お店を開業することが決まったら、入念に準備を行うことを心がけましょう。開業して成功を収めるためには、いかに戦略的に準備を行えるかがポイントで、そのためには開業までにすべきことをしっかり把握しておくことが大切です。
本記事では開業までの準備期間の目安や主な流れ、開業に必要な資格・手続きについて紹介します。開業までにやるべきことを網羅的に知りたい方は、最後までチェックしてみてください。
この記事の目次
お店を開業するまでの準備期間の目安
お店を開業することを決めたものの、いつから準備に取り掛かったらよいのか分からない方もいるでしょう。あくまで目安ですが、開業することを決めてから店舗をオープンするまで、少なくとも1年の期間が必要です。
思うように物件が見つからないケースを考慮すると、1年半から2年かかることもあります。店舗の開業までにすべきことは山ほどあるので、ゆとりをもって準備ができるように、1年~1年半は準備期間として確保しておきましょう。
従業員が1人でもお店の開業は可能?
店舗の開業は、従業員1人(オーナーのみ)でも可能です。経営者自らお店を回す場合は、従業員を雇用する必要がないため、人件費がかかりません。そのため、コスト管理が楽になり、店舗運営のハードルが低くなります。
しかし、1人にかかる業務負担が大きくなるので、業務の効率化を図ることが重要です。そこで、POSシステムの導入がおすすめで、売上管理や在庫管理などが容易になります。スマレジでは、業務の効率化に繋がる便利な機能が豊富に揃っているので、開業にあわせて導入を検討してみてください。
ショールームでも体験できるため、興味のある方はお近くの店舗でチェックしてみましょう。
お店を開業するまでの手順
お店を開業するまでの手順について紹介します。基本的な流れは以下のとおりです。
- お店のコンセプトを決める
- 事業計画を立てる
- 資金を調達する
- 物件を決める
- 資格を取得する
- 必要な手続きを行う
- 実店舗を整備する
- 必要な設備やツールを揃える
- 提供する商品を決める
- スタッフを採用する
- 宣伝活動を行う
- オペレーションを決定する
どの段階も重要なので、一つずつ着実にこなすことが大切です。以降でステップごとに何をすべきか解説するので、準備をするときに参考にしてみてください。
お店のコンセプトを決める
まずは、お店のコンセプトを決めます。コンセプト決めで大切なことは、何のサービスを、どの層に向けて、いくらの価格帯で提供するのかを明確にすることです。特にターゲット層を絞ることは、お店の外装・内装や立地等を決めるのに役立ちます。
最初にお店の完成形をイメージしておくことで、この後の流れがスムーズになるため、効率よく理想のお店に近づけることが可能です。計画がスタートしてからコンセプトを決めようとすると、お店の軸がぶれてしまい、中途半端な形になりかねません。事業計画を立てる前に、お店のコンセプトを明らかにしておきましょう。
事業計画を立てる
コンセプトをもとに事業計画を立てます。事業計画とは、何の事業を行うのか具体的に記したものです。
実際には、売上計画を立てた後、売上に対してどのくらいの利益をイメージしているのかまとめます。そのため、事業計画を立てる段階で、売上の想定や材料費や人件費等のコストを想定しておかなければなりません。
事業計画があることで、商品の売価を決めるときや融資を受けるときに役立ちます。第三者に事業内容を説明するときにも必要なので、必ず作成しておきましょう。なお、事業計画書は、開業の半年前には作成しておくと、スケジュールに余裕を持たせることができます。
資金を調達する
開業に必要な資金を調達する必要があります。あくまで目安ですが、800~1,200万円程度は確保しなければならないため、遅くても開業の4か月前には取り掛かりましょう。自己資金だけで賄えるに越したことはありませんが、大金になるので融資を受けるのが現実的です。
金融機関ではなく、個人から借金する場合は、トラブル防止のために利子を明確に決めておき、返済計画を立てておきましょう。口頭での約束ではなく、書類に残しておくと金銭トラブルに発展せずに済みます。
また、地方自治体によっては、開業者支援として補助金制度が設けられている場合があるので、助成金等を活用できないか確認してみましょう。
物件を決める
資金の調達が済んだら、不動産屋と相談しながら物件を決めます。開業準備で最も時間がかかる行程で、コンセプトに見合った物件を探すのは多難です。
条件がよくても賃料が高かったり、経費を抑えられるがコンセプトに合わなかったりと、なかなか好立地の物件に巡り合えません。妥協してしまうと、開業後に失敗する可能性もあるため、物件探しはしっかり時間をかけてコンセプトにぴったりの場所を探しましょう。
なお、物件には「スケルトン物件」と「居抜き物件」の2種類があります。スケルトン物件は内装がない物件で、居抜き物件は内装や設備がすでに整っている物件です。コストを抑えたり工事期間を短縮したりしたい方には、居抜き物件をおすすめします。
ただし、設備が古くなっている場合は、開業して間もない時に交換や修理が必要になることもあるので、居抜き物件を採用する際は、設備等が設置されて経過した年数を確認しておきましょう。
資格を取得する
物件も決まってひと段落したら、スケジュールに余裕のある間に、開業に必要な資格を取得しておきましょう。
実店舗の整備や商品選定、スタッフ採用等を始めると、隙間時間さえ見つけるのが難しくなります。この段階で取得できる資格や行える手続きは、早めに取り掛かりましょう。
必要な手続きを行う
開業に必要な手続きを一通り行います。店舗の準備が終了した後に手続きを行うと、オープン日までに間に合わない可能性が高いです。保健所に足を運ばなければならず、本格的に忙しくなったら、手続き等で不備が発生する場合もあります。
時間にゆとりがあるのはこの時期までなので、資格取得と並行して手続きを進めましょう。なお、具体的な手続きに関しては、以降で説明します。
実店舗を整備する
オープンまで約2か月になったら、開店に向けて実店舗の整備を行っていきましょう。コンセプトをもとに考えた図面に沿って、物件の内装・外装工事に着手します。
施工業者を選ぶときは、複数の業者に見積もりを取ってもらい、金額や担当者の対応をもとに、信頼できるかどうかを見極めましょう。
施工業者を決めたら、施工内容のすり合わせを行うときに、具体的な店舗のイメージを伝えることが大切です。コンセプトを明確に伝えて完成形を共有することで、完成後のイメージのずれを防ぐことができます。
内装・外装工事と並行して、商品開発や必要機器・器具の購入をしておき、細かい点まで準備を進めましょう。
必要な設備やツールを揃える
実店舗の完成が近づいてきたら、必要な設備やツールを揃えておきましょう。たとえば、POSレジや電話、FAX、タイムカードなどは、店舗を開業する際に必要なものです。
POSレジは、レジ機能以外にも売上管理や在庫管理、顧客管理など経営者の業務に便利な機能が揃っているので、導入することで業務の効率化を図ることが可能です。スマレジでは、業務効率化に役立つサービスのPOSシステムを提供しています。
提供する商品を決める
必要な設備を整えながら、提供する商品を具体的に決めていきましょう。商品を決めるときは、まずターゲットのニーズを意識した上で、アイデアを出すことが大切です。
何を顧客に提供したいのかという思いも大事ですが、安定した売上を出すには、何より顧客が望んでいるものを提供することが求められます。
飲食店であれば、万人受けしやすい人気メニューを中心に揃えて、店舗が推したい看板メニューや季節限定メニューを追加することが商品決めの基本です。出店エリアの競合店をリサーチした上で、そのエリアの顧客のニーズを調査しておきましょう。
商品を決定する際に、仕入れ先も確保しておくことが重要です。いくら魅力的な商品を考案しても、原材料を仕入れるルートがなければ、商品として提供できません。卸売業者や直売所などと交渉して、安定して仕入れができるルートを確保しておきましょう。
スタッフを採用する
オープンの1か月前までに近づいてきたら、スタッフを採用し始めます。スタッフの募集方法は、求人サイトや大学生協の掲示板に求人情報を掲載したり、作成した求人チラシをポスティングしたりするなどさまざまです。
社員を雇用する場合は、少し早めのオープンの2~3か月前に取り掛かった方が、開店準備を手伝ってもらえるので業務が楽になります。社員やアルバイトを採用したら、数回に分けてスタッフ教育を行いましょう。
スタッフごとに役割がある場合は、ポジションごとに指導を行うのが効率的です。しっかり時間をかけて、いつでも開店できるレベルまで仕上げましょう。
宣伝活動を行う
オープンの約2週間前から本格的に宣伝活動を行います。従来の宣伝方法は、チラシのポスティングが多かったですが、最近ではSNSを活用して情報拡散をする人が多いです。
店舗開業で良いスタートダッシュを切るには、いかにオープン直後から来店してもらえるかがポイントなので、宣伝活動は開業準備の中でも特に重要といえます。
販促物を用意すると同時に、オープンイベントを企画してその内容を周知すると、集客効果を高めることが可能です。オープンセールや来店者限定プレゼントキャンペーンなど、情報を知った人が足を運びたくなるような案を考えて、積極的に周知していきましょう。
オペレーションを決定する
開業して上手く従業員をコントロールするために、オペレーションを細かく決めておくとよいでしょう。オペレーションとは、店舗内の業務フローを定めた独自ルールのことです。
たとえば、電話対応マニュアルを作成することで、責任者が不在でもアルバイトが適切な電話対応が可能になります。
マニュアルがあることで従業員は動きやすく、経営者は従業員を管理しやすくなるので、店舗運営をする上でマニュアル作成は重要です。
- 予約対応マニュアル
- 料理作成マニュアル
- 電話対応マニュアル
- 清掃マニュアル
以上のようなマニュアルを作成して、上手く従業員を動かしましょう。
開業するのに必要な資格・手続きとは
最後に、開業するのに必要な資格や手続きについて説明します。個人事業主になるための手続きについても触れるので、開業の際にはご参考ください。
なお、条件によっては手続きが不要な場合もあるので、各機関で事前に確認しておくことをおすすめします。
個人事業主になるために必要な手続き
個人事業主になるためには、開業届の提出が必要です。また、確定申告で青色申告をする場合には所得税の青色申告承認申請書も提出することになります。
たとえば、居酒屋やカフェ・喫茶店、キッチンカーで開業する方は個人事業主として開業することになります。他にも、ネイルサロンやマッサージ、家事代行など、サービスを提供する場合も同じです。どのように手続きを行うのか確認しておきましょう。
開業届
開業届は、納税地の税務署で手続きを行います。税務署で専用用紙を受け取ることができ、国税庁のホームページからダウンロードも可能です。提出期間は、開業を開始した日から1か月間なので、開業したら速やかに提出しましょう。
所得税の青色申告承認申請書
青色申告による確定申告をする場合は、所得税の青色申告承認申請書も提出しなければなりません。青色申告とは、日々の取引を記帳した帳簿にもとづいて正しい所得金額や税額を計算して確定申告をすることで、所得税の青色申告承認申請書はその手続きに必要です。
白色申告という方法もありますが、青色申告によってさまざまな節税効果が得られるため、基本的には青色申告を選択することをおすすめします。開業届の提出と同じタイミングで、一緒に税務署に提出しておきましょう。
飲食店開業の場合に必要な手続き
飲食店を開業する際に必要な手続きは、飲食店営業許可申請と防災管理者の2つです。特に営業許可証の取得はどの飲食店でも必須で、無許可の状態で開業すると違法になります。
各手続きの方法について紹介するので、隙間時間を見つけて手続きを進めておきましょう。
飲食店営業許可申請
飲食店を開業するには、飲食店営業許可を取得しなければなりません。店舗の所在地を管轄する保健所の窓口で営業許可申請が可能です。
ただし、営業許可申請をするには、食品衛生責任者の資格取得が必要なので、地方自治体が実施している食品衛生責任者の講習会を受講して、早めに資格を取得しておきましょう。
ちなみに、店内で製造した商品を店頭で販売する場合は、飲食店営業許可の他に営業許可を取得する必要があります。かなり細かく分けられているので、一度保健所に業務形態を説明して、何の営業許可を取得すべきなのか確認しておきましょう。
防災管理者
一定の要件を満たした場合、防災管理者選任届を消防署に提出しなければなりません。収容人数が30人以上の飲食店を開業する場合は、提出が義務付けられています。ちなみに、届出には乙種と甲種があるので、提出書類を間違えないようにしましょう。
- 店舗の延べ面積が300平方メートル未満:乙種防火管理者の届出
- 店舗の延べ面積が300平方メートル以上:甲種防火管理者届出
店舗の物件によっては、防火対象物使用開始届や防火対象物工事等計画届出書、火を使用する設備等の設置届の提出が求められる場合があるので、消防署の指示に従いましょう。
開業に向けて計画的に準備をしよう
開業して成功を収めるには、しっかり時間をかけて準備を行うことが大切です。開業を決心してオープン日を迎えるまでに、少なくとも1年は必要といわれています。
今回紹介した開業までの流れを参考に、計画的に準備を進めていきましょう。