新店舗開店の際に実施されるプレオープン。業種問わず、多くの店舗で行われていますが、どのような意味や目的があるのでしょうか。この記事では、新店舗開店を予定している店舗責任者に向けて、プレオープンを実施する意味や必要性について解説しています。さらには成功させるためのポイント、招待客の選び方もお伝えしていますので、ぜひ参考にしてください。
この記事の目次
プレオープンの意味とは
英語で「プレ(Pre)」には「その前に」という意味があり、プレオープンとはお店を正式にオープンする前の試験的な営業を指します。期間としては、1日または数日間に渡って実施するのが一般的です。
プレオープンは多くの業種で行われていますが、とくに飲食店ではオペレーションの確認や、従業員の最終的なトレーニングも兼ねています。正式開店後に提供予定のメニューを実際に食してもらうことで、課題の発見や気づきにもつながるでしょう。さらに、プレオープン自体を告知することでお店のPRとしても利用されることもあります。
プレオープンは何のために実施する?
プレオープンの実施は前述した通り、従業員のトレーニング・オペレーションの確認・宣伝がおもな目的です。それぞれについて解説します。
従業員の実践的なトレーニング
従業員の実践的なトレーニングは、プレオープンの目的の1つです。開店前の準備期間でもオペレーションや接客の練習は行われますが、実際にお客様を迎えた時に同じような動きができるかは分かりません。正式な開店後にオペレーションや接客に問題が生じるとトラブルに発展し、お客様の不満につながることも考えられるでしょう。
プレオープンでお客様の来店から退店まで、一連の流れを経験することで、スムーズなオペレーションが可能であるかどうかを確認できます。また、来客の波や料理などの提供スピードも要チェックです。どの時間帯が混雑するのか、予想以上の来客数で忙しくなり、提供スピードが著しく落ちていないかなど、細かい部分についても最終確認を行いましょう。
不備の確認、マニュアルの見直し
プレオープンの2つ目の目的は、実際に営業することで発見できる不備を見つけ、マニュアルを最適化させることです。例えば、飲食店であればホールやキッチンなど担当業務ごとに、ある程度のマニュアルがあるはずです。キッチンならオペレーションや料理の提供スピード、盛り付けなどをプレオープンで実際に確認することでマニュアルや配置人数などの見直しができます。
また、設備トラブルや備品・仕入れの不足についてもあわせて確認しましょう。1日を通して営業することで、故障やトラブルが発生するかもしれません。機器や設備は問題なく稼働しているか、準備した食材や備品に不足はないかなど、プレオープン時にチェックしておけば事前に対応策を検討できます。
新規オープン・リニューアルオープンの宣伝
プレオープンは正式な開店に向けた告知にもつながります。新聞やテレビ、地域の情報雑誌などメディア関係者を招待し、お店を紹介してもらうことができれば大きな宣伝効果が期待できるでしょう。最近はSNSを利用する人が多いため、SNSのフォロワーが多いインフルエンサーを呼ぶのも効果的です。
また、近隣住民を招待すると、お店の雰囲気や料理などに満足してくれればリピート客となる可能性も高くなりますし、口コミで広がるかもしれません。
プレオープンを実施する際のポイント
プレオープン実施の目的やメリットを把握したところで、実際に行う際のポイントも確認しておきましょう。成功させるためにはトラブルへの対応や課題を把握するために事前準備が必要です。
アンケートに答えてもらう
プレオープンではアンケートを準備しておき、招待客の意見を集めましょう。研修の段階では気づかなかった部分を客観的な視点で確認でき、開店時に反映できます。アンケートの質問は、次のような項目が一般的です。お客様が答えやすいように匿名制にしたり選択式の問いを増やしたりすると良いでしょう。
- お客様の属性や利用シーン(性別・年齢・来店人数など)
- 店内に対する感想(店内の清潔感・雰囲気・照明の明るさなど)
- 接客対応に対する感想(スタッフの対応の良し悪し・挨拶・身だしなみなど)
- メニューに対する感想(注文したメニュー名・美味しさなど)
メールより招待状の方が印象が良い
プレオープンの日時が決定したら招待状を作成しましょう。家族や友人など親しい関係ならメールでも構いませんが、取引業者など外部の企業に対しては紙面の招待状を送る方が良い印象を与えられます。その際はプレオープン招待のお知らせだけでなく、感謝の気持ちを忘れずに記すことが大切です。
また、招待状を出しすぎるとお客様が店内に入り切らない可能性も考えられますが、プレオープンは従業員のトレーニングも兼ねているため、できるだけ満席にするのが望ましいでしょう。とはいえお客様に迷惑をかけないよう、出欠の確認や予約制にするなどの工夫が必要です。
業者を手配しておく
設備トラブルなどに備えて、業者に声をかけておくこともポイントです。プレオープンは多くのお客様に対応する初めての機会となるため、機器や設備を動かした際にトラブルが発生し、営業できない事態に陥るかもしれません。そのような場合、招待客の大切な時間が無駄になりますし、プレオープンとはいえ悪い印象を与えてしまいます。
今後の営業にも影響を及ぼしかねないため、トラブルの際に迅速な対応ができるように事前に業者を手配しておきましょう。ミスやトラブルが起こらないか心配するよりも、発生するものと考えて対策を講じることが大切です。
プレオープン時の料理提供価格
ここからは飲食店のプレオープンにおける、料理の提供価格について解説します。プレオープン時は料理価格を通常より安く提供するケースが多いですが、注意点もあります。無料・半額の場合と通常料金の場合、それぞれのメリット・デメリットをみてみましょう。
無料・半額だと宣伝効果は高い
料理の価格を無料もしくは半額にした場合、宣伝効果が高い点がメリットです。新店舗であることに加え、通常よりも安く料理を楽しめることから注文数は多くなるでしょう。「無料」「半額」といったワードは目を引くため、認知度がない場合は有効といえます。
一方のデメリットは値下げをして販売することになるため、赤字の可能性が高くなる点です。また、「無料・半額でこのクオリティなら」という考えが働くことで、招待客の正確な声を集めることも難しくなります。通常料金とは異なることからレジ業務の練習にもならず、問題点の把握にもつながりません。今後の経営に支障をきたさないか注意しながら検討しましょう。
有料だと赤字は防げる
通常料金で料理を提供した場合のメリットは、赤字を防げる点です。開催期間も長めに設定できますし、正式な開店後と同じように動けるため、従業員のトレーニングや改善点の洗い出しも十分にできるでしょう。招待客の正直な意見が聞けますし、価格設定が適正であるかも反応をみてチェックでき、今後の営業にも役立ちます。
デメリットとしては、宣伝効果があまりないことです。通常営業と変わりないため、招待客の集まりが悪くなる可能性があります。無料・半額の価格設定とは反対の効果となることから、どの点を重視したいかを検討して決めると良いでしょう。
プレオープンに呼ぶ相手の選び方
プレオープンに招待する相手選びも重要です。どのような人を呼べば良いのでしょうか。ここからはプレオープンの招待客についてお伝えします。
同じ業界の人
プレオープンには、同じ業界の人を招待すると良いでしょう。例えば、飲食店であれば飲食業界で働いている人や、飲食店経営の経験がある人などのことです。プロ目線でアドバイスをもらえますし、自分では気づかなかった問題点が分かるかもしれません。しっかりとしたフィードバックが欲しいのであればお世辞で褒めるだけではなく、厳しい意見を伝えてくれる人の方が今後の営業にはプラスになるでしょう。
開店までにお世話になった方
開店準備に携わった方もプレオープンに招待すべきお客様です。商品開発をはじめ店舗レイアウトや内装デザイン、仕入れ業者など、お店のオープンに関わってきた人たちは、感謝を伝える意味でも優先して招待しましょう。また、それぞれの視点から的確なアドバイスが受けられるかもしれません。
友人・家族
プレオープンの招待客に友人や家族を含めるのも一般的です。試験営業の意味が大きいプレオープンでは、ミスやトラブルがつきもの。深刻なクレームにならないように多少のミスがあっても影響がなく、正直な感想をくれる関係性の人に声をかけましょう。温かい目で見守ってくれますし、改善点もはっきりと伝えてくれるでしょう。ファミリーやカップル、女性同士などさまざまな組み合わせで来店してもらうと、多様な視点で意見を聞けるのでおすすめです。
拡散力のある人
集客も目的にプレオープンする場合、影響力がある人をプレオープンに招待しましょう。新聞や情報誌、ローカル番組など、お店の話題をマスコミに取り上げられれば注目が集まります。
また、最近はWEBによる集客が一般的になっており、SNSによる情報発信もその1つです。SNSのフォロワー数が多いインフルエンサーをプレオープンに招待することで、お店の写真や情報が一気に拡散され、認知度が上がることが期待できます。SNSをみて来店したお客様がさらに口コミなどを投稿すれば、お店の情報が拡散されることに繋がるでしょう。
本開店に向けてプレオープンを成功させよう
プレオープンとは正式な開店前の試験的な営業を指し、従業員のトレーニング・オペレーション確認・お店の宣伝といった目的があります。開店に向けてフィードバックをもらう意味もあることから、招待客は同業者や関係者、知人・家族が一般的です。宣伝効果を高めたいのであれば、マスコミやインフルエンサーなどを招待すると良いでしょう。
また、飲食店の場合は、プレオープンの目的をどこに置くかで、当日に提供する料理の価格設定は変わります。いずれにしても、メリット・デメリットを考慮したうえで、実施を検討しましょう。