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お店ラジオ 2023/01/25 2024/03/14

パン屋、魚屋、保険の相談窓口…多様化する移動販売

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「お店ラジオ」は、店舗経営にまつわるトークラジオ番組です。小売店や飲食店など各業界で活躍するゲストをお招きし、インタビュー形式でお届けしています。この記事は、InterFMで毎週日曜日にお送りしている「お店ラジオ」で放送された内容を未公開放送分も含めて再編集したものです。

今回のゲストは、キッチンカーに関するサービスを展開する株式会社Mellow代表、森口拓也さんです。最近増えてきたキッチンカー。実はその背景にいたのがこの会社だったのです。なぜキッチンカー事業をやろうと思ったのか、キッチンカーだと固定店舗の経営と何が違うのか。今伸びているキッチンカー業界について深ぼっていこうと思います。

1回目は、森口さんがキッチンカー事業を始めた経緯とキッチンカー事業の概要についてでした。
2回目は、収入事情を含めた事業の具体的な内容についてでした。
第3回の今回は、経営の考え方についてです。

この記事の目次

  1. 売れやすい場所にはいきなり行かせず、段階を踏ませる
  2. 何が売れるメニューなのかは絶対に教えない
  3. 調理がしづらいコンテンツは競争率が下がる
  4. パン屋、魚屋、保険の相談窓口…多様化する移動販売
  5. 「それぞれの豊かさを、それぞれの想いで」想いを伝える移動販売

 

売れやすい場所にはいきなり行かせず、段階を踏ませる

我々が意識しているのは、開業したお店を支援しきちんと伴走するということです。
ちょっと流石にどうにもならないなという方で自然と廃業されている、といったようなケースをゼロにすることはできないのですが、しっかり想いを持って始められて成功したいと思っている場合は、その方々がステップアップしていけるようにサポートします。

最近「パートナージャーニープログラム」という新しい仕組みをリリースしました。
やはり場所によって売れやすさは違うので、ステップアップできるように段階を踏んでいく仕組みです。例えば50食平均のところで60食から70食売り上げたら、次は平均100食売れる場所に行ってみようか、というような具合です。

なぜこのようなことをするかというと、1日にたくさん作るのはやはり難しいからです。1時間で20食出す場合と、60食出す場合のオペレーション難易度は全く違うのです。

 

何が売れるメニューなのかは絶対に教えない

開業支援をしている際「何が売れますか」とよく聞かれます。しかし、これには絶対に答えないようにしています。

もちろん知っているのですが、これを教えてしまうとそれを出すお店が絶対に増えます。すると同じようなトラックばかりになってしまう危険性があるのです。
せっかく曜日代わりでトラックが来るのに、同じようなメニューしか組めなかったら移動販売である利点を大きく損ないます。

するとお客さんの満足度が大きく下がり、飽きられてしまいます。これは全体の損失で、一番避けなくてはならないことです。

ただ1つ言えることがあって、うちは事業者さんに運営管理上の書類の登録をお願いしているのですが、それがしっかりできている人はみなさん売上を上げていくんです。
やはりきちっとした人がうまくいくのか、売上報告がきちんとされていなかったりするようなお店は売上も振るわないことが多いです。

オペレーションという面で見た時に、1食提供するのにどのくらいの時間がかかるのかが売上の上限を決めます。ここで効率の良いオペレーションを考えたり日々改善したりするのには、やはり事務処理能力のような基礎的な力が必要なのかなと思います。

 

調理がしづらいコンテンツは競争率が下がる

成功の要因として、調理がしづらいコンテンツというのが1つあるかなと思います。
調理や仕込みがしづらいコンテンツは競争率が下がるので、それを出すとうまくいったりするんです。

例えば和食のトラックはすごく少ないのですが、ちゃんとしたクオリティで作られている和食トラックは平均以上に売上が上がっているなと思っています。
だから本当に好きなものをこだわって作って、ニッチな部分を攻めていくのが移動販売ではいいパターンの1つなのかもしれません。

 

パン屋、魚屋、保険の相談窓口…多様化する移動販売

最近はパン屋さんの移動販売も増えてきていて、これは普通のランチボックスとはまた違った利用シーンがあります。

ランチボックスだと買ってから食べるまで10分くらいのものですが、パンだと電車に乗って帰っても問題ありません。なのでオフィスで夕方くらいまで出店しておくと仕事帰りに次の日の朝に食べるパンを買おう、という人も出てくるのです。そのため普通よりも広めの時間帯で営業することができ、売上もかなり伸びています。

 

他にも最近は鮮魚店なども出てきていて、例えば豊洲市場の仲卸の事業者さんが自分達で直接移動販売をしていたりします。魚自体はもちろんスーパーでも売っているものなのですが、専門店のものはやはり味が全く違うので、たまたま買ったお客さんにものすごく刺さったりするようで、これもすごく売れています。

さらに面白いのが、ドライヘッドスパのようなサービス系です。変わり種だと保険の見直しやファイナンシャルプランニングの相談窓口の移動店舗もあったりします。
例えばマンションに出たりすると、奥さんが「最近たまに見かけるし、相談してみようかな」とやって来たりするんです。

このように移動販売にはいろんなパターンがあって、どれがうまくいくかはまだよく分からなくて手探り状態です。かといって数打ちゃ当たる方式ではなく、1個1個ビジネスの構造を考えてしっかり伴走するということを意識していこうと思っています。

 

「それぞれの豊かさを、それぞれの想いで」想いを伝える移動販売

私たちの会社のミッションは「それぞれの豊かさを、それぞれの想いで」というものです。
そして、想いが輝ける場所というのがお店なんだと思います。想いのある人がそこに立っていて、そこでリアルに人と触れ合えてお互いの気持ちが豊かになれるような場所、それがお店なのです。

デリバリーはコンテンツを届けることはできるのですが、その商品にどんな想いが込められているのかどうかまではなかなか伝えることができません。
だからそこにやってきて出会いがあってコミュニケーションがあって、その商品の背景まで伝わっていくというのは移動店舗の良さなのかなと思います。

 

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執筆 アキナイラボ 編集部

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