「レストランを開業したいけど、何から始めたらいいのかわからない」
「どのくらいの期間があれば開業できるのか知りたい」
レストランの開業を検討している人は、このような悩みや疑問を抱えているのではないでしょうか。レストランをオープンするまでには多くのステップがあり、計画的に進めなければなりません。
本記事では、レストランを開業する手順や流れ、必要なスキルや成功のためのポイントを詳しく解説します。
この記事の目次
レストランを開業する際の手順・流れ
レストランを開業するには必要なステップがあり、順を追って取り組まなければなりません。具体的には、以下の手順で進めます。
- コンセプトを決める
- 事業計画書を作成する
- 資金を調達する
- 物件を選ぶ
- 外装・内装工事を行う
- 資格を取得する・届出を出す
- 開店準備をする
それぞれのステップについて以下で詳しく解説するので、チェックしておきましょう。
コンセプトを決める
はじめに、どのようなレストランにしたいのかコンセプトを決めます。コンセプトはレストラン作りの軸となるもので、物件の立地や広さ・内装や外装のイメージ・メニューの内容・価格帯・ターゲット層などあらゆるものを決めるときの基準になります。
レストランのコンセプトの検討には、「5W2H」の視点を取り入れてみてください。具体的には、以下の7つの項目です。
- What:なにを提供するのか
- Why:なぜ開業したいのか
- When:営業時間や定休日をいつにするか
- Where:どこで開業するか
- Who:誰をターゲットにするか
- How:どのようにサービスを提供するか
- How much:サービスをいくらで提供するか
上記の7つを細かく考えていくと、漠然としたイメージから明確なコンセプトに近づけられます。
事業計画書を作成する
コンセプトが決まったら、事業計画書を作成します。事業計画書は新規事業を立ち上げるときに作成するもので、具体的な事業内容や収支計画をまとめた書類です。事業計画書は金融機関に融資を申し込む際に必要で、事業計画書の内容が不十分では融資の審査を通過できないため、しっかり作り込まなければなりません。
事業計画書に決まったフォーマットはありませんが、主に以下のような内容を盛り込みます。
- 日付や署名
- 開業する理由
- 現状の課題
- 課題の解決策
- 業績の見込みや今後の計画 など
事業計画書のテンプレートを提供しているサイトもあるので、必要に応じて活用しましょう。たとえば、新規事業への融資を実施している日本政策金融公庫のサイトでは、事業計画書など各種書式がダウンロードできるようになっています。
参考:日本政策金融公庫「各種書式ダウンロード」
資金を調達する
事業計画書を作成したら、開業に必要な資金を調達します。店舗の規模にもよりますが、レストランの開業には800万円から1500万円程度の資金が必要です。開業資金の主な調達方法としては、以下が挙げられます。
- 自己資金
- 家族や友人からの借り入れ
- 金融機関からの融資
まず、ある程度の自己資金を用意する必要があります。開業資金をすべて借り入れると返済が大変になりますし、そもそも自己資金がゼロの状態では金融機関から融資を受けるのは難しいです。たとえば日本政策金融公庫の融資先は、自己資金の平均は開業資金全体の3割程度という調査結果が出ています。
自己資金だけでは足りない分は、家族や友人、金融機関などから借り入れましょう。個人間でお金の貸し借りをする場合は、トラブルにならないように借用書や返済計画をしっかり用意しておく必要があります。
金融機関から開業資金を借り入れる場合は、新規事業に対する融資制度を利用しましょう。たとえば政府系の銀行である日本政策金融公庫では、新たに事業を始める人のための融資制度を用意しています。
参考:日本政策金融公庫「Q9 自己資金はいくらあれば融資を受けられますか。」
物件を選ぶ
続いて、物件を選びます。立地や広さ、雰囲気などを確認して、お店のコンセプトに合う物件を探しましょう。「ターゲット層のお客さまが利用しやすい場所か」「予算内の家賃で借りられるか」「付近にコンセプトが被っている競合店がないか」など、さまざまな点を考慮する必要があります。
希望する間取りや設備が導入できるかどうか確認するために、工事を依頼する施工業者と一緒に物件を選ぶのがおすすめです。物件を契約してから予定していた工事ができないことが発覚すると、二度手間になってしまいます。
希望にぴったり合う物件がなかなか見つからない場合、「とりあえず開業して、いい物件が見つかったら移転すればいい」と考える人もいるかもしれません。しかし、移転には費用や時間、手間がかかります。移転を前提に物件を決めるのではなく、納得できる物件が見つかるまで根気強く探してみてください。
外装・内装工事を行う
物件が決まったら、外装・内装工事を行います。工事の内容や費用、期間などは、物件の状態や希望の設備・デザインなどによって異なります。設備を一から導入する必要のあるスケルトン物件の場合は、大掛かりな工事が必要で費用も高額になりがちです。一方、前のテナントの設備が残っている居抜き物件なら、最小限の工事で費用も安く抑えられます。
資格を取得する・届出を出す
レストランをオープンするには、以下の資格や届出が必要です。
- 食品衛生責任者
- 防火管理者
- 食品営業許可申請
- 個人事業の開廃業等届出書 など
食品衛生責任者は、飲食店の衛生管理を行うための資格です。講習会を受講すると取得でき、栄養士や調理師などの資格保有者は講習会を受講しなくても食品衛生責任者になれます。
スタッフも含めた収容人数が30人以上の店舗は、防火管理者の選任が必要です。防火管理者の役割は、火災による被害を防止するための取り組みの推進です。資格は講習会を受講すると取得できます。
食品営業許可申請は、保健所に提出する届出です。書類を提出するだけでなく、実際の店舗で保健所による検査を受けなければなりません。
個人事業の開廃業等届出書は「開業届」ともいわれる届出で、個人で事業を始める際に税務署に提出します。開業届と一緒に「青色申告承認申請書」を提出しておくと、確定申告時に節税効果の大きい青色申告ができるようになります。
開店準備をする
必要な資格の取得や届出が完了したら、開店の準備を進めましょう。レストランの開店準備には、以下のようなものがあります。
- メニューの内容や価格を決める
- メニュー表を作成する
- 必要な備品を揃える
- アルバイトを募集する
- 調理や接客のマニュアルを作成する
- 販促活動を行う
まず、レストランにとって最も重要ともいえるメニューを決めなければなりません。コンセプトや原価などを考慮して、提供するメニューの内容と価格を決めます。メニューが決まったら、テーブルに設置するメニュー表も作成しなければなりません。また、テーブルやイス、おしぼりや食器、レジなど、レストランを営業するために必要な備品を一通り揃える必要もあります。
アルバイトを雇う場合は、教育の期間も考慮して早めに募集を開始しましょう。教育に使用する調理や接客のマニュアルも必要です。
多くのお客さまに来てもらえるように、販促活動にも力を入れてください。チラシや看板、ホームページやブログ、SNSやグルメサイトなどを活用して、多くの人にレストランがオープンすることを知ってもらいましょう。
レストランを開業する際に必要な能力・スキル
レストランを開業するために必要な能力・スキルには、以下のようなものがあります。
- 資金調達能力
- 経営能力
- マネジメントスキル
先ほど紹介したとおり、レストランを開業するには1000万円前後の資金が必要です。高額な開業資金をすべて自己資金でまかなえる人は少ないでしょう。そのため、融資の審査を通過できる資金調達能力は必須です。
また、レストランの経営を安定させるには、経営能力が求められます。しっかりとした集客目標や収支計画、返済計画などを立てて、そのとおりに実行しなければなりません。経営者として会計や法律、税務などの知識を身に着けておくことも大切です。
レストランは一人では運営できないため、スタッフを雇うケースがほとんどでしょう。複数人のスタッフを採用して教育し、円滑に仕事をしてもらうためにはマネジメントスキルも重要です。店舗全体のことを把握したうえで、適切な人員配置や指示出しなどを行う必要があります。
レストランの開業を成功させるためのポイントと注意点
レストランの開業を成功させるために、以下のポイントを押さえておいてください。
- スケジュールを立てて準備を進める
- アメリカやイタリアなど海外で開業したい場合は情報収集を行う
- 自宅でゴーストレストランを開業したい場合は設備が重要
- システムを導入して業務の効率化を目指す
それぞれのポイントについて、以下で詳しくみていきましょう。
スケジュールを立てて準備を進める
本記事の前半で紹介したとおり、レストランを開業するには必要なステップが多くあります。金融機関や施工業者、保健所など手続きや相談をする相手先も多く、計画的に取り組まなくてはなりません。
すべて段取り良く進んだ場合、レストランは半年から1年程度で開業できます。以下は、半年で開業準備をする場合の大まかなスケジュール例です。
- 1カ月目:コンセプト決め
- 2カ月目:事業計画書の作成
- 3カ月目:物件探し
- 4カ月目:資金調達
- 5カ月目:外装・内装工事
- 6カ月目:各種手続き、採用・教育、開店準備
- 7カ月目:オープン
物件探しや資金調達、工事などは予定通りにいくとは限らないので、必要に応じてスケジュールを修正しつつ、計画的に準備を進めることが大切です。
アメリカやイタリアなど海外で開業したい場合は情報収集を行う
アメリカやイタリアなど、海外でレストランを開業したいと考えている人もいるでしょう。日本以外の場所で開業したい場合は、念入りな情報収集が必要です。日本で開業する場合もニーズやトレンドなどの情報収集は必要ですが、海外で開業を目指すにはその国の文化やニーズについてより詳しい情報を集めましょう。
雑誌や新聞といったメディアや、現地に住んでいる人のSNSなど、さまざまな情報源をチェックし、幅広い情報をなるべく多く集める必要があります。
自宅でゴーストレストランを開業したい場合は設備が重要
ゴーストレストランとは、店舗を持たずに自宅のキッチンなどで調理し、インターネットやアプリからデリバリーの注文のみを受け付ける形式のレストランのことです。物件をみる手間や工事の費用などを削減でき、毎月の店舗家賃がかからず運転資金も抑えられるなどのメリットがあります。
ゴーストレストランも飲食店のひとつであるため、保健所から飲食店営業許可を得なければなりません。自宅でゴーストレストランを始めるには、保健所に「食べ物を扱う環境として適切である」と判断される設備が必要です。必要な設備の例としては、以下が挙げられます。
- 水洗いできる床
- 耐水性のある壁
- 虫が侵入しないように網戸のある窓
- 適切な換気システム など
所管の保健所の判断になるため、ゴーストレストランの開業を検討している人は保健所に事前相談することをおすすめします。
システムを導入して業務の効率化を目指す
レストランの業務を効率化するためのシステムは多くあるため、売上向上のためにも便利なツールの導入を検討してみてください。レストラン運営を便利にするシステムとしては、POSレジやオーダーエントリーシステム、予約管理ツールなどが挙げられます。
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手順をしっかり理解してレストランを開業してみよう!
レストランを開業するには、ひとつひとつのステップをしっかり進めることが大切です。本記事で紹介した開業までの流れをしっかり理解し、計画的にレストランの開業を目指しましょう。
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