事業に必要な備品を購入する場合、適切な勘定科目を設定して会計処理をしなければなりません。POSレジを購入したとき、どの勘定科目を設定すべきかわからないという人もいるのではないでしょうか。
この記事では、POSレジを導入する際の会計処理について解説します。勘定科目の設定が適切でないとわかりにくい帳簿になってしまい、決算や確定申告などで苦労する可能性もあるので、しっかりチェックしておきましょう。
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この記事の目次
POSレジを導入する場合の勘定科目仕訳
POSレジを購入したときの勘定科目は、レジの購入金額によって異なります。
ここでは、POSレジ購入時に設定すべき勘定科目について解説します。
レジの金額が10万円未満の場合は「消耗品費」
レジの金額が10万円未満なら、消耗品費として計上できます。
一般的に「消耗品」というと使うたびに減っていくものをイメージしますが、仕訳における消耗品費は以下のいずれかに当てはまるものが対象です。
- 購入金額が10万円未満
- 使用できる期間が1年未満
もちろん、文房具やコピー用紙などの一般的にイメージする消耗品の購入費用も、消耗品費として計上できます。そのほか、事業で使うソフトウェアなども、購入金額が10万円未満なら消耗品費となります。
一見、レジのような機器は消耗品に当てはまらないように思うかもしれません。しかし、上記の基準に当てはめて、10万円未満のレジは経費処理上は「消耗品」として扱うと覚えておいてください。
レジの金額が10万円以上の場合は「工具器具備品」
レジの金額が10万円以上の場合は、「工具器具備品」として仕訳をします。
工具器具備品は、事業のために所有しているもののうち、金額が10万円以上かつ耐用年数が1年以上のものが該当します。
耐用年数とは、「その備品が使用可能であると見込まれる期間」のことです。耐用年数について詳しくは後述しますが、一般的に1年以上使用できる想定のもので購入金額が10万円以上であれば、勘定科目は工具器具備品となります。
10万円以上のレジを含め、工具器具備品に分類されるものは資産として計上しなければなりません。消耗品費とは経費としての扱い方が異なるので、注意してください。
資産計上する際に知っておくべき減価償却と耐用年数について、以下で解説します。
減価償却とは?
減価償却とは「建物や機械、備品などの資産の価値は、時間の経過によって少しずつ減っていく」という考え方のことです。
このような資産のことを減価償却資産といい、経費計上の仕方が消耗品費などとは異なります。
減価償却資産を購入した場合、その年に一括で経費として計上するのではなく、耐用年数で割った金額を毎年計上します。
例えば50万円の備品を購入し、耐用年数が5年のケースで考えてみましょう。この場合、1年目で50万円の経費を計上するのではなく、毎年10万円の経費を5年間計上することになります。
高性能なターミナルPOSは10万円を超えるものもめずらしくないので、POSレジを購入する場合は減価償却が必要になる可能性があります。
耐用年数とは?
耐用年数とは減価償却資産の使用可能年数のことで、その年数は法律で定められています。
「建物」「工具」「器具及び備品」など、用途によって細かい項目に分けられ、それぞれ耐用年数が設定されています。
POSレジは「事務機器、通信機器」に分類され、耐用年数は5年です。POSレジの価格や性能などによって耐用年数が変わることはありません。キャッシュドロアやバーコードリーダー、自動釣銭機など、各種周辺機器の耐用年数も一律5年です。
ただし、パソコンやタブレットをPOSレジとして使用する場合のみ、耐用年数が4年になります。分類表によって「パーソナルコンピュータ(サーバー用のものを除く。)」は耐用年数が4年とされているためです。
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さらに細かく仕訳したい場合はPOSレジの種類によって分けよう
POSレジをさらに細かく仕訳したい場合は、POSレジの種類によって分けることも可能です。
ここでは、POSレジの種類ごとにどの勘定科目に分類できるのかを解説します。
ターミナルPOS
ターミナルPOSとは、レジスターやキャッシュドロアなどが一体化した、一般的に「レジ」と言われて思い浮かべるタイプのPOSレジです。
据え置き型POSやレガシーPOSといわれることもあります。ターミナルPOSを購入した場合、勘定科目は「金銭登録器」に分類されます。
パソコンPOSやタブレットPOSといわれる、パソコンやタブレットとレジが一体化したものも、基本的に「金銭登録器」として計上することが可能です。ただし、レジ専用ではなく事務作業用としても使用するパソコンやタブレットの場合は、「電子計算機」に分類されるケースもあります。
パソコン型POS
パソコンにPOSシステムをインストールして使用するタイプのPOSレジは、パソコンとPOSシステムのそれぞれに勘定科目を設定します。
POSレジ用に購入したパソコンは「電子計算機」、POSシステムは「ソフトウェア」として計上します。POSレジ用に購入したパソコンだからといって、特別な勘定科目を設定する必要はありません。
もともと所有していたパソコンにPOSシステムを入れて使用する場合は、ソフトウェア購入費だけを計上します。
タブレット型POS
タブレットにPOSレジアプリをインストールして使用する場合も、パソコンでPOSシステムを利用するケースと同様に、タブレットとPOSアプリのそれぞれに勘定科目を設定します。
POSレジ用のタブレットは「電子計算機」、POSアプリの購入費は「ソフトウェア」になります。
POSアプリはスマートフォンでも利用できるので、POSレジ用にスマートフォンを購入することもあるかもしれません。その場合、購入したスマートフォンの勘定科目はタブレット同様「電子計算機」です。
ただし、POS専用でなく通話目的でも使用する場合は、勘定科目は「携帯電話」となるので注意してください。
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POSレジをリースした場合は会計処理や経理計上が楽になる!
POSレジを導入するなら、購入ではなくリースを利用するという選択肢もあります。
リース会社の所有するPOSレジを、毎月リース料を支払って借りるという形式です。
リースを利用するメリットは、毎月のリース料を経費として計上できることです。減価償却などを行う必要がないので、会計処理が楽になります。
高額なPOSレジは購入費用が高額になりますが、リースなら基本的に高額な初期費用が必要ないのもメリットです。
一方デメリットは、リース料には手数料なども含まれるので、購入する場合よりもトータル費用が割高になってしまう点です。途中で解約ができないことや、契約満了前に機器が故障しても残りのリース料を払わなければならないことにも注意してください。
POSレジを導入する際には会計業務を考慮しておこう
POSレジを導入する際の会計処理は、レジの価格やどのタイプのPOSレジを購入するかによって異なります。
購入するかリースを利用するかによっても経費の計上方法が変わるので、POSレジの導入時には会計業務を意識しておくことも大切です。
「リースでなく購入を検討している」「なるべく初期費用を抑えたい」などの場合は、POSレジアプリのスマレジがおすすめです。
iPadやiPhoneをPOSレジとして使用できるので、ターミナルPOSよりも安価に導入できます。基本のレジ機能なら無料プランで利用でき、有料プランも月額料金を支払う形式なので、経費の計上が簡単に行えます。