Powered by

Home お店ラジオ お客様視点での顧客ニーズの深掘り

お店ラジオ 2025/03/19 2025/03/19

お客様視点での顧客ニーズの深掘り


about

「お店ラジオ」は、店舗経営にまつわるトークラジオ番組です。小売店や飲食店など各業界で活躍するゲストをお招きし、インタビュー形式でお届けしています。この記事は、InterFMで毎週日曜日にお送りしている「お店ラジオ」で放送された内容を再編集したものです。

今回のゲストは、株式会社カチアリ 代表取締役の有村壮央さんです。一人焼肉を広めた「焼肉ライク」の元代表として活躍し、現在は飲食業界向けのコンサルティング事業を展開。独自の視点と実績をもとに、新たな価値創造に挑んでいます。

一人焼肉という新しい業態を開発し、「焼肉ライク」を最大93店舗に拡大させた経緯、その中で直面した設備コストや来店頻度の課題を克服するための取り組み、さらに海外展開における成功と国内市場での課題、そして業態の進化に向けた柔軟なマーケティング戦略について、3回に分けてお届けします。

第1回は、「焼肉ライク」の成長秘話や、西山塾で得た学び、新しい挑戦への背景などについてお送りしました。 

第2回は、一人焼肉の課題として挙げられる来店頻度や設備投資の問題、さらには吉野家に学ぶ業態進化のヒントなどについてお送りします。  

 

この記事の目次

 

国内出店の課題「良い立地の確保」

海外の店舗が急成長している一方で、日本国内での出店にはいくつかの課題があります。特に「良い立地」とされる物件が減少しつつある点が挙げられます。「良い立地」とは、店前の通行量が多く、平日だけでなく土日も集客が見込めるエリアを指します。こうした場所は、住民だけでなく働く人や観光客など、幅広い層が集まるため、長期的な収益が期待できます。

具体的には、渋谷、新宿、池袋、横浜といった主要都市が出店候補として挙げられます。ただし、これらのエリアで理想的な物件を確保するには、家賃に加え、企画料や礼金の柔軟な対応が求められます。また、不動産仲介業者との信頼関係を築くことも重要です。仲介業者に信頼される実績を積むことで、良質な物件情報が集まりやすくなります。

さらに、メディアへの露出も大きな効果を持ちます。話題性のある店舗として認知されることで、「この店ならすぐに決めてくれる」と不動産業者に思われるようになり、条件の良い物件が次々と集まるようになるのです。

 

ロードサイド出店の可能性と課題

出店については、ある程度の方向性が定まってはいますが、特に住宅街への出店では試行錯誤が続いています。現在、ロードサイドに関しても約10店舗を展開しており、このエリアで成功すれば、駅前以上に大きな可能性が広がると感じています。

ロードサイドには約800店舗分の展開余地があると見込んでおり、トライアルを重ねながら慎重に出店を進めています。もちろん、トライアルの結果として「これはうまくいかなかった」という判断に至ることもありますが、その都度改善を重ね、新たな挑戦を続けています。

ロードサイド店舗については、焼肉キングのような大規模店舗が多いため、一人焼肉をそのままの形で持ち込むだけでは成功は難しいと考えています。また、ロードサイドに強みをもつ企業と駅前を得意とする企業では、戦略や運営スタイルが大きく異なります。

たとえば、すき家はロードサイドに強みを持っていますが、駅前では苦戦することが多い。一方、松屋や吉野家は駅前で強みを発揮しています。このような違いを理解しつつ、自社の強みを最大限活用し、戦略を最適化することを模索しています。

 

環境に応じた業態の最適化

駅前の店舗とロードサイドの店舗は、一見同じ業態に見えるかもしれませんが、実際には多くの違いがあります。たとえば、ファミリーが入りやすいお店なのか、女性が一人でも気軽に立ち寄れるお店なのかによって、商品設計や店舗作りの根底にある考え方が大きく変わります。

駅前店舗では、女性が一人で来店しても安心できる視線の配慮が重要です。一方、郊外店舗では、広い席を設け、周囲を気にせずくつろげる空間作りが効果的です。こうした対応は、経験を積む中でノウハウとして蓄積される感じています。

しかし、このノウハウをどの場面でどのように活用するかを見極めるのは決して簡単ではありません。最初は成功すると思った方法でも、ロードサイド進出時には、従来の成功体験が通用しないこともありました。その違いに気づき、適切に対応するまでには時間がかかることもありました。

「焼肉ライク」においても、業態のチューニングが必要だと感じています。現在は次のフェーズとして、新しい条件に合わせた業態の最適化を進めています。私はこれらの挑戦を次の代表に任せていますが、時折好き放題に意見を言いながら、これからの進化を見守っています。

 

挑戦と柔軟性が生む成功「西山塾と焼肉ライクの成長秘話」

現在も西山さんには「焼肉ライク」のチューニングに関与していただいており、重要なポイントでは必ずお話を伺うようにしています。

「西山塾」の凄さを挙げるとすれば、「マーケティング力」と、それを支える「素直さ」だと思います。西山さんのマーケティングは、お客様視点を徹底し、自身の体験と調査を通じて顧客ニーズを深掘りする点にあります。

世界中の高級店から庶民的な店まで足を運び、自らの体験を通じて「お客様としてどう感じたか」を深く考えます。そして、ターゲットとなる層が何を感じているかを徹底的にヒアリングし、調査するのです。さらに、どんな可能性も否定しないという柔軟な姿勢が、西山さんのマーケティングの特徴だと思います。

「焼肉ライク」も、当初、「一人で焼肉に行く人はいない」という声もありましたが、その可能性を否定しなかったことが成功につながりました。もちろん、挑戦が必ずしも成功するわけではなく、失敗することもあります。その失敗からしっかりと学び、改善を重ねることで、勝率を上げていくことが重要です。

西山さんの挑戦数の多さは特筆すべき点です。私たちが知らないところでも、さまざまな業態を生み出し、多くの経験を積んでいるのだと思います。この経験の積み重ねが、現在の成功を支えています。

第2回は、一人焼肉の課題として挙げられる来店頻度や設備投資の問題、さらには吉野家に学ぶ業態進化のヒントなどについてお送りしました。  

第3回は、国内外での展開の可能性や立地選びの課題、ターゲット層の多様化を進める具体的な戦略についてお送りします。

 

執筆 アキナイラボ 編集部

このページの先頭へ