店舗を運営する上で、予約電話の対応はスタッフ全員がマスターしておくのが基本です。予約電話は顧客とのコミュニケーションの中でも特に難しい対応で、顔や動作が相手に見えない分、より対応に気を付ける必要があります。
本記事では、電話対応の基本マナーや予約電話対応のポイントについて紹介するので、予約電話対応の方法を知りたい方は最後までチェックしてみてください。
店舗運営をしている方は、予約電話の方法をスタッフに周知して、店全体で顧客に好印象を抱かせる対応を心がけましょう。
この記事の目次
基本的な電話対応のマナー
電話対応で必ず押さえておくべきポイントがいくつかあります。特に基本となる電話対応は以下の8項目です。
- 3コール以内に出る
- 明るいトーンでハキハキ喋る
- 最初に名乗る
- 話の内容をメモに取る
- 確認に時間がかかる場合は保留にする
- 相手の名前や用件を復唱して確認する
- お客様が電話を切ってから通話を終了する
- 担当者が不在時は折り返しすることを伝える
いずれも意識すればすぐに取り組めることですが、電話対応に慣れていない人にとっては意外と難しく感じることも多いです。
最初はぎこちないかもしれませんが、慣れてくれば自然とこなせるようになるので、何度も繰り返し練習しましょう。
3コール以内に出る
電話が鳴ったら、3コール以内に出ることが基本的なマナーです。それ以上長くなってしまうと、電話先に不快な思いをさせる可能性が高くなります。
電話対応で不快な思いを少しでもさせてしまえば、顧客満足度に大きく響くため、なるべく顧客を待たせないように早く電話に出ることが大切です。
もし3コール以内に出られなかった場合は、最初に「お待たせいたしました」と添えてから話し始めましょう。
明るいトーンでハキハキ喋る
電話対応で特に意識すべきなのが、明るくハキハキと喋ることです。電話中は相手の顔が見えないため、話し方ですべての印象が決まります。
特に電話を介した声はこもりやすく、話している自分が思っているよりも、相手にとっては聞き取りにくくなっていることも少なくありません。対面で話す時以上にゆっくり、はっきりと発声することが大切です。
また、声のトーンが低ければ相手に暗い印象を与えてしまうため、顧客に対して不安な気持ちを抱かせる可能性が高まります。したがって、対面で人と話をするときよりも1トーン高めで声を出すようにしましょう。
最初に名乗る
電話対応のマナーとして、電話を受けた側が最初に名乗らなければなりません。電話番号の入力ミスなどで間違い電話をするケースもあるので、顧客は電話番号が合っているか不安に感じているものです。
そのため、電話した相手が誰なのかすぐにわかるように、受話器を取ったら「お電話ありがとうございます。〇〇店の△△と申します」と店名と対応者の名前を伝えましょう。
なお、電話に出る時はつい「もしもし」と話し始めたくなりますが、ビジネス上でこれは言わないのが基本です。「もしもし」は「申します、申します」が短縮されてできた言葉といわれており、ビジネスの場では略語は不適切とされているため、ビジネス上の電話対応ではNGとされています。
話の内容をメモに取る
相手の用件が何なのか、後から確認できるように、話の内容をメモに取る習慣をつけましょう。話が長引くほど序盤の内容を忘れることがあり、その後の業務に支障をきたす場合があります。
特にメモするべき内容は以下のとおりです。
- 相手の名前
- 連絡先
- 用件
後から折り返し電話ができるように、相手の名前と電話番号を必ず書き留めておくことをおすすめします。
確認に時間がかかる場合は保留にする
こちらで確認に時間がかかる要件があった場合は、受話器をそのまま放置するのではなく、保留にした上で席を離れるようにしましょう。間違った案内をするのはトラブルのもとなので、分からない部分があれば、しっかり調べて正しい情報を提供する必要があります。
もし時間をかけて確認することがある場合は、必ず「お調べいたしますので、少々お待ちください」と一言添えてから保留にしましょう。
相手の名前や用件を復唱して確認する
電話ではよく聞き間違いが生じるため、小まめに復唱して確認することが大切です。特に重要な情報である相手の名前や電話番号、用件は間違いがないように聞き取る必要があります。
ちなみに、復唱するときは、聞き間違いがおきないような言葉に言い換えることも重要です。たとえば、電話番号を復唱するときは、数字の0、4、7の発音に気を付けましょう。それぞれの番号をレイ(0)、シー(4)、シチ(7)と発音すると、電話口では非常に聞きづらくなります。
そのため、はっきりと聞き分けができるように、ゼロ(0)、ヨン(4)、ナナ(7)のように聞き間違いが生じにくい発音を心がけましょう。
お客様が電話を切ってから通話を終了する
相手が電話を切ったことを確認してから通話を終了するようにしましょう。相手よりも先に電話を切ると、まだ相手側の用件が残っているかもしれない状況の中、通話を終了することになります。
もし用件が残っている場合は、相手に再度連絡する手間が発生し、強制的に通話を終了されたことに対して相手が反感を抱く可能性が高いです。電話対応はクレームに繋がりやすい対応なので、いくら忙しくても相手が電話を切るまで自ら切らないようにしましょう。
担当者が不在時は折り返しすることを伝える
担当者の不在時に電話がかかってきたときは、担当者から折り返しする旨を伝えることで、より丁寧な対応をすることができます。
時間をおいて再度相手から電話をしてもらうことも可能ですが、相手が次に電話をかけたとき、担当者が在室しているとは限らず、二度手間を取らせてしまう可能性が高いです。
相手に再度電話をかけてもらうよりも、担当者から折り返し電話をかけた方が確実性があり、効率が良いでしょう。
そのため、必ず相手の名前と連絡先、電話をするのに都合の良い時間を聞いておく必要があります。相手がメールやチャットなど、他の連絡手段を求めてきた場合は柔軟に対応しましょう。
予約電話を対応する際のポイント
予約電話に対応する際は、トラブルを防止するために、いくつか気を付けるべきポイントがあります。特に以下の6点は重要です。
- 予約に空きがあるか必ず確認する
- 予約者の名前・連絡先を控える
- 予約内容を伺う
- 予約管理表にその場で記入する
- キャンセル料について説明する
- 電話が苦手なスタッフ用に電話対応マニュアルを作成する
注意点が多くて大変かもしれませんが、それだけ電話対応は細心の注意を払う必要があります。気持ちよく顧客に利用してもらうためにも、予約電話対応は徹底しておきましょう。
予約に空きがあるか必ず確認する
予約を受け付けるときは、相手の希望日に空きがあるか必ず確認しましょう。予約が可能かどうか確認せずに予約を受け付けてしまうと、万が一予約が埋まっていた場合、店舗側の都合で予約をキャンセルすることになります。
そうなれば、顧客に大きな迷惑をかけることになり、顧客の信用を失う可能性が高いです。予約電話のときは、必ず予約可能か確認して、スケジュールを調整しましょう。
予約者の名前・連絡先を控える
予約者の名前と連絡先を控えることを忘れないようにしましょう。提供するサービスによっては、後日店舗側から予約者に対して連絡をしなければならない場合があります。
たとえば、レストランなどの飲食店で、予約日の直前にコース内容の予約確認をするケースもあるでしょう。
また、予約者と当日の利用者が異なる場合は、利用予定者の個人情報も控えておくことが大切です。予約日当日の内容に関して、予約者ではなく利用予定者と連絡を取らなければならないこともあります。
さまざまなシチュエーションで店舗から顧客に連絡を取るケースが考えられるので、必ず店舗側から連絡が取れるようにしておきましょう。
予約内容を伺う
予約内容の詳細を伺うこともポイントです。具体的には、予約人数やコース料理注文の有無、サプライズの有無などが挙げられます。コース料理の有無によって仕入れや料理の仕込みの内容が変わりますし、サプライズの内容によって事前の打合せが必要になるからです。
顧客の希望を叶えることができてこそ満足度向上に繋がり、逆に希望に沿うことができなければ、不満を買うことになるでしょう。そのため、予約内容に関しては復唱しながらよく確認し、聞き間違いが生じないように気を付けることが重要です。
予約管理表にその場で記入する
予約を受けたら、速やかに予約管理表に記入して、予約ミスがないようにしましょう。通話時にいくら注意して聞いていても、時間が経つと記憶が薄れてしまいます。先ほど述べたように、予約内容にミスがあれば、顧客の信頼を大きく裏切ることになるでしょう。
そのため、メモになぐり書きをするだけで満足せずに、予約の管理表を作って第三者が予約情報を明確に把握できるようにすることが大切です。予約管理表で予約状況を把握できるようにすれば、ダブルブッキングなどの人的ミスを防止することにも繋がります。
キャンセル料について説明する
予約を受けるタイミングで、キャンセル料について説明しましょう。後から予約人数や予約日の変更など、お客様都合で予約内容が変わることはよくあることです。
予約の変更やキャンセルは仕方がないことですが、直前にキャンセルされると店舗が大きな損失を被ることがあります。そのような背景から、損失の補填(ほてん)として予約をキャンセルした人にキャンセル料を請求することが可能です。
ただし、事前にキャンセル料が発生することを予約者に伝えずにキャンセル料を請求した場合、大きなトラブルに発展する可能性が高いでしょう。そのため、キャンセル料が発生する条件について明確に示しておく必要があります。
たとえば、当日のキャンセルはキャンセル料が発生するというルールを設けたら、その旨を伝えると同時に、予約日の前日までにキャンセルするようにお願いしましょう。
電話が苦手なスタッフ用に電話対応マニュアルを作成する
電話対応が苦手なスタッフもいるので、正しく対応できるように電話対応マニュアルを作成しておきましょう。たとえば、電話対応のように一定のコミュニケーションが想定できる場合は、マニュアル化しやすいです。
マニュアルを活用しながらスタッフ教育をして、すべてのスタッフが正確に電話対応できるようにしておきましょう。
予約電話対応の例文【飲食店の場合】
マニュアル作りの参考になるように、予約電話対応をする場合の例文を紹介します。今回は飲食店で予約を受けられる場合と埋まっている場合を想定して考えてみました。
業種は違っても、予約を受ける流れはほとんど変わらないので、例文を参考にマニュアルを作ってみましょう。なお、電話の第一声から保留までの流れは以下のとおりとします。
店:お電話ありがとうございます。〇〇店の△△(名前)が承ります。
客:予約をしたいのですが。
店:ありがとうございます。ご予約でございますね。ご希望の日時とご利用人数をお聞かせ願えますか?
客:10月5日の18時から4名伺いたいのですが、空いていますか?
店:予約状況を確認いたしますので、少々お待ちくださいませ。(保留ボタン)
予約を受けられる場合の例文
【予約を受けられる場合】
店:お待たせいたしました。ご希望の内容でご予約を承ります。恐れ入りますが、ご予約者様のお名前とお電話番号をお聞かせ願えますか?
客:□□です。電話番号は090-××××-××××です。
店:ありがとうございます。復唱させていただきます。□□様、お電話番号は090-××××-××××でお間違いありませんでしょうか?
客:はい。
店:かしこまりました。なお、当日キャンセルの場合はキャンセル料を頂戴することになるため、キャンセルされる場合は前日までにお電話いただくようお願いできますでしょうか。
客:わかりました。
店:ご了承いただき、ありがとうございます。それでは、10月5日の18時にお待ちしております。私、△△がご予約を承りました。当日はお気をつけて起こしくださいませ。失礼いたします。
(※相手が電話を切るまで待つ)
予約が埋まっていた場合の例文
【予約が埋まっていた場合】
店:お待たせいたしました。大変申し訳ございませんが、10月5日の18時には先約が入っております。20時以降でよろしければ、ご予約を承ることが可能ですがいかがいたしましょうか?
客:そうですか……少し考えてみます。
店:□□様のご希望に沿うことができず、大変申し訳ございません。私、△△が承りました。ご検討よろしくお願いいたします。失礼いたします。
(※相手が電話を切るまで待つ)
予約電話へスムーズに対応しよう
予約電話は顔が見えない分、細心の注意を払って対応する必要があります。注意すべき点は多いですが、意識するだけで各段と電話対応がよくなり、好印象を与えることが可能です。
電話対応が苦手な方でも正確に対応できるように、マニュアルを上手く活用しながら、不快な思いをさせない姿勢を心がけましょう。