「在庫管理が不十分で、廃棄しなければならない食材が発生している」
「食材の種類が多くて在庫管理に手間がかかっている」
このようなお悩みを抱えている飲食店経営者の方も多いのではないでしょうか。飲食店でも定期的な棚卸は必須で、飲食店だからこその棚卸の重要性やメリットもあります。
本記事では、飲食店における棚卸について詳しくみていきます。具体的な棚卸のやり方や飲食店で棚卸を行う重要性、効率的に棚卸を行う方法などを紹介しているので、参考にしてください。
この記事の目次
飲食店における棚卸しとは?
棚卸と聞くと小売店などが実施しているイメージが湧くかもしれませんが、飲食店でも棚卸を行う必要があります。
当然ながら飲食店にも食材やドリンクといった在庫があるので、棚卸を行って在庫量を確認しなければなりません。また、食材以外にも食器や消耗品の棚卸も必要です。
以下で、飲食店の棚卸のやり方・方法について詳しく解説します。
棚卸のやり方・方法
飲食店の棚卸は、以下の手順で行います。
- 棚卸表を作成する
- 在庫数を確認する
- 原価を計算する
はじめに、棚卸表を作成します。棚卸表とは、お店で取り扱っているすべての食材やドリンクなど在庫の品目をリストにしたものです。
リストには、「カテゴリ」「品名」「在庫数」「仕入れ価格」などの項目を用意します。
棚卸表を作成したら、在庫数を確認して棚卸表に在庫数を記入していきましょう。在庫数を確認する際、「業者からもらったサンプルは数に入れない」「空の箱やケースは事前に処分しておく」といった点に注意してください。正確な在庫数を把握しにくくなってしまいます。
在庫数を確認したら、品目ごとの原価を計算します。原価計算の仕方はさまざまですが、飲食店で一般的に使用されているのは、最後に仕入れたときの仕入れ価格で原価を計算する「最終仕入原価法」です。
飲食店における棚卸の重要性・メリット
飲食店においても、棚卸は重要です。飲食店でもしっかりと棚卸を行う必要があるのは、以下のようなメリットや重要性があるためです。
- 正確な原価率が把握できる
- 食材ロスや在庫ロスを軽減できる
- 確定申告にも影響を与える
ここでは、上記3つのポイントについてそれぞれ詳しくみていきましょう。
正確な原価率が把握できる
棚卸を行うと、以下の計算式で正確な原価率を把握できるようになります。
原価率(%)=(期首棚卸高+仕入高-期末棚卸高)÷売上高×100
飲食店は食材を一度に多く仕入れるため、次の年に繰り越される在庫も出てきます。この場合、正確な原価を把握するには前年の在庫と次年に繰り越す在庫を考慮して原価を算出しなければなりません。そのためには、棚卸が必要です。
原価率が高すぎると、売上が多くても利益はあまり出ないため、飲食店経営では原価率の把握が重要になります。棚卸の実施で正確な原価率を把握できるようになると、利益を出すための対策が取りやすくなります。
食材ロスや在庫ロスを軽減できる
棚卸を行うとすべての品目の在庫数が把握できるため、定期的に棚卸を実施すると残りやすい食材や不足しがちな食材が見えてきます。
棚卸によって在庫状況を正確に把握できれば、仕入れ量も適切に調整でき、食材ロスや在庫ロスを減らせるのもメリットのひとつです。
在庫管理が曖昧では、まだ在庫があるのに追加発注してしまったり、多く仕入れすぎて使い切れないまま消費期限を過ぎてしまったりして、食材を廃棄せざるを得なくなるケースもあります。特に、長期保存できない食材は在庫管理をしっかり行わなければロスになりやすいので、注意しなければなりません。
食材ロスによる環境負荷の問題が注目されているほか、仕入れ費用が無駄になって経営を圧迫する原因のひとつにもなるため、飲食店においても棚卸は重要だといえます。
確定申告にも影響を与える
年末の在庫数は、確定申告や税金にも影響を与えることを把握しておきましょう。
年内に消費しきれず翌年に繰り越す在庫があった場合、確定申告の際に繰越分の仕入れ費用は翌年の経費として計上するため、当年の経費が少なくなります。経費が少なくなると必然的に利益が上がるため、在庫を翌年に持ち越すと税金が高くなる点に注意が必要です。特に年末は、余分な在庫を持たないようにしましょう。
定期的に棚卸をしていれば、普段から在庫量の調整がしやすく余分な在庫も発生しにくくなります。先ほど紹介したように食材ロスの問題もあるので、棚卸で在庫量をしっかり把握して普段から適切な量を仕入れるよう意識することが大切です。
棚卸を行うときのポイント
飲食店が棚卸に取り組む際は、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 定期的に実施する
- 流れを決めてマニュアルを作成する
- システムやアプリを活用する
それぞれのポイントについて、以下で詳しく解説します。
定期的に実施する
棚卸は定期的に実施する必要があり、特に飲食店は食材を扱っているため、できるだけ短い間隔で実施するのが望ましいとされています。
可能であれば毎日、最低でも月に1回は棚卸を行いましょう。食材は種類が多く、仕入れ価格の変動も起きやすいため、頻繁に棚卸を行って正確な原価率を把握しておくことが大切です。食材の鮮度や量を管理するためにも、なるべく短い間隔で棚卸を行うようにしてください。
取り扱う食材が多い店舗は在庫の確認に時間がかかるため、なるべく棚卸の負担を軽減できるように、保管場所別に数人で分担するなど効率的に行える方法を検討しましょう。
流れを決めてマニュアルを作成する
スムーズに棚卸を行うために、流れを決めてマニュアルやフォーマットを決めておくのも効果的です。
マニュアル化しておくとミスや確認忘れを防げるだけでなく、担当者が変わっても引き継ぎしやすいというメリットもあります。
食材によって保管場所が分かれていたり、量や種類が多かったりすると、「バックヤードにある在庫の確認を忘れた」「開封後の食材のカウント方法が人によって違った」などの事態が発生するおそれがあります。誰が棚卸をしても正確な在庫量を把握できるように、しっかりとしたマニュアルを作成しておきましょう。
システムやアプリを活用する
棚卸や在庫管理をより効率的に行いたい場合は、在庫管理用のシステムやアプリを活用するのがおすすめです。
在庫の増減をシステムで一元管理し、ハンディターミナルでバーコードを読み込むだけで棚卸ができる製品やサービスもあります。システムやアプリを活用すると、人が目視で確認して手書きで在庫数を記入するよりも、ミスが起きにくく手間の軽減も可能です。
POSレジのなかには在庫管理機能が搭載されたものもあり、ハンディターミナルによる棚卸に対応した製品もあります。仕入れやロスなどもPOSレジに登録しておけば履歴を辿れるので、データと実在庫にズレがあった場合に原因を探しやすくなるのもメリットです。
棚卸を効率化したい人には「スマレジ」がおすすめ!
棚卸を効率化するためのシステムやアプリの導入を検討しているなら、「スマレジ」がおすすめです。
スマレジはiPadやiPhoneをPOSレジとして使用できるアプリで、レジ会計の効率化や売上分析などができるほか、在庫管理機能も備えています。
スマレジの在庫管理機能のひとつとして棚卸機能も提供されていて、iPod touchやiPadでバーコードが読み取れるため高価なハンディターミナルは必要ありません。棚卸の実施履歴を確認でき、理論値と実数の差をPDFとして出力することも可能です。