勤怠表は従業員の勤怠状況をまとめた記録書類であり、適正な給与を算出するためにも必要な資料です。
事業者のなかには、従業員の勤怠管理について課題を感じ「勤怠表の正しい使い方や基礎知識を知りたい」「より良い勤怠管理の方法を知りたい」と考える方も多いでしょう。
そこで本記事では、勤怠表の概要や記載すべき項目、作成する意味などを解説します。
この記事の目次
勤怠表とは?
勤怠表とは、従業員の出退勤時刻や欠勤理由、休日出勤など勤怠状況を記録した書類のことです。
勤怠表は従業員の給与を算出するうえで重要な役割を担うため、詳しくは後述しますが、企業には一定期間にわたる保存が義務付けられています。記録を怠った場合、賃金台帳調整義務違反となる可能性もあるため注意が必要です。
また、勤怠表に似た言葉として「勤務表」と呼ばれるものがありますが、それぞれの意味は異なります。勤怠表は実際に勤務した事実を記録した書類であるのに対し、勤務表は従業員の勤務予定をまとめたものを示します。
勤怠表に記載すべき項目
勤怠表に記載すべき項目として、次の5つが挙げられます。
- 出勤時間・退勤時間
- 時間外労働時間
- 休日出勤日数
- 早退・欠勤・遅刻
- 有給消化日数・有給残日
勤怠表には決まったフォーマットが存在しませんが、どんな形式でも上記の5項目を含んでいることが重要です。項目ごとに記載する内容を解説します。
出勤時間・退勤時間
従業員の出勤時間と退勤時間が分かるように記載します。いずれの時間も1分単位で記載するようにして、給与に反映させてください。
また、休憩時間に関しても忘れずに記載しておかなければなりません。1日の労働時間は、出勤時間から退勤時間までの合計時間から休憩時間を差し引いて計算します。労働時間によって必要な最低休憩時間が決まっており「労働時間が6時間から8時間以内の場合、最低45分」「労働時間が8時間を超える場合、最低1時間」「労働時間が6時間以内の場合、最低0分」となっています。労働時間に合わせて適切な時間の休憩を取らせないと労働基準法違反にあたるので注意しましょう。
時間外労働時間
時間外労働時間とは、1日8時間を超えた分の労働時間を意味します。労働基準法では原則、労働時間を1日8時間、1週間40時間を超えて労働させてはいけないとされています。
この8時間を超えて働かせる場合、割増として「1.25倍」の賃金が支払われなければなりません。また、夜10時以降の勤務には「1.5倍」の賃金を支払う必要があります。
所定労働時間以外にどれくらいの時間外労働があったかを記録するためにも、時間外労働時間は勤怠表に必ず記載しておきましょう。
休日出勤日数
勤怠表には、従業員が休日に出勤した日数も正確に記載しなければなりません。企業と労働者の間で36協定が結ばれている場合、法定休日に出勤した従業員に対しては「1.35倍」の割増賃金を支払う必要があります。
ちなみに、法定休日とは労働基準法が定める「1週に1日以上の休日」または「4週4日以上の休日」のことです。
早退・欠勤・遅刻
従業員の早退や遅刻、欠勤についても勤怠表に記録します。
遅刻や早退には労働基準法における明確な基準が存在しません。そのため、あらかじめ就業規則に連絡方法や、有給消化としての対応可否などを明記する必要があります。また、労働基準法に賃金控除についての定めはなく、各企業によって異なります。
出勤時間・退勤時間と同様、早退や遅刻の時間も1分単位で記載しましょう。
有給消化日数・有給残日数
2019年4月から、企業は年10日以上の年次有給休暇が付与される従業員に対して、最低5日の有給休暇を与えることが義務化されました。したがって、勤怠表では有給休暇の消化日数や残日数が分かるように記録する必要があります。
従業員に与える有給休暇に不足がある場合は労働基準法違反として扱われ、企業には罰金が科されます。また、有給取得率は求職者が企業の働きやすさを比較する際の判断材料にもなり、リクルートの面でも大きく影響するため、勤怠表で正しく管理する必要があります。
勤怠表を作成する意味(勤怠管理におけるメリット)
企業が勤怠表を作成して勤怠管理を行うことには以下のようなメリットがあります。
- 適切な労務管理の実現
- 適切な給与計算の実現
- 法律違反を犯さない経営の実現
それぞれの内容を詳しく解説します。
適切な労務管理の実現
勤怠表の作成によって従業員の勤務時間を管理することで、適切な労務管理の実現
につながります。月ごとの給与計算に合わせて勤怠状況をチェックすることで、残業や休日出勤が増えている従業員に気付き、体制や業務量を見直すなど、過重労働を未然に防ぐことが可能になります。
適切な給与計算の実現
勤怠表の作成は、適切な給与計算の実現につながります。給与計算がスムーズになるとともに、給与の未払いといったトラブルも防止できます。
一人ひとりの労働時間が記録されている勤怠表は、適切な給与を算出するうえで欠かせない資料です。労働時間に見合った給与を確実に支払うためにも、勤怠表によって正確な記録を残しましょう。
法律違反を犯さない経営の実現
正確な勤怠表を作成することは、法律違反を犯さない経営の実現につながります。コンプライアンスを遵守した健全な経営を実現できれば、社外へのアピールにも効果的です。
また、勤怠管理システムなどを活用すればより正確な記録が可能になり、内部不正を未然に防ぐことにもつながるでしょう。
勤怠表の保管期間
勤怠表は作成だけでなく、保管も労働基準法で義務づけられています。以前は3年間の保管としていましたが、令和2年3月の法改正によって5年間に変更されました。
勤怠表の保管を怠った場合は賃金台帳調整義務違反となり、30万円以下の罰金が企業に課されます。また、記録や保管を怠ったことで給与の未払いが発覚した場合は訴訟問題に発展する可能性もあり、会社に多大なダメージを及ぼしかねません。
そのようなことがないよう、勤怠表はルールを守って正しく管理しましょう。
参考:労働基準法
勤怠管理はテンプレートのエクセル表や手書きよりもクラウドシステムがおすすめ
企業において従業員の勤怠管理は非常に重要であり、勤怠表の作成や保管は正しい方法で行う必要があります。記録をしていたとしても、勤怠表に記載すべき項目が抜けていれば不十分です。従業員の勤怠を適切に管理することは、健全な経営の遂行に大きなメリットをもたらします。
勤怠管理にはさまざまな方法があります。従来型のエクセル表や手書きによる記録という方法の場合、入力間違いや書き間違いなど人為的なミスが起こる可能性があり、正確な記録が求められるなかで不安が残ります。
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