「いまいち利益が上がらない」「適切な原価率がわからない」
このような悩みを抱えている飲食店経営者の方も多いのではないでしょうか。飲食店が利益を上げるためには、原価率を理解したうえで適切な販売価格を決めることが大切です。
本記事では、飲食店の原価率についてわかりやすく解説します。原価率の目安や下げるポイントを紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。
この記事の目次
原価率の意味と考え方
はじめに、原価率の意味と考え方について解説します。
飲食店を経営していくうえで、原価率について理解しておくことは必須です。原価率を意識しておかなければ、継続して利益を出すのは難しくなります。
以下で、原価と原価率についてそれぞれ詳しくみていきましょう。
原価とは?
原価とは、「商品を作るためにかかった費用」のことです。飲食店の場合は、それぞれのメニューの原材料費だと考えて問題ありません。
例えばハンバーガーショップの場合、ハンバーガーを作るのに必要なパンや野菜、お肉や調味料を購入するためにかかった費用が原価となります。
ドリンクは仕入れ値がそのまま原価となる場合も多いですが、フルーツなどを添えている場合はその購入費も原価に含めなければなりません。また、テイクアウトの場合は容器の購入費も原価に含めるケースもあります。
どこまでを減価と考えるかは業界によって異なりますが、飲食店の場合は基本的に「原価=原材料費」であることを覚えておきましょう。
原価率とは?
原価率は、「商品の販売価格に対する原価の割合」のことです。販売価格は原価よりも高く設定し、その差額が利益となります。商品ごとの原価率がわかれば、売上からおおよその利益を把握できるため、飲食店を経営するうえで重要な項目です。
原価率が高いほど利益は少なくなるので、原価率を高くしすぎると経営が立ち行かなくなる可能性があります。しかし、原価率が低すぎる商品は、品質に対して販売価格が高くなってしまい、顧客が離れてしまうかもしれません。
このように、原価率は高すぎても低すぎても問題があるため、適切な原価率になるよう販売価格を決定する必要があります。以降で飲食店の原価率の目安を紹介しているので、参考にしてください。
原価率の計算式と平均目安
原価率は、以下の計算式で求めます。
原価率(%)=原価÷販売価格×100
例えば、原価が200円で販売価格が800円のメニューの場合、原価率は以下のとおりです。
原価率:200÷800×100=25%
飲食店の場合、原価率の平均目安は30%といわれています。ただし、業態によって原価率の目安は異なるので、一律30%を目指す必要はありません。
ドリンクメニューが中心のカフェは原価率を低めに設定することが多く、反対にフードメニューが中心の洋食店などでは原価率を高めに設定する傾向があります。
また、同じ店舗でもメニューによって原価率を変えているケースが多いです。例えばよく売れる人気商品の原価率は高めに設定し、サイドメニューの原価率を低めにすることで、売上全体の原価率が30%程度になるよう調整している飲食店もあります。
FLコストを理解することも大切
飲食店経営では、原価率だけでなくFLコストも意識しなければなりません。FLコストとは原材料費と人件費を合わせたもので、「F」と「L」は、それぞれ以下の意味を持っています。
- F:Food=原材料費
- L:Labor=人件費
飲食店経営では、売上に対してFLコストを50〜60%に抑えることが大切です。
飲食店を運営するためには、原材料費と人件費以外にも多くのコストがかかります。FLコストが60%を超えると、家賃や水道光熱費、消耗品費や広告費などを支払うと赤字になってしまうかもしれません。
飲食店が黒字経営を維持するには、FLコストも考慮するべき指標です。
原価率が高い原因と下げるためのポイント
飲食店経営者のなかには、「原価率が下げられなくて困っている」という人もいるかもしれません。原価率が高くなる原因として、以下が考えられます。
- 食材の廃棄によるロスが多い
- オーバーポーションが発生している
- 商品やメニューの価格が適正ではない
- 業務の効率が悪い
それぞれの原因と改善のポイントについて、以下で詳しくみていきましょう。
食材の廃棄によるロスが多い
食材の廃棄によるロスが多いと、売上に対して原材料の購入費が高くなってしまい、原価率が高くなる原因になります。原価率を下げるためには、食材を無駄にしない工夫が大切です。食材は使用する分だけ仕入れ、余分な在庫を抱えないようにしましょう。
「期間限定で安く買える」「多めに購入したほうが割安」などの理由があると、仕入れ量を増やしてしまいがちですが、食材を使い切れないとかえって割高になってしまいます。
食材を廃棄すると飲食店側の損失になるので、食材は計画的に仕入れるようにしてください。在庫をしっかり把握して、「在庫があるのに追加で購入してしまった」といった事態も起こらないようにしましょう。
日本ではフードロスが問題になっているので、環境に配慮するという観点からも食材の廃棄は最小限に抑えなければなりません。
オーバーポーションが発生している
オーバーポーションが原因で、原価率が上がっているケースもあります。オーバーポーションとは、あらかじめ決められた量以上の食材を使用することです。オーバーポーションが発生すると1メニューあたりの原材料費が上がり、原価率も上がってしまいます。
オーバーポーションが起きると提供される商品の量にばらつきが出るため、お客様からのクレームに発展するかもしれません。原価率の問題を差し置いても、オーバーポーションは防ぐ必要があります。
オーバーポーションが発生しないように、明確な使用量を記載したレシピ表を作成するなど、誰が作っても同じ使用量になるよう工夫しましょう。オーバーポーションは店舗とお客様の双方にデメリットがあるという意識を持ち、目分量で調理しないことが大切です。
商品やメニューの価格が適正ではない
商品やメニューの価格が適正でない場合も、原価率が高くなる原因のひとつです。何らかの理由で原材料価格が上がると、当然ながら原価率も上がります。
一時的な値上がりなら、販売価格を据え置いている店舗も多いでしょう。しかし、原材料費が高騰し続けている場合は注意が必要です。
天候や社会情勢など、食材の価格はさまざまな要因で変動します。そのため、定期的に商品やメニューの価格を見直し、原価率の高い状態が続いている場合は販売価格を上げることも検討しましょう。
業務の効率が悪い
「オーダーミスで料理を廃棄することが多い」「在庫管理が不十分でよく食材を余らせてしまう」など、業務の効率が悪いために原価率が上がっている可能性もあります。先述のとおり、食材のロスが多いと原価率は上がるので、業務効率を上げてロスが出にくい環境を整えることも大切です。
例えば、手書きの注文からオーダーエントリーシステムに変更すると、オーダミスを防ぐだけでなく回転率のアップも期待できます。そのほか、在庫管理機能のあるPOSレジを導入すれば、過不足を生まない適切な在庫管理が可能です。
利益を上げるためには原価率の理解とコストカットが必要不可欠!
飲食店の利益を上げるためには、原価率を理解して原価率が上がり過ぎないようにしなければなりません。また、FLコストを意識して人件費を抑えたり、利益を多く残すために固定費を見直したりすることも重要です。原価率が高いとお悩みの場合は、本記事で紹介した原価率を下げるための方法を実践してみてください。
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