素によって計算できます。
給与計算の仕組み
給料は、先ほど挙げた三つの要素を足し引きして計算します。「基本給+各種手当-控除」が給与計算の計算式です。たとえば、基本給が18万円、各種手当が2万円、控除金額が4万円だった場合、従業員の給与は「18+2-4=16万円」となります。
給与計算をするためには、以下の準備が必要です。
- 給与規定の確認
- 従業員情報の把握
- 勤務状況の把握
- 保険料額や税額の把握
就業規則で給与規定の項目が記されているはずなので、基本給や手当内容などの詳細を確認しておく必要があります。また、給与計算に影響がある従業員情報(扶養家族など)や勤務状況(欠勤、年休など)を把握し、適正な控除率になっているかも確認しておきましょう。
【経理の人は必見】給与計算の流れと方法
給与計算の流れや方法について紹介します。主な流れは以下のとおりです。
- 従業員の労働時間を集計する
- 各種手当を集計する
- 控除額を計算する
- 源泉所得税を計算する
- 控除額を総支給額から差し引く
各工程ごとに詳しく説明します。
①従業員の労働時間を集計する
まずは、従業員の労働時間を集計しましょう。従業員が打刻したタイムカードや勤怠管理システムの記録をもとに、1カ月の総労働時間を計算します。残業時間も集計したら、課税支給額を計算します。計算方法は以下のとおりです。
- 時間給の場合:労働時間×時間給+時間外手当
- 基本給の場合:基本給+時間外手当
ちなみに、残業時間は法定時間内残業と法定時間外残業に分けられます。法定時間内残業は、法定労働時間(原則1日8時間以内・1週40時間以内)の範囲内に収まる残業のことで、法定時間外労働は法定労働時間を超えて行われた残業のことです。
一般的には、法定時間内残業に対して割増賃金を支払う必要はありませんが、企業によっては割増対象になる場合があります。就業規則を確認して、時間外手当の計算をしましょう。
②各種手当を集計する
次に、各種手当を集計します。時間給・基本給や時間外手当以外にも、手当が支給されることがあるので、すべての支給手当を確認しましょう。たとえば、家族手当や通勤手当、住宅手当などが該当します。
各種手当に関しても就業規則に明記されているはずなので、事前に該当しているか確認しましょう。ちなみに、各種手当を計算するときは、課税対象か非課税対象か確認する必要があります。所得税・住民税が非課税となる手当は以下のとおりです。
- 15万円以下の通勤手当(公共交通機関を利用している場合)。
- 片道の通勤距離が2km以上の通勤手当(マイカー・自転車の場合)
- 宿直手当・日直手当(4,000円を上限・条件あり)
- 出張手当や転勤手当(必要とされる費用を上限)
- 学資金
項目によっては、非課税の対象となる金額に上限が設けられている場合もあるので、必ずしも支給された金額がすべて非課税になるわけではありません。課税対象かどうかで納めるべき税金は変わるので、非課税項目の手当を支給する場合は、控除などを計算した後に加算しましょう。
③控除額を計算する
非課税対象となる手当を集計した後は、控除額を計算します。控除額で計算しなければならない項目は以下のとおりです。
- 健康保険料
- 雇用保険料
- 厚生年金保険料
一般的には、社会保険料といわれており、それぞれの金額を計算して支給額から控除しなければなりません。各保険料の計算方法は以下にまとめたので、計算するときの参考にしてみてください。
- 健康保険料:全国健康保険協会の「都道府県ごとの保険料額表」の標準報酬に当てはめる
- 雇用保険料:総支給額×0.003
- 厚生年金保険料:全国健康保険協会の「都道府県ごとの保険料額表」の標準報酬に当てはめる
なお、都道府県ごとの保険料額表から保険料を算出するときは、折半額の列に記載された金額を確認します。また、健康保険料は、介護保険第2号被保険者(40歳以上64歳未満の医療保険加入者)に該当するかしないかによって控除金額が異なるため注意しましょう。
④源泉所得税を計算する
社会保険料を計算したら、源泉所得税を計算します。源泉所得税を計算するには、国税庁が公表している給与所得の源泉徴収税額表に、支給額から社会保険料を差し引いた金額と扶養親族の数を当てはめます。扶養親族の数によって源泉所得税は変わるので、従業員情報と誤りがないか確認しましょう。
⑤控除額を総支給額から差し引く
最後に、従業員に直接支給する金額を計算します。最終支給額は、総支給額から社会保険料と源泉所得税、住民税を引いて、非課税手当を加算します。
住民税は各自治体が事前に納税金額を通知してくれるので、その金額を控除します。ちなみに、親睦会費など企業独自の控除項目がある場合、社会保険料などと同時に差し引きます。
給与計算でミスが発生した時のリスク
給与計算でミスが発生した場合、いくつかのリスクがあります。特に注意すべきリスクは、税額計算のミスと残業代のミスの二つです。税額計算でミスをすると、源泉徴収額がずれてしまいます。納税額が本来納めるべき金額よりも少ない場合、税務署から税務調査を受けたり、追徴課税が課せられたりするので注意しましょう。
また、残業代でミスが発生すると、従業員の信頼を失うことにつながります。場合によっては従業員から訴訟を起こされる可能性もあるので、残業代を計算するときもミスがないか入念に確認しましょう。
給与計算・勤怠管理システムを導入すれば正しく給与計算ができる
給与計算のミスを防ぐには、給与計算・勤怠管理システムの導入がおすすめです。勤怠管理システムとは、従業員の勤務状況を管理できるシステムで、給与計算と連動することにより、給与計算時の入力ミスを軽減できます。
勤怠管理システムは、自動で集計した従業員のデータを活用して給与計算を行うため、従業員の打刻さえ徹底すれば、計算ミスは発生しません。また、給与計算にかかる手間を省けるので、人的コストの削減にも繋がります。法改正にも簡単に対応できるので、正確な給与計算が実現できるでしょう。
給与計算の方法を正しく理解しよう
給与計算をするには、労働時間の集計と控除計算をする必要があります。より正確に給与計算を行うには、勤怠管理システムの導入がおすすめです。スマレジ・タイムカードには、給与計算に役立つ機能に加えて、事業者業務の負担を軽減する便利な機能が豊富に揃っています。また、アカウント作成から60日間は、すべての機能を無料でご利用いただけます。ぜひお気軽にご相談ください。