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お店ラジオ 2023/02/15 2024/03/14

お店とは自分の姿を映す鏡。徹底的にお店と向き合う

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「お店ラジオ」は、店舗経営にまつわるトークラジオ番組です。小売店や飲食店など各業界で活躍するゲストをお招きし、インタビュー形式でお届けしています。この記事は、InterFMで毎週日曜日にお送りしている「お店ラジオ」で放送された内容を未公開放送分も含めて再編集したものです。

今回のゲストは、“焼肉のファーストフード”をコンセプトに1人焼肉という新業態で全国に90店舗を展開する株式会社 焼肉ライク 代表取締役社長の有村さんです。
徹底したコスト管理とマーケティング戦略による、真似をされないビジネスモデルの構築についてお送りします。

この記事の目次

  1. 焼肉ファーストフードにとって重要な物件探しのコツ
  2. メニュー開発にとって重要なのは、“ターゲットを明確にすること”
  3. 「PRのためにリスクをとるか、とらないか」メニュー開発の苦悩とは
  4. 「まずはやってみないとわからない」ということでPRを打つ
  5. お店とは自分の姿を映す鏡

 

焼肉ファーストフードにとって重要な物件探しのコツ

「焼肉ライク」に関しては、最初からフランチャイズを前提に展開していこうと思っていました。現在90店舗を展開していますが、4店舗目からフランチャイズをやっており、83店舗はフランチャイズで展開しています。

最初からフランチャイズを前提として展開を計画していましたので、マネジメントに関しては誰かの素晴らしい接客や技術に頼るのではなく、属人性を排除したビジネスモデルでの展開を考えていました。

また、フランチャイズの展開は資金調達と物件獲得も重要です。「焼肉ライク」の場合、資金はフランチャイズさんに調達していただきますし、物件獲得については、基本的には焼肉ライクをやりたいという会社さんが自ら地域の不動産屋さんをまわって物件を探します。もちろん我々も探しますが、基本的には自分たちで見つけてくださいねという形です。出店を希望される地元の会社さんが地元で物件を探すわけですから、良い物件が早く出てくるのがメリットです。

 

「焼肉ライク」が出店した場所で一等地というのは、ほとんど1人の物件開発担当が今までのお付き合いの中で探してきた物件なんです。
良い物件というのは水面下で動いていることが多いですから、結局はその情報をキャッチできる優秀な物件開発の人間がいるかいないかということが凄く大切な気がします。
逆に、良い業態ができたら物件オーナーから入って欲しいと言われることもあります。

出店を希望する物件が決まっても、物件オーナーとの交渉が重要になります。出店を希望する物件のオーナーは必ず店を見に行きますが、その時に焼肉はハードルが高いんです。大家さんからしたら油でギトギトになるのは嫌ですし、火災のリスクもありますから。

ですから、我々は油でギトギトにならないように、火災のリスクも極力抑えるために、こういう対策をしていますと大家さんに説明しています。そこを分かっていただくと、こんなお店があると街の人に喜ばれるね、だからやりたいと言っていただけることが多いです。

 

メニュー開発にとって重要なのは、“ターゲットを明確にすること”

「焼肉ライク」ではメニューも工夫をしており、「朝焼肉」というメニューがあります。
朝焼肉は、コロナ禍で夜8時以降は営業できないと制限がかかった時に、夜の営業が駄目なら朝やってみようということで始めました。新橋店では朝7時からやっているんですが、夜勤明けの方であったり、早めに出社をされる方が朝から焼肉を食べて行かれるんです。実際に朝から焼肉を食べてみると1日をめちゃくちゃエネルギッシュに過ごせますね。

メニュー開発については、まず、ターゲットを明確にします。
例えば定食屋さんで1人飲みをされている方を見て、こういう方が焼肉ライクで同じような食事するためにはどうしたらいいのか。提灯をさげることなのかもしれないですし、ドリンクの値段を少し下げることかもしれません。その他にもちょい飲みセットを作ることなのかもしれない。そういう発想でまずターゲットを明確にしていきます。そして、明確にしたターゲットに対してのメニューを開発します。

 

「PRのためにリスクをとるか、とらないか」メニュー開発の苦悩とは

開発したメニューの一つに“シン・メガホセット”という、7時間食べ放題のメニューがあります。我々の店はファーストフードで肉の種類は少ないので色々な種類のお肉を食べたいというニーズには答えられないですが、無心で食べたい人のニーズはあると思い、食べ放題というメニューを考えました。

しかし、食べ放題というのは元をとらなければならないと焦って最初の方にたくさん頼んで、時間が90分だとしても60分ぐらいでお腹がいっぱいになったりします。私はその最初の焦りがすごく嫌だなと思ったんです。

ですから、お肉の種類は3種類ですが、1人で行けて、かつ7時間食べ放題だと焦らずゆっくり食べられる、という商品ですね。食べ放題は1,980円(税別)で提供しているんですが、通常のお客様単価の1.5倍くらいにはなります。また、全ての席ではなく6席限定にしていて、回転数は他の席ほど良くはないですが通常空いてしまっている席が食べ放題で埋まっていれば、事業的には非常に良いわけです。

メニュー開発の会議の中では7時間席を独占されてしまうのではないかとか、スタッフのモチベーションが下がってしまうのではとか、そういうことがあると嫌だねという話はありました。

また、食べ放題の時間は11時から6時までなのですが、アイドルタイムというのは常に満席になっているわけではなく、2時から6時までというのは比較的、席が空いている時間帯です。であれば開放してみようということですが、食べ放題の時間を7時間にするとランチの時間にも被ってしまうんです。

正直せめぎ合いでした。何とのせめぎ合いかと言うと“PR”とのせめぎ合いなんですね。2時から6時までだと、それほど珍しくはありませんし、店側の思惑が透け透けです。7時間でやるとランチと被りますが、面白いと話題になる。検討を重ねた結果、1回やってみようということで始めました。

 

「まずはやってみないとわからない」ということでPRを打つ

まずはお客様にインパクトを与えて、面白いと思っていただきたいと思っています。それを事業的に成り立たせるのはこちらの手腕です。
クレームが多いなら改善していけば良いだけの話ですので、まずはやってみないとわからないということで“PR”を大切にしているという感じです。
飲食店では時流に合っていればメニューの面白さががPR的には刺さります。

そして、話題の時に即座に反応するスピード感が大切です。そのために僕らマーケ部の中で“1DAY1アイディア”というアイディア出しをやっています。社内SNSでグループを作って、どうやったらメディアに取り上げてもらえるかのアイディアを毎日1人1個ずつ出し合っています。しんどいですが、それが文化となりそこから出てきたアイディアが結構ありますね。

他に変わったサービスだと、サブスクがあります。私は最近ジムに通い始めたのですが、ジムでは食事を管理されますよね。これが結構面倒に感じてしまっていて「毎日何も考えずに食べれられたら良いのに」とTwitterでつぶやくと「鳥のもも肉が食べられるサービスがあれば毎日食べられる」とコメントがきました。

そして「どれくらいの値段がよいか」とツイートしたら「1万円切ると嬉しい」とか「9,800円で」など色々な意見がでました。そしてそれを2週間で固め、恵比寿で販売したところかなり売れました。しかし、やってはみたものの原価が合わなかったですね。少し値上げをして事業採算的には徐々に合って来てはいますが、まだまだです。こういった企画も、まずやってみるという気持ちでチャレンジしています。

 

お店とは自分の姿を映す鏡

最後に私にとってお店とは何かをお話しします。私にとってお店とは「自分の姿を映す鏡のようなもの」だと思っています。自分の状態が良くないとそれがお店にも出てきますし、お店で起こるクレームは自分の怠慢や、やらなければいけない事を先延ばしにしてしまったことから起きています。私はこれからもお店は生き物だと思って向き合っていこうと考えています。今後も「焼肉ライク」の応援をよろしくお願いします。

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執筆 横山 聡

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