キャッシュレス決済の利用者は増加傾向にあるため、事業者は決済をスムーズに行ううえでマルチ決済の導入は必須といえるでしょう。
本記事では、まだキャッシュレス決済を未導入で、マルチ決済の情報を集めている事業者向けに、マルチ決済の概要や導入のメリット、決済方法の種類、おすすめのサービスを紹介します。
この記事の目次
マルチ決済とは?
マルチ決済とは、電子マネーやクレジットカード、デビットカード、QRコードなどさまざまな決済方法に対応しているシステムです。現金以外の決済方法はいくつもあるので、人によって利用しているキャッシュレス決済方法は異なります。
以前は、決済方法ごとに決済端末を用意し、端末ごとに決済を行う必要がありましたが、マルチ決済を導入することにより、1つの端末でさまざまな決済方法に対応することが可能になります。決済会社に対して発生する手数料もまとめて管理できるシステムのため、費用対効果が高いシステムといえるでしょう。
マルチ決済の需要が高まる背景
マルチ決済が普及している背景として、衛生面への注目が高まっていることもあげられます。新型コロナウイルス感染症の流行により、顧客と従業員との接触機会を減らすために現金よりもキャッシュレス決済を利用する人が増えました。
マルチ決済の導入は各業界で広がっており、スーパーやコンビニなどの小売業を筆頭に、外食産業や劇場、イベント会場などの施設がキャッシュレス決済を推奨しています。
したがって、新型コロナウイルス感染症への対策として、キャッシュレス決済が新しい生活様式に組み込まれたことがマルチ決済の需要が高まった原因の1つといえるでしょう。
マルチ決済の導入状況と国が掲げる目標
マルチ決済の需要が高まっているとはいえ、日本のキャッシュレス決済比率は約20%に留まっており、40~60%台の世界主要各国に比べるとまだキャッシュレス決済が浸透しているとはいえないでしょう。
経済産業省は2020年6月に、キャッシュレス決済比率を2025年までに4割程度に引き上げ、将来的には世界最高水準の80%を目標にすることを発表しました。2019年10月から2020年6月までキャッシュレス・還元事業を行い、キャッシュレス決済の推進を行ったように、今後もさまざまな施策が行われることが予想されます。
数年のうちにキャッシュレス決済の需要が増加することが考えられるので、事業者はマルチ決済を導入し、キャッシュレスの新たなニーズに備えることが重要です。
マルチ決済で対応できるキャッシュレス決済方法の種類
マルチ決済で対応できる4つのキャッシュレス決済方法(クレジットカード決済、交通系電子マネー決済、非交通系電子マネー決済、QRコード決済)を紹介します。
クレジットカード・デビットカード決済
クレジットカード・デビットカード決済は、専用のカードを使って決済する方法で、キャッシュレス決済方法のなかでは、一番日本で普及しています。クレジットカード・デビットカード決済は手元に現金がなくても気軽に利用でき、特に金額が大きな取引で利用されることが多いです。
半数以上の事業者が導入していますが、特に飲食業や小売業、観光業などで普及率が高く、取引金額が大きい店舗やレジの効率化を図ろうとする店舗でよく導入されています。たとえば、飲食店のなかでも大人数の利用をターゲットとしている店舗は、合計金額が高額になりやすいため、クレジットカード決済が有効です。
小規模事業者の普及率はまだ低いですが、普及率が最も高いキャッシュレス方法がクレジットカード・デビットカードなので、これらの決済方法には対応しておくことが重要です。
交通系電子マネー決済
交通系電子マネー決済の利用も増加傾向にあります。電子マネー決済とは、予め専用のカードや端末にお金をチャージしておき、チャージした金額内で決済ができる方法です。たとえば、JR東日本が管理しているSuicaなどが交通系電子マネーに該当します。交通系電子マネーを導入している事業者は全体の4分の1なので、キャッシュレス決済手段のなかでは普及率は低いといえるでしょう。
交通系電子マネーをよく利用している人は、クレジットカードを所持できない若年層や公共交通機関を頻繁に利用している人が多いため、学生や公共交通機関で移動する人が多い関東地方では導入率が高いですが、車移動がメインになりやすい中国四国地方は導入率が低い傾向にあります。
カードやスマホなどを専用端末にかざすだけでスピーディーに決済を行える点は便利ですが、チャージできる金額の上限が2万円なので、利用できる店舗には限りがある点も導入率が伸びない原因の1つです。そのため、今後も客単価が低い小売業や飲食店を中心に導入されていくことになるでしょう。
非交通系電子マネー決済
非交通系電子マネーは交通系電子マネー以外の電子マネー決済方法で、iDやQUICPay、nanaco、楽天Edyなどが該当します。使い方は交通系電子マネーと同じで、事前にチャージをしておき、その金額内で決済を行うことが可能です。
交通系電子マネーと大きく異なる点は、地域別に導入状況に大きな差がない点で、日本全国で満遍なく利用されています。後払い方式のものもあるため、交通系電子マネーよりも使える幅が広く、5,000円~1万円の客単価の店舗でも導入率が高いです。
客単価が1万円未満の店舗は、非交通系電子マネー決済の対応を準備しておく必要があるでしょう。
QRコード決済
QRコード決済とは、PayPayやd払い、楽天ペイなど、スマホで店舗に設置しているQRコードを読み込んだり、スマホに表示されたQRコードを読み込んでもらったりして行う決済方法です。スマホさえあれば決済ができるため、財布を持ち歩く必要がなく、手元に現金やクレジットカードがなくても簡単に買い物をすることができます。
飲食業や小売業、観光業を中心に導入されており、交通系電子マネーの普及率が低い分、中国四国地方の導入率が高いです。クレジットカードよりも手軽に決済ができるため、低価格帯の決済で利用されることが多いことから、1,000円~3,000円未満程度の客単価の店舗でよく導入されています。
勢いのあるサービスが多いので、キャッシュレス決済を導入するならまずはQRコード決済の導入を検討しましょう。
マルチ決済を導入するメリット
マルチ決済の主なメリットは、1つの端末で簡単に処理ができる点と消費者の利便性が向上する点です。順に説明するので、マルチ決済導入を検討してみましょう。
1つの端末で処理ができる
マルチ決済を導入することで、さまざまなキャッシュレス決済に対して1つの端末で対応できる点が大きなメリットです。従来の決済方法ごとに端末を用意するのでは、レジ周りがコードや端末で乱れて従業員が働きにくくなります。端末を1つにまとめてしまえばレジ周りがすっきりするため、見栄えもよくなるでしょう。
また、さまざまなキャッシュレス決済に対応できるので、顧客のニーズに応えやすくなります。場合によっては、使用したい決済方法に対応していないことを理由に、二度と来店してくれなくなるケースもあるでしょう。マルチ決済にすれば、決済方法が限定的であることを理由にした顧客離れを防ぐことができます。
なお、マルチ端末を使って決済した場合、全て同じ日に入金されます。売上金が一括で振り込まれる点も魅力の1つです。入金日を統一できるので、キャッシュフローを把握しやすくなります。
消費者の利便性向上
マルチ決済を導入することで消費者の利便性が大きく向上します。たとえば、スマホ1つでも買い物できるので散歩の途中でフラッとお店舗に立ち寄ることもできますし、現金払いで会計をする際の煩わしい小銭のやりとりがなくなります。
他にも、決済方法によっては買い物をした履歴がチェックできるため、消費状況の管理が簡単になったり、現金やカードを持ち歩く場合の紛失や盗難のリスクを最小限に抑えたりできる点も消費者にとって利点です。消費者が一番使いやすい、もしくはメリットが大きい決済方法を利用できるため、顧客満足度向上に一役買ってくれるでしょう。
マルチ決済のおすすめ端末4サービスの費用や機能性とは?
マルチ決済にはいくつものサービスが展開されているので、特徴や費用、機能面を参考にして最もニーズにマッチするサービスを選ぶことが重要です。今回はおすすめの4つのサービスについて紹介します。
スマレジ・PAYMENT
最初に紹介するのは株式会社スマレジが運営する「スマレジ・PAYMENT」です。1台でクレジット、電子マネー、QRコード対応のマルチ決済端末です
またプリンタ内蔵型なので周辺機器の準備は不要、スマホのようなタッチパネル操作で持ち運びも楽々
です。4G回線で通信が可能な為、屋外、移動販売などのシーンでも活躍し、スマレジとのPOSレジ連携で、端末から金額を直接入力、売上集計可能です。
マルチ決済端末ソリューション(GMOフィナンシャルゲート)
「マルチ決済端末ソリューション」は、GMOフィナンシャルゲート株式会社が提供しているサービスで、レジ周りの省スペース化を実現してくれます。タッチパネルや磁気カードリーダー、ICカードリーダーなどあらゆる機能が1つにまとまっており、対応している決済方法が豊富です。
また、dポイントやWAON POINT、T-POINTといった共通ポイントや免税処理にも対応しており、24時間365日のコールセンターや全国の設置・保守対応で万全のサポートをしてくれます。
利用まではヒアリングからプラン提案、申込、審査、端末設置の順で進み、期間の目安は1か月~1か月半のため、新規オープンやリニューアルに合わせて導入するなら、遅くても2か月前から動くことをおすすめします。
据置型やモバイル型、ピンパッド型などさまざまな形状の端末が揃っているので、レジ周りの環境や店舗の事業形態によって使い分けることができる点も1つの魅力です。初期費用や月額費用(決済手数料)は導入店舗によって異なるため、導入費用やランニングコストが気になる方は問い合わせる必要があります。
3.24%~となっているので、ランニングコストを比べる基準にしておくとよいでしょう。
iRITSpay決済ターミナル
「iRITSpay決済ターミナル」は株式会社アイティフォーが運営しているサービス。スキャナーが内蔵されており、クレジットカード・デビットカードや電子マネー、QRコード、プリペイドカードなどあらゆるキャッシュレス決済に対応しています。
また、中国系決済の銀聯(ぎんれん)カードやAlipay、WeChatペイにも対応しているため、インバウンド需要の大きい店舗とも相性が良いでしょう。
iRITSpay決済ターミナルはタッチパネルで直感的に操作できる点も魅力で、従業員が無理なくスムーズにキャッシュレス決済処理ができるようになっています。
また、国際標準のセキュリティー基準に準拠しており、無人販売にも対応しています。導入の流れや導入費用、ランニングコストは契約内容によって異なるため直接問い合わせる必要があります。
MSマルチ決済ゲートウェイ
「MSマルチ決済ゲートウェイ」はマーチャント・サポート株式会社が提供しているサービスで、クレジットカード決済やタッチ決済、QRコード決済をはじめ、さまざまな決済方法に対応しています。
各種決済の売上データと連携を行っているため、マーケティングにも役立ち、リアルタイムで売上データを確認したり、複数店の売上を一括管理したりすることも可能です。他にも、POS連動や高度なセキュリティといった機能性や強みがあります。
導入までは、ヒアリングから提案、申込、審査、端末出荷・端末設置、サービス開始といった段取りで進みます。導入費用は発生しないので初期投資の費用がかからないことも魅力です。
マルチ決済を導入して多様化する顧客の決済ニーズにスマートに対応しよう!
マルチ決済は、事業者の決済作業における負担やコストを軽減できるだけでなく、消費者の利便性アップなどさまざまな効果が期待できます。
ご紹介した「スマレジ・PAYMENT」は高機能なクラウドPOSレジ「スマレジ」とも連携しているため、マルチ決済の導入を検討している方は、ぜひ利用をご検討ください。