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お店ラジオ 2022/06/15 2024/03/14

常に部屋は満席!佐野流、社長自らが行うインスタ集客と満足度を高めるリピーター育成戦術

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「お店ラジオ」は、店舗経営にまつわるトークラジオ番組です。小売店や飲食店など各業界で活躍するゲストをお招きし、インタビュー形式でお届けしています。この記事は、InterFMで毎週日曜日にお送りしている「お店ラジオ」で放送された内容を未公開放送分も含めて再編集したものです。

今回のゲストは、海外用Wi-Fiルーターレンタルサービスのブランドを主力事業とするかたわら、「温泉付きグランピング施設」も展開する、株式会社ビジョン取締役社長 兼 CEOの佐野健一さんです。一部上場企業を経営する中、突如スタートした温泉事業の意外なきっかけとはなんなのか。圧倒的な収益性を誇るビジネスモデルの秘密や、集客やコストカットの方法などの具体的な戦略にも踏み込みました。何手も先まで練り込まれた戦略や、その裏に潜む熱い想いについて深掘りしていきましょう。

第一回は、温泉グランピング事業の立ち上げについてのお話でした。第二回は、部屋を常に満室にする集客戦略についてご紹介します。

 

リピーターを増やすため、「近くに住むお客さん」をターゲットに

僕らのターゲットは、県外よりも県内のお客さんです。コロナになってから旅行のトレンドが変わっていて、マイクロツーリズム(短距離の旅行)の需要が高まっているなと思うんです。例えば2時間かけてどこかに行って、帰り道は渋滞にはまって4時間かけて帰ってくる、というのはもう受け入れ難いものになっています。それよりはたった15分で別世界に行ける、という方が圧倒的に魅力的に映るのです。

また、近くに住んでいるお客さんの方がリピーターになりやすいです。遠くに行って、そこがすごくよかったとしてももう一度行くというのはかなりハードルが高いです。しかし近くに住んでいれば来月も行こうかな、となる可能性も高くなります。

 

リピーターにするために重要なことは「満足度」しかない

そしてその県内から集めてきたお客さんをリピーターにするために重要なのは、顧客満足度を高めることです。小手先のテクニックは通用しません。だから、僕たちはサービス内容に注力してグランピングを最高の体験にすることを目指します。こうしてグランピングが人生の重要コンテンツの一つになったら、自然とリピーターになってくれるはずです。これが功を奏してか、うちはかなりリピーターが多く、毎月来るお客さんもいます。

 

先を見据えた土地選び、田舎独特の拡大戦略

あと気をつけていることは、満室があまりに続かないように拡大していくことです。泊まりたくても泊まれない、という状況が続くとモチベーションが下がってしまいます。施設の拡大先が別の土地になってしまっては既存のお客様が生活するから離れてしまうので、なるべく同じ場所に増設するような形で拡大してくことが重要です。

僕らはそれも見越して場所を選んだので、着々と拡大することができました。初めは全体の敷地は2000坪ほどでスタートしたのですが、今は3倍以上の敷地面積があります。田舎なので、農地を引き取ってほしいという声をすごくいただいていたのです。だから隣り合っている土地を安く買っていって、どんどん広くしていきました。

 

一人あたりの単価が安くても収益性が高いワケ

一人あたりの単価は大体2〜3万円ほどです。新しくできた棟はテントサウナ・水風呂・露天風呂もあってさらに自分専用のスペースで焚き火もできます。ご飯を食べるところは冷暖房完備のコンテナになっています。これだけの設備があって2万5千円前後で、既存の棟はこれらの設備がなくて2万円です。自分の部屋に露天風呂がついていて、3万円以下で泊まれるところは、ほとんどないと思います。

そんなに安くて莫大な投資の元が取れるのか?と思うかもしれませんが、実は取れます。なぜかというと、一人あたりの単価は安くても、部屋あたりの単価は高くなるからです。普通は旅館ならば2人で泊まることが多くなるのに対し、グランピングは大半が3、4人です。そのため、仮に一人あたり2万円でも、部屋あたりでは8万円になります。

この単価で部屋を常に満室にしているので、投資の元を取るのはみなさんが予想するよりかなり早いと思います。こちらとしても3人以上のお客さんを狙って、女子会や卒業旅行などで来てもらえるように専用プランを作ったり、インスタでの集客に力を入れています。

 

佐野流インスタ活用術「無駄にフォロワーが増えても仕方がない」

僕は、夜な夜な宿泊施設のインスタグラムを運用しており、フォロワーが1万2千人います。以前は、DMがきたらきちんと返信したり、フォローされたらお礼を言ったりと、バイトの子がやるようなこともしていました。DMで予約が来すぎて寝られなくなったり、ミスでダブルブッキングしてしまったりと、弊害も大きかったので今では現場の子に任せています。

インスタの解説本には載っていないような細かい戦術も考え、とにかくたくさん試していきました。そして気づいた重要なことは、ターゲティングをしっかりとすることです。フォロワーは量より質です。無駄にフォロワーが増えても、その人がお客さんにならなかったら仕方がありません

そのためには、なるべく旅行好きな人が集まるように心がけます。さらに、そういう旅行好きな人の周りには、旅行好きな人がいますので、そちらへの広がりも期待できます。そのような人たちにリーチするための策として、すでに自分達に似たようなアカウントをフォローしている人たちをどんどんフォローしていきました。するとその中の何割かはフォローしてくれます。

広告も活用します。インスタの広告は距離でフィルタリングができるため、50キロ圏内に設定して広告を打ちます。先ほども話したように、近くに住んでいる人にアプローチすることを重視しているからです。月5万円ほどでも意外と集まります。

 

「結果的に映える」ことで、お客さんに最高の宣伝をしてもらう

あと、やはり重要なのが実際の宿泊の様子をお客さんに投稿してもらうことです。「楽しかった」「美味しかった」「こんな施設初めて!」のような投稿がまた広告になるので、自然とお客さんが集まってきます。グランピングの全ての部屋に「インスタ投稿してください!」のようなことを書いておいて、投稿を促しています。しかし「投稿してくれたら〇〇プレゼント!」などは一切やっていません。

「よかったから投稿する」ということが自然に起きるのが大事だと思うんです。無理にインスタ映えするスポットを作ることもしません。「映え」の移り変わりはとても激しいのでこちらから狙っていくことは困難だからです。

よって、こちらが最高のサービスを提供することで結果的に映える、という状況を作ります。こうして自然によい投稿が重なっていけば信頼も積み重なっていきます。お客さんはみんな撮るのが上手なので、こちらが満足させることができれば、自然と魅力的な投稿をしてくれますじゃらんや楽天トラベルのようなOTA(宿泊予約サイト)も使っているのですが、やはり手数料が高いです。インスタを使えば1円もかからないわけなので、いかにこのような自社へ直で流入してくるお客様の割合を増やしていけるかが大事だと思います。

 

平日でも常に満室、物語る日本社会の移り変わり

この集客に注力している甲斐あってか、常に満室状態が続いているほどご好評いただいているのですが、意外なのは平日でも部屋が埋まっているということです。

一昔前なら平日に出かけるなんてことは考えづらかったと思いますが、その状況は少しずつ変わっているようです。有給も取りやすくなっていますし、平日休みの人も増えています。平日の方が、単価が安いこともあり休日以外にも自然に人が分散しています。先ほど話したようなマイクロツーリズムの流行によって休みが短くても気軽に旅行する人が増えているのかもしれません

 

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執筆 真鍋 誠人

スマレジにて主にイベントマーケティング・コミュニティマーケティング・SNSマーケティング担当。スマレジユーザーのコミュニティ「アキナイラボ」の統括責任者をしており、店舗運営にまつわるヒント・コツを共有し相互発展していけるよう環境作りに日夜奮闘中。

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