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「お店ラジオ」は、店舗経営にまつわるトークラジオ番組です。小売店や飲食店など各業界で活躍するゲストをお招きし、インタビュー形式でお届けしています。この記事は、InterFMで毎週日曜日にお送りしている「お店ラジオ」で放送された内容を未公開放送分も含めて再編集したものです。
今回のゲストは、キッチンカーに関するサービスを展開する株式会社Mellow代表、森口拓也さんです。最近増えてきたキッチンカー。実はその背景にいたのがこの会社だったのです。なぜキッチンカー事業をやろうと思ったのか、キッチンカーだと固定店舗の経営と何が違うのか。今伸びているキッチンカー業界について深ぼっていこうと思います。
森口さんのお話を紹介する1回目は、森口さんがキッチンカー事業を始めた経緯とキッチンカー事業の概要についてです。
この記事の目次
最近増えてきたキッチンカー。その背後にいた会社の代表が登場!
株式会社Mellowは、キッチンカーと出店場所のマッチングや、キッチンカーの開業および経営支援をメインに行う会社です。紆余曲折はあったものの、最初から一貫して移動販売車に関するサービスを提供しています。
ITの領域で学生起業、売却。キッチンカーにITの導入が進んでいないことに気がつく
元々私は学生時代にIT分野で起業をしていました。21歳のときに会社は売却したのですが、ITの中でももっとリアルの世界にITが進出していくようなことにうっすらと興味を持っていました。
その時にキッチンカーの業界に長く携わっていた石澤という男と出会い、キッチンカーの世界には全くITが活用されていないということを知ります。この出会いが今の創業に繋がっていて、石澤は私とともに共同代表をつとめています。
創業支援から経営の継続支援までサポート
創業当初は移動販売の事業者の方々に営業場所を提供するという、「場所とキッチンカーのマッチング」のプラットフォームを中心にスタートしました。
今ではそれに加え、さらに開業支援や経営の継続支援なども行っています。
固定店舗の運営をしたことがある人だとしても、移動販売はかなり勝手が違い困ってしまう人が多く、そのような部分のサポートや車両のリースなど、移動販売を始めるところから継続的に利益をあげるところまで一気通貫して支援します。
プレオーダーのアプリを作るも、事業者サイドの目線が足りずに失敗
一番最初はお客様向けにプレオーダーができるアプリを作っていたのですが、これがなかなかうまくいきませんでした。
移動販売では固定店舗に比べてワンオペであることが多く、カツカツのオペレーションで回していることが多いです。そこにプレオーダーのシステムを入れるとオペレーションが増えてしまうので、対応できる事業者さんが少なかったのです。
そこに気がついて、途中で移動販売の事業者さんが一番困っていることをしっかり提供していこうという方針に変わったことで、場所の確保や営業許可の管理をシステム化していくことにしました。
ビルのオーナーに嫌がられることも多い…しかしメリットもちゃんとある
キッチンカーを置く場所の近くにあるビルのオーナーは、そこにキッチンカーが来ることを嫌がらないのか?ということをよく聞かれます。
実際、嫌がられることも多々あります。変な人が来てトラブルになることや、ビルの中に入っている飲食店の競合になることを警戒するためです。
しかしオーナー側にもメリットはあります。
まず、我々は事業者さんから場所代として売上の15%をいただいているのですが、その一部をビルのオーナーに渡しています。
他にも、その場所が賑わうこともメリットになると考えています。一消費者からすると賑わいと言われても「なんか人がワイワイいるな」くらいの感覚だと思うのですが、物件オーナーにとってはその場所に活気が生まれることはとても重要です。
このような点に注目してキッチンカーをポジティブにとらえてくださるオーナーもたくさんいます。
飲食店の競合になると警戒されると話しましたが、価格帯も料理のメニューも被らないように我々がコントロールします。
そもそも40階建てのビルで飲食店が入っているフロアが3階分のような場所なら、あぶれてしまう人もたくさん出てきますし、固定店舗の売上も下がらないことがほとんどです。
だとすると自分の作ったビルで働いている人たちにより満足してもらう方が重要なはずです。
だからその点はしっかりと説明しますし、場合によってはキッチンカーの方で固定店舗の販促を行うこともあります。
キッチンカーのスケジュールは曜日ごとに設定
キッチンカーの出店スケジュールは曜日ごとにこちらで決めて指示しています。例えば六本木ヒルズの前に、月曜日はAキッチンカー、火曜日はBキッチンカーという具合です。
基本的には月から金まで、場所によっては土日までスケジュールを組み、定期的に一部を入れ替えたりという形でマネジメントしています。
移動ができるから、ニッチなメニューでも成立する
キッチンカーと固定店舗の違いは、やはり移動ができるかできないかです。
当たり前だと思うかもしれませんが、これは重要です。
例えば毎日同じカレーのキッチンカーが出ていてもよほどカレーのニーズがある場所でないと成立しないと思うのですが、週に1回カレーを食べたくなる人がいる場所はもっとたくさんあります。日替わりのように曜日ごとに違うお店が現れるという形態なら成立させるハードルはもっと低いのです。
移動販売は週に1回100人きてくれるお店作りができれば成立するので、結果的にキッチンカーには固定店舗では普通はできないようなニッチなお店がたくさんあります。
3ヶ月ほど同じ曜日にしっかり出てお客さんとの関係を築いていけば、固定客がつくようになります。それで持続的にやっていける見込みがあればもうゴチャゴチャと変える必要はありません。
うまくいかなければ場所も変えられる。相性の良い場所を探す
あまりうまくいってないかもしれないな、というときはこちらから提案して場所を変えてもらいます。こちらからは数字が全て見えていて、このお店のポテンシャルの割には全然売上が立っていない、ということがわかったりするんです。
例えばある場所があって、そこでうまくいっている事業者さんは2、3週間で固定客がつき安定して平均80食くらい売れているとします。
それなのに別の事業者さんが2、3ヶ月たってやっと50食いけたかなくらいだとすると、この場所の割にはあんまり売れていないとわかるので、他の場所も試してみてもいいかもしれないなということになります。
これは事業者さんが自分の売上だけ見ていてもわからない部分だと思います。
売上があまり出ないのはもちろんお店のクオリティの違いもありますが、場所が合っていないだけの可能性もあります。だから他の場所にもトライしてみることが重要です。
変数や要因はさまざまなので一概には言えませんが、例えばマンションと公園とオフィス街では明確にお客さんがどういうシーンで使うのかが違います。
オフィス街で売れるようなランチ難民向けに作られたランチボックスがマンションでも売れるかというとそうではありません。
マンションでは、例えばお母さんが夕方買い物をして帰ってきて「子供が喜ぶから揚げ物をしたいけど油汚れが気になるなあ」と思っているときに「料亭のシェフが作る西京漬けした鶏肉の唐揚げ」があったら嬉しいわけです。
事業者さんがどれくらい対応できるのかという話もありますが得意分野はあるはずなので、そのニーズがある場所とのマッチングができるようにスケジュールを組んでいます。
キッチンカーはプレマーケティングに使える!
キッチンカーはこれからプレマーケティングにも使われるのかなとも思っています。
いきなり固定店舗を初期投資1,000万円、2,000万円かけてやるのもリスキーなので、移動販売で場所のニーズを掴みながら出店判断をしていくということももっと行われるようになるはずです。
今回のお話はここまでです。次回は、収入事情を含めた事業の具体的な内容についてです。