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お店ラジオ 2024/08/08 2024/08/08

客観的に捉え、どうすれば商売になるかを冷静に考える

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「お店ラジオ」は、店舗経営にまつわるトークラジオ番組です。
小売店や飲食店など各業界で活躍するゲストをお招きし、インタビュー形式でお届けしています。この記事は、InterFMで毎週日曜日にお送りしている「お店ラジオ」で放送された内容を再編集したものです。

今回のゲストは、映像・写真の制作を軸にレンタルスタジオビジネスを展開し、さらに土日のスタジオ利用のため、「イヌスタ」をスタート。人生という物語を記録に残し、幸せな瞬間を永遠に繋ぎ続けることをミッションとして事業を展開する株式会社LIFELOG代表取締役 長濱 えみなさんです。

コロナ禍でのレンタルスタジオのスタート、週末利用の「イヌスタ」、撮影を身近にする方法、将来の市場規模予測などについて、3回に分けてお送りします。

第1回は、コロナ禍でのレンタルスタジオと「イヌスタ」のスタート、レンタルスタジオのリスクなどについてお送りしました。
第2回は、レンタルスタジオのニーズやイヌスタの戦略、身近な撮影と料金などについてお送りします。

 

この記事の目次

 

レンタルスタジオへのニーズと成功

私自身がヘビーユーザーとして撮影する側にいましたので、どのくらいの広さのスタジオが必要で、どのくらいの価格帯が適正かを把握していました。また、知人に声を掛ければスタジオはすぐに埋まるだろうと見込んでいたのです。

実際、新しいスタジオはオープン後も利用が絶えることはありませんでした。しかし、最初は70平方メートル程度のスタジオだったため、利用者は主に雑誌関係でした。この広さだと、雑誌の撮影が中心で、最低19,800円程度の料金で利用されることが多かったのです。

雑誌のスチール撮影は通常5時間程度、長くても7時間程度ですが、動画撮影になると短くても7時間、12時間、さらには24時間と長時間にわたります。また、雑誌とCMでは料金にも大きな差があり、一般的に動画撮影の単価は雑誌の約3倍となります。

 

週末のスタジオ利用「イヌスタ」

CMやドラマの撮影は平日に行われることが多く、土日の利用は少なくなります。そのため、土日は犬の撮影にスタジオを活用することにしました。最初は「イヌスタ」というタグを用いて、犬の撮影に特化したプロモーションをインスタグラムで展開しました。

「イヌスタ」というネーミングは、インスタグラムをもじったものです。当時、飼い主が自分の顔を出さずに犬専用のインスタグラムアカウントを作ることが流行していました。これを利用して、犬の写真をシェアすることでスタジオの集客を図りました。

このアイデアは、私が犬を飼っているからではありません。実際、私は犬を飼うつもりもなく、どちらかといえばアンチ愛犬家でした。だからこそ、ビジネスとして客観的に捉え、どうすれば商売になるかを冷静に考えることができたのだと思います。

 

シンプルプランで犬撮影を身近に

当時、犬一匹あたりの撮影料は10万円が相場で、犬の撮影は非常に難しく、カメラマンが参入するのが怖い業界でした。そのため、犬用の雑誌で犬を撮影するカメラマンが時折撮影会を開催し、 1匹10万円という非常に高額な撮影料を設定していました。しかし、私はこれをより利用していただけるよう価格を下げ、10分で撮影するプランを作りました。

以前はこだわりすぎて視野が狭くなり、サービスが理解しづらいものになってしまうことがありましたが、「イヌスタ」に関してはシンプルに考えることで多くの要素を削ぎ落とすことができ、「SOLO PLAN(ソロプラン)」「WITH PLAN(ウィズプラン)」「DATA PLAN(データプラン)」など3つのシンプルなプランを作成することができました。

「SOLO PLAN」は犬の正面からのソロ撮影、「WITH PLAN」は飼い主や家族との撮影、「DATA PLAN」はフレームなしで約100枚の全てのデータを提供するプランです。これらのプランにより、犬の撮影をシンプルで利用しやすいものにすることができました。

 

プラン変更の戦略と顧客満足度向上

「SOLO PLAN」は30分ほど撮影するプランです。プランの途中変更を可能にしており、「DATA PLAN」に変更可能で、変更することで単価を上げることができます。最初から高額なサービスを提供すると来客数が減るため、まずは低価格のプランを利用していただき、そこから「DATA PLAN」へ移行していただきたいと考えています。

現在、「SOLO PLAN」は30分の撮影時間で税抜15,800円ですが、「イヌスタ」のスタート時は9,800円程度の低価格でサービスを提供し、モニターを通じてお客様を集めました。口コミを通じてお客様を増やし、シンプルなプランからスタートして、税抜38,000円の「DATA PLAN」に移行してもらうことを目指しました。

お客様が撮影を終えて帰る頃には、写真を仕上げ、フレームに収めて納品します。納品時にはお客様が感激し、写真を撮ってSNSにアップすることが多く、その投稿が私たちの広告となっています。お客様がインスタグラムやストーリーに「こんな写真ができました」とアップしてくれることで、自然と宣伝効果が生まれています。

このようにして、プランの変更を促しながら顧客満足度を高め、口コミやSNSを活用して新たな顧客を獲得する戦略を取っています。

 

第2回は、レンタルスタジオのニーズやイヌスタの戦略、身近な撮影と料金などについてお送りしました。

第3回は、コスト削減による撮影サービスの大衆化、新規とリピート、市場の将来予想などについてお送りします。

 

執筆

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