電子決済は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響やキャッシュレス決済の導入が進む流れもあり、今後より利用が増える可能性の高い決済方法です。しかし、日本ではそれほど導入が進んでおらず、電子決済が店舗にどのような影響を与えるかピンと来ない人もいるのではないでしょうか。
今回は、電子決済とは何か、現状の普及率や導入のメリット、デメリット、決済方法の種類まで解説します。電子決済をこれから導入しようとしている事業者の方は、ぜひ参考にしてください。
この記事の目次
電子決済とは?
電子決済とは、デジタルデータの送受信によって決済する方法です。現金でのやり取りが発生しないため、「キャッシュレス決済」とも呼ばれています。
電子決済にはクレジットカード、デビットカード、電子マネー、スマホのQRコード決済など、多くの種類があります。実店舗での決済だけではなく、オンラインショップでも電子決済が活用されるようになりました。
電子決済の導入はここ数年で徐々に浸透してきましたが、現在は特に新型コロナウイルス感染症の対策として注目されています。従業員とお客さまの接触や現金のやりとりが減らせるため、感染拡大の防止に役立ちます。
日本における電子決済の普及率
2018年の世界主要国によるキャッシュレス決済状況は、韓国で94.7%、中国で77.3%と非常に高い数字が出ています。一方、一般社団法人キャッシュレス推進協議会の「キャッシュレス・ロードマップ 2021」によると、日本は2019年時点での普及率は26.8%でした。そのため、日本における電子決済の普及率はそれほど高いとはいえません。ただし、2017年には21.3%ほどだったため、徐々に普及しつつあるとはいえます。
電子決済は現在注目度の高い決済方法です。今後、導入する企業が増加する可能性が高いでしょう。
参考:⼀般社団法⼈キャッシュレス推進協議会「キャッシュレス・ロードマップ 2021」
電子決済のメリット
電子決済には、多くのメリットがあります。ここでは、各メリットについてより詳しくご紹介します。
業務の効率化が期待できる
電子決済を導入すると、業務効率の改善が期待できます。現金決済の場合、現金の受け取り、金額の確認、お釣りのやり取り、最終的なレジでの現金の確認など、多くの業務が発生します。これらの業務は手間がかかるうえ、ミスの原因にもなります。
現金のやりとりなしで精算できるため、ミスが少なくなるだけではなく、よりスピーディーな会計が可能です。また、現金を手元で保管する必要がないため、盗難のリスクも抑えられます。
レジ業務が効率化すれば、人件費の削減にも繋がります。また、レジも混雑しにくくなるためめ、お客さま満足度も向上する可能性があります。
新規顧客やリピーターが獲得しやすくなる
電子決済には、新規顧客やリピーターの獲得がしやすくなるメリットもあります。現在、電子決済の導入は進んでおり、多額の現金を持ち歩く人は減少傾向にあります。電子決済は便利なだけではなく、ポイントの付与が行われるものが多いため、現金よりもお得なのです。決済が現金のみの場合、現金を持ち歩いていない新規顧客の獲得ができません。
また、決済サービス事業者によってはポイント還元などのプロモーションが行われることもあります。プロモーションを上手に活用すれば、新規顧客やリピーターを促しやすくなるでしょう。
売上単価が向上する可能性がある
電子決済は、売上単価向上の期待ができます。前述した通り、電子決済を導入していれば、現金を持ち歩かない顧客でも買い物が可能になります。
また、電子決済は現金と異なり支出の感覚が薄いです。そのため、支出機会の増加に繋がる可能性があります。更に電子決済では、分割払いやリボ払いなどの選択ができるメリットもあります。
お客さまの支払える額が全体的に向上するため、売上単価の向上が十分期待できるでしょう。
電子決済のデメリット
メリットの多い電子決済ですが、実際に導入する時には覚えておきたい注意点があります。店舗側は、どのようなデメリットがあるか把握した上で、事前に準備することが大切です。ここでは電子決済のデメリットについて詳しく解説します。
決済手数料が発生する
電子決済の導入は決済手数料がかかります。決済手数料は決済方法によって異なりますが、基本的には売り上げの数%が手数料になります。例えば、首都圏で使われる交通系電子マネーのSuicaは3.25%、楽天ペイは3.24%の手数料がかかります。
決済代行会社を利用する場合、決済手数料は決済代行会社によって異なるため、事前によく確認しましょう。
導入するまでに時間やコストがかかる
電子決済を導入する際には、手数料だけではなく、導入するまでにかかる時間やコストも考慮したい点です。電子決済はすぐに導入できる訳ではなく、場合によっては運用開始まで数日から数ヶ月かかる可能性があります。
また、導入をする際の初期費用も考えなくてはなりません。メーカーによって異なりますが、数万円の費用が発生することがあります。
電子決済の種類
電子決済には、「クレジットカード決済」、「コード決済」、「電子マネー決済」、そして「モバイル決済」の4種類があります。それぞれ特徴やメリットが異なるため、事前にしっかり把握した上で適切な電子決済を選びましょう。
ここでは、それぞれの種類ごとの特徴を解説します。
クレジットカード・デビットカード決済
クレジットカード・デビットカード決済は、日本では広く普及している決済方法です。「キャッシュレス・ロードマップ 2021」によると、キャッシュレス決済種類別の全体額の89.7%をクレジットカード・デビットカード決済が占めており、非常に高くなっています。
他のキャッシュレス決済の使用率が徐々に増えているため、年々減少傾向にはありますが、依然として多くの店舗で導入されているのが特徴です。そのため、電子決済を検討する際には必ず候補に入れておきたい決済方法です。
ただし、カード会社や決済代行会社への手数料は4〜7%、と他の決済手段と比べて高い点がデメリットです。しかし、決済手数料を4%未満に抑えた代行サービスも登場しているため、手数料のハードルは下がっていると言えるでしょう。
参考:⼀般社団法⼈キャッシュレス推進協議会「キャッシュレス・ロードマップ 2021」
コード決済
コード決済はスマホなどで、QRコードやバーコードを使って決済する電子決済です。お客さま側がお店のコードを読み取る「ユーザースキャン式」と、お店側がお客さまのコードを読み取る「ストアスキャン方式」に分けられます。
ユーザースキャン式の場合は、店舗用のQRコードを準備するだけで使えます。設備機器が不要で導入しやすい点がメリットと言えます。ポイント還元サービスなどがあるため、お客さまにとってもポイントをためやすいメリットがあります。
ただしコード決済は、お客さまがスマホを所有していないと使用できません。とは言え現在は、年齢問わず多くの人がスマホを持っているため、そこまで大きな問題ではないでしょう。
電子マネー決済
電子マネー決済は、カードやスマホ上でデータ化されたお金で支払いをする決済方法です。カードやスマホを端末に触れさせるだけで、簡単に決済ができます。最近では、スマホで読み取りができる電子マネーも登場しています。
電子マネー決済は電子決済の中でも、スムーズな支払いができることが特徴です。特に若い人に多く利用されている傾向があるため、若い年齢層をターゲットにしている店舗や、決済のスピード感を重視する店舗には間違いなくおすすめです。ただし、電子マネー決済の端末を準備する必要があります。
モバイル決済
モバイル決済はスマートフォンを専用端末にかざして決済する方法です。具体的には「おサイフケータイ」「Apple Pay」そして「Google Pay」が該当します。Apple PayもGoogle Payもスマホで決済しますが、事前にスマホに登録されたクレジットカードから引き落とされます。他の電子決済と同様、お客さまと従業員の接触が避けられるメリットがあります。
Google Payでは、クレジットカード以外に、多くの電子マネーなどを一元管理できます。また、Apple PayではFace IDやパスワードなどを入力して決済します。
電子マネーと同様、モバイル決済も比較的導入しやすいです。お客さまは事前に登録や準備が必要ですが、一度設定すれば、スムーズに使い始められます。導入にコストがかからない点も特徴で、サービスによっては最短当日での導入も可能です。
電子決済の支払い方法
電子決済での支払い方法は主に3つあり、それぞれ利用者がお金を支払うタイミングが異なります。それぞれの支払い方法の特徴や決済手段について解説します。
先払い方式
先払い方式は「プリペイド」とも呼ばれ、支払い前にお金をチャージし、その範囲内で支払う方法です。Suicaなど交通系や流通系で使われる電子マネーの大部分が該当し、コード決済もこの方法が採用されています。
チャージした範囲でしか支払いができないため、飲食店など比較的少額の決済の場合にはおすすめの決済方法です。
即時払い方式
即時支払い方式とは、決済処理の直後に銀行口座などから直接代金が引き落とされる方法です。デビットカードやインターネットバンキングなどが該当します。すぐに支払われるため、お客さまは預金残高の範囲内でしか利用できません。そのため、お金を使いすぎる心配があるお客さまにとっては需要があります。
後払い方式
後払い方式とは、一定の期間に利用した金額をまとめて支払う方法です。クレジットカードが代表的で、決済代行会社が利用者の代わりに支払いを行い、決済代行会社は後で利用者からお金を回収します。
分割払いやリボ払いなどの方法が利用でき、高額の買い物にも利用される決済方法です。最近では、支払いの翌日に入金が行われるサービスも登場しており、店舗側のキャッシュフローで困ることも少なくなってきました。
電子決済の導入方法や流れ
電子決済は導入方法が2種類あり、目的に合わせた導入方法を選ぶことが大切です。ここでは電子決済の導入方法や導入までの流れを解説します。
決済サービス事業者と直接契約する場合
一つ目は、決済サービス事業者と店舗が直接契約する方法です。この方法では、決済サービスごとに利用手続きの手順や利用手数料などが異なります。そのため、個別に内容を確認することが重要です。
直接契約するメリットとして、手数料を抑えられ、必要なサービスを選別できることが挙げられます。しかし、利用する端末がサービスごとに違う場合があり、入金タイミングや決済のタイミングも異なるため、管理が煩雑になる点がデメリットです。
特にクレジットカード決済の場合は、セキュリティ管理の対処が必要になります。セキュリティ対策は、個人では対策が難しい場合があります。
決済代行会社を経由する場合
決済代行会社を利用する場合は、クレジットカードや電子マネー、コード決済など複数の支払い方法を一括で導入できます。複数の契約をする必要がなく、決済代行会社1社のみとの契約で済ませられる点が特徴です。
決済代行会社と契約すると、決済代行会社は複数の電子決済をまとめてくれます。また、入金やシステム構築も一括で行ってくれるため、直接契約する場合と比べると入金のタイミングが揃えやすく、契約や必要な手続きの手間が省けます。入金のタイミングが揃うことで、経費作業が簡単になり、作業効率の向上につながります。
電子決済サービスのおすすめ3選
電子決済サービスにはいくつもの種類がありますが、ここでは、おすすめの決済手段を3つ厳選してご紹介します。特におすすめのサービスは、「QUICPay」「iD」「PayPay」です。どの電子決済サービスを導入すればよいか迷っている方は、参考にしてください。
QUICPay
QUICPayは、専用端末にスマホやカードをかざすだけで決済できる手段です。専用アプリにカード情報を紐づけすることで、気軽に始めることができます。クレジットカードだけでなく、デビットカードやプリペイドカードも対応しており、方針に応じて使い分けることができる点が特徴です。
2022年9月時点でユーザー数が2,300万人以上を超えており、一定数の消費者のニーズに対応することができます。また、定期的にキャッシュバックなどお得なキャンペーンやイベントが開催されているため、集客効果が期待できるサービスです。積極的なCM展開により今後もユーザー数の増加が予想されるので、前向きに導入を検討しましょう。
iD
iDは、対応カードやスマホを専用端末にかざすことで決済ができる電子マネーです。一番の特徴は、スマホと連携することで素早く決済ができる点で、スムーズな会計処理を実現します。クレジットカードやデビットカード、プリペイドカードに対応しているため、一定数のユーザーがいるのも特徴です。
QRコード決済のように専用アプリを立ち上げる必要がなく、決済準備に手間がかからないのも人気の理由の1つで、iDを導入することでレジの回転率向上にもつながるでしょう。定期的にキャンペーンが実施されており、クレジット会社ごとにイベントを展開しているため、安定した集客も期待できます。単価が高い決済にも難なく対応できるので、回転率と客単価を効率よく上げたい方におすすめです。
PayPay
PayPayはQRコード決済サービスの1つで、2023年2月時点で5,500万人もの登録ユーザー数を誇っています。コンビニやドラッグストアをはじめ、様々な店舗で利用することができ、ネットサービスや公共料金にも対応していることから、ユーザー数はトップクラスです。
買い物のたびにポイントが貯まり、ポイント還元キャンペーンやクーポン配布などユーザーにとって嬉しいサービスが定期的に実施されるため、集客効果や客単価アップが期待できます。専用端末を用意する必要がなく、QRコードを設置するだけなので、簡単にキャッシュレス決済を導入することが可能です。初期費用もかからず、審査から1週間程度でキットが届くので、手軽に電子決済を導入したい方は検討しましょう。
電子決済に対応することは今後求められる!
キャッシュレス化は、これから更に伸びていくことが予測されており、電子決済への対応の重要性は今後より一層高くなります。そのため、できるだけ早めに電子決済の対応を行うことがおすすめです。
「PAYGATE」は電子マネーやQRコードにも対応しています。取扱ブランドも豊富で、電子決済への対応策としての導入もおすすめです。