在庫回転日数を把握することで、在庫の健全化を図ることができます。商品が売れずにいつまで経っても在庫として店舗にある限り、売上に繋がりません。
商品によっては廃棄処分をしなければならず、損失に直結する場合もあります。そのため、在庫管理を徹底し、なるべく抱えている在庫を期間を空けることなく捌くのが理想です。
本記事では、在庫回転日数の計算式や類似した概念の在庫回転率について紹介します。在庫回転日数や在庫回転率を把握することにさまざまなメリットがあるので、この記事を最後までチェックして在庫の最適化を図りましょう。
この記事の目次
在庫回転日数とは
在庫回転日数とは、商品を仕入れてから何日で販売されているかを示す値のことです。
棚卸資産回転日数と呼ばれることもあり、商品の動向を把握するのに使われます。
在庫回転日数が短いほど、商品がすぐ売れていることを意味するので、在庫回転日数が短い商品を売り場に揃えることが店舗運営においては理想です。
在庫回転日数が長くなるほど、商品が売れていないことになるため、不良在庫になる可能性が高くなります。飲食物であれば販売できる期間が決まっており、在庫回転日数が長い商品は廃棄処分のリスクが高くなるので、なるべく日数が長い商品を減らす努力が必要です。
在庫回転日数が短い商品を増やし、長い商品を減らすことで、キャッシュフローを活性化させましょう。
在庫回転日数の計算式
在庫回転日数を計算する方法について解説します。計算式は以下のとおりです。
- 【在庫回転日数=日数÷在庫回転率】
在庫回転率に関しては、次の項目で詳しく解説しますが、簡単に言うと、特定の期間の間に何回売れたかを示す指標です。
日数には起点日から終点日までの期間を入れますが、年や月、時間単位でも計算することができます。一般的には、半期や年単位で計算することが多いですが、在庫管理を徹底するために、小まめに計算して商品の動向を逐一確認しましょう。
在庫回転率とは
在庫回転率は、一定期間内にどのくらいの頻度で商品が入れ替わっているかを示す値のことで、商品がどのくらいのペースで売れているのかを知ることができます。
たとえば、商品Aを50個陳列できる売り場があったとしましょう。このとき、一定の期間内に商品Aが150個売れた場合、単純に50個陳列できる売り場が3回空になったと考えることができます。
つまり、商品Aが売り場で3回入れ替わったことになるため、この場合の在庫回転率は3です。
在庫回転率が大きいほど商品の売れ行きが好調で、小さいほど商品の売れ行きが悪いことを意味しています。
在庫を長く管理するほど廃棄のリスクが高くなるだけでなく、商品の入れ替えがある店舗は新商品への注目が高くなるため、古い商品は時間が経つにつれて消費者から手に取ってもらえない可能性も高まります。健全な売り場を作るには、在庫回転率をいかに高くするかが重要です。
在庫回転率の計算式
在庫回転率の計算方法について解説します。在庫回転率の計算式は以下のとおりです。
- 【在庫回転率 = 売上原価÷平均在庫金額】
売上原価と平均在庫金額は、以下の式で計算できます。
- 売上原価:期首在庫金額(特定期間の最初の在庫金額)+仕入れ在庫金額-期末在庫金額(特定期間の最後の在庫金額)
- 平均在庫金額 =(期首在庫金額+期末在庫金額)÷ 2
たとえば、期首在庫金額が30万円、仕入れ在庫金額が20万円、期末在庫金額が10万円だったとします。このときの売上原価と平均在庫金額は以下のとおりです。
- 売上原価=30+20-10=40万円
- 平均在庫金額=(30+10)÷2=20万円
したがって、在庫回転率は、40÷20=2となります。
なお、上記の方法は金額ベースですが、個数ベースで求めることも可能です。個数ベースで在庫回転率を求める場合は、以下の式で計算できます。
- 【在庫回転率=期間出庫数÷期間平均在庫数】
- 期間出庫数:対象の期間における日々の出庫数量の合計値
- 期間平均在庫数:(期首在庫数+期末在庫数)÷ 2
どちらも同じ結果になるので、使いやすい方で計算してみましょう。
適正な在庫回転日数の求め方
適正な在庫を管理するために、適正な在庫回転日数を把握しておくことが大切です。以下の計算式で計算できます。
- 【適正在庫回転日数=日数÷目標在庫回転率】
目標在庫回転率の計算式は以下のとおりです。
- 【目標在庫回転率=年間の目標売上金額÷目標平均在庫金額】
- 年間の目標売上金額:1年間で売りたい金額
- 目標平均在庫金額:在庫として抱えるのに理想の金額
なお、目標とすべき数値が分からない場合は、経済産業省が発表している中小企業の商品(製品)回転率のデータを参考にしてみましょう。
参考:経済産業省「商工業実態基本調査(中小企業の商品(製品)回転率)」
在庫回転率を活用するメリット
在庫回転率の計算式を紹介しましたが、ここからは具体的に在庫回転率を活用するメリットについて紹介します。主なメリットは以下の5つです。
- 人気商品を把握できる
- 在庫過多を抑えられる
- 機会損失を防げる
- 需要の予測を立てられる
- 業務効率化に繋がる
在庫回転率を活用して、業務改善を図りましょう。
人気商品を把握できる
在庫回転率によって、人気商品の見極めが可能になります。在庫回転率が大きい商品や目標在庫回転率を上回っている商品がないか確認しましょう。
人気が高い商品ほど、在庫回転率は大きくなり、人気商品の在庫を充実させることで売上アップを図ることが可能です。
売り場に人気商品が多く並ぶほど、商品の動向が活性化します。人気商品は多くの消費者を呼び寄せるので、人気商品を厚くすることで集客アップに繋がり、安定した売上を確保することができるでしょう。
在庫過多を抑えられる
在庫回転率が小さい商品を把握すれば、在庫過多にならないように事前に工夫することができます。
商品が売れるまでに一定の期間が必要な場合は、将来的に不良在庫になる可能性が高いです。
不良在庫を多く抱えると、売り場を圧迫するだけでなく、キャッシュフローが停滞し、思うように売上を伸ばすことが難しくなります。在庫過多になりそうな商品があれば、発注を停止し値下げ販売によって、少しでも早く在庫を減らすようにしましょう。
機会損失を防げる
機会損失を防ぐために活用することもできます。
在庫回転率が大きい商品は需要が高いことを意味しているので、在庫回転率が大きい商品を抱えていることは良いことなのですが、あまりにもその割合が大きい場合は要注意です。
目標在庫回転率を大幅に上回っている場合は、売り場に陳列している在庫が少ないことを表しているため、機会損失を招いている可能性があります。機会損失が発生していると売上アップのチャンスを自ら手放していることになるので、健全な売り場作りができているとは言えません。
もし在庫回転率があまりにも大きい商品があれば、売り場の見直しをして、展開スペースを広げるなどの工夫をしましょう。
需要の予測を立てられる
商品によっては、需要が高くなる時期が一定周期で来る場合があり、在庫回転率のデータを蓄積することで、あらかじめ顧客のニーズを把握し、販売予想を立てることができます。
需要が高まる時期に商品を厚めに発注しておかなければ、大幅な機会損失を招く可能性が高いです。
需要が高い時期に品薄が続けば、消費者からの信頼を失う恐れがあり、集客や売上に大きな影響を及ぼす場合もあります。事前に売れると分かっていれば、十分量の在庫を確保できるので、将来に向けて商品ごとの在庫回転率のデータを集めておきましょう。
業務効率化に繋がる
在庫回転率によって商品の動向を把握することで、業務効率化に繋がります。
例として挙げるなら、在庫回転率が大きい商品ほど補充回数が多くなるため、ストックを倉庫等に保管するときに取り出しやすい手前側に配置することで、スムーズに補充が可能です。
また、在庫回転率が好調な商品は動線に沿って並べることにより、顧客の目の届く位置に商品を置けるため、より購入してもらいやすくなります。業務効率化を図りつつ、売上アップを狙っていきましょう。
在庫管理を行う主な方法
在庫管理を行う方法はいくつかあります。主な方法は、エクセルと在庫管理ソフト、在庫管理機能付きPOSシステムの3つです。
各手段ごとにメリット・デメリットがあるので、比較しながら適した方法を検討してみましょう。
エクセルを使う
所有しているパソコンにMicroOfficeがインストールされていれば、無料でエクセルを利用することができます。
コストを抑えつつ、在庫管理ができるので、手軽に在庫管理することが可能です。
しかし、エクセルで在庫管理を行う方法は、商品数や拠点数が多くなると、大きな手間がかかります。また、データを簡単に書き換えることができるため、改ざんやミスによって誤ったデータに改変される可能性がある点は大きなデメリットです。
在庫管理に役立つソフトを使う
在庫管理に特化したソフトを使う方法もあります。専用のソフトを使えば、在庫管理の知識がない方でも直感的に数値を入力するだけで、簡単にデータを蓄積することが可能です。
在庫管理に特化した機能が搭載されているため、受注や発注も簡単に更新でき、エクセルに比べて少ない手間で在庫を適切に管理できます。
しかし、ソフトを購入する必要があるため費用がかかり、また商品に動きがあるたびに手入力しなければなりません。入力ミスがあれば、修正しない限りデータに反映されたままなので、データの正確性は必ずしも高いとは言えないでしょう。
在庫管理機能付きのPOSレジを活用する
業務の効率化を図りたい方は、在庫管理機能付きのPOSレジを活用するのがおすすめです。
POSシステムの中には在庫管理に役立つ機能が搭載されているものもあります。たとえば、スマレジには、POSレジと在庫管理システムの連携機能があり、商品が売れるたびに在庫数を更新するため、常にリアルタイムの在庫を確認することが可能です。
より確実性が高く、効率的に在庫管理をしたい方は、在庫管理機能付きのPOSシステムの導入を検討してみてください。
POSレジ導入を検討している方に向けて、「業種別 POSレジの選び方・比較の資料」をご用意しています。無料ダウンロードできますので、ぜひご活用ください!
在庫回転日数を把握して店舗運営に役立てよう
在庫回転日数や在庫回転率は、店舗の在庫状況を把握するために重要な要素です。
計算方法は簡単で、商品情報を調べればすぐに出すことができます。定期的に数値を確認することで、売上アップや業務改善に繋げることが可能です。
在庫管理を行う方法はさまざまですが、在庫管理機能付きのPOSレジのスマレジがオススメです。POSレジと在庫管理システムの連携機能があり、商品が売れるたびに在庫数を更新するため、常にリアルタイムの在庫を確認することが可能です。