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お店ラジオ 2023/02/03 2024/03/14

つるとんたん創業者登場!真似から確信に変える徹底したマーケティングとは?

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「お店ラジオ」は、店舗経営にまつわるトークラジオ番組です。小売店や飲食店など各業界で活躍するゲストをお招きし、インタビュー形式でお届けしています。この記事は、InterFMで毎週日曜日にお送りしている「お店ラジオ」で放送された内容を未公開放送分も含めて再編集したものです。

今回のゲストは、大阪のうどん屋を引き継ぎ、24歳で高級うどん店「つるとんたん」をオープン。そして、現在はカトープレジャーグループの代表取締役兼CEOの加藤さんです。

「つるとんたん」の開店からトータルプロデュースカンパニーとして、ホテル、旅館、スモールラグジュアリーリゾートなど幅広く事業を展開されるまでの歴史と戦略についてお送りします。

この記事の目次

  1. 「つるとんたん」のスタートは徹底したマーケティングからだった!
  2. 最初に事業規模を決める“ブランディングスケール”の意味とは
  3. “ドリームワーク”で事業を語り、現場に落とし込むのが経営者の腕の見せ所
  4. 「真似から始めて真似で終わるな」自分の商品を“ちゃんと持つ”ということ

 

「つるとんたん」のスタートは徹底したマーケティングからだった!

現在、カトープレジャーグループの代表取締役兼CEOを務めています。
カトープレジャーグループは「日本のレジャーをもっと楽しく!」をテーマとして、レストランやホテルなどの事業の開発や運営を行うトータルプロデュースカンパニーで、「つるとんたん」という飲食店を経営しています。

「つるとんたん」といううどん屋は私が24歳の時に作りました。私の父親は香川県の出身で、大阪でうどん屋を経営していたのですが、私が22歳の時に亡くなったため、跡を継ぎました。

若い頃からそのうどん屋を手伝っていたのですが、跡を継いだうどん屋は商品もデコボコでホスピタリティもなく、良い時もあれば悪い時もあるようなお店でした。他にも食器が割れていたり、店が汚かったり、このままでは駄目だと思っていましたので、うどん屋をリノベーション、リブランドしようと考えました。

「つるとんたん」は前の店を変えていくのではなく、新しいブランドを作るという発想で24歳の時に立ち上げました。

 

 

「つるとんたん」を作るにあたり、まず市場を徹底的に見ました。いろいろなお店を食べ歩いてここは良いとか悪いとか、売上はどれくらいだろうなど研究しましたね。日本で一番わかっていると言えるくらい頑張りました。ですから、関西のうどん屋さんはほとんど行っていますし、四国の繁盛店も、出張に行くと1日15件はまわっていました。

色々なお店をまわり観察して流行っているお店は何が違うのかを考えてみると、トータル的なものだという結論に至りました。もちろん立地条件などもありますが、クオリティやサービス、ホスピタリティなどが総合的にできているということですね。他には、親父さんが無愛想でも突出した唯一無二の商品を持っているところなどは流行っているケースがあります。

 

最初に事業規模を決める“ブランディングスケール”の意味とは

私は新しい事業を始める時に、加藤語ですが“ブランディングスケール”を最初から決めています。売上であったり店舗数であったり、「どれくらいの規模でやるのか」を最初から決めるんです。

利用していただいた方はご存知だと思いますが、「つるとんたん」は、日本で一番高いうどん屋です。ですからどの街に出しても流行るかというとそうではありませんので、主要都市でしっかりとやると決めています。

そして、その地域に合ったエッセンスを入れて、店舗ごとにメニューやインテリアを変えています。だから30数年間飽きられず、微増ではありますが右肩上がりでいけているんだと思います。

 

“ドリームワーク”で事業を語り、現場に落とし込むのが経営者の腕の見せ所

私は店舗の拡大ではなく商品開発に重きを置いていまして、制約をかけることで商品開発などの内容が濃くなると考えています。ですから、私が店を辞める時、もう辞めろと指示する時は、私が作った最初の店舗よりも総合的なクオリティが落ちている時だと思っています。

今は、料理にもすごく良いメンバーが揃っていますし、サービスマンも良い、マネジメントのチームも良いので、私が24歳の時の「つるとんたん」より今の方が良くなっています。私が色々な事業をやっていて、フレンチやスパニッシュ、和食の専門チームなどもいますので、そういうメンバーからいろんなアイディアを出してやっていく中で多くのヒット作が生まれてきたのです。
ですから何とかこれまでお客様に飽きられずに続けられているのだろうと思います。

先ほども言ったように、私は店舗の拡大よりも商品開発を重視していますので、店作りをする時に、大変だとか儲からないってことは考えないんですね。
“ドリームワーク”と言っていますが、どんなホテルや旅館だったら他に無くて、お客様に来ていただけるだろうということを考え、チームで徹底的に話し合います。まずはそれを最初に決めて、次に採算に合うかなどを計算するんです。

できる限りこの“ドリームワーク”を潰さないマネジメントや仕組みを作っていくことが、経営者の腕の見せ所だと思っています。

 

また、高価格帯で勝負するというのは、価値を見出すことだと思っています。「つるとんたん」はうどん屋さんの中では高いですけれども、例えば北新地でのアフターなど、皆さんが飲みに行ってその後ちょっと食べようかという時の業態でいうと、焼肉屋さんがあったり、お寿司屋さんがあったりします。

それと同じ業態であれば納得していただける値段であると考えており、うどん屋さんの中では高いけれども、色々な動機の中では納得していただいていると思います。ですから、お店のしつらえなどはそこから逆算して決めていきます。

そういった事業展開の中で「つるとんたん」は数字が上がっています。最初にスケールを決めているということは、次々に業態を作っていかなければ会社としては大きくなっていかないわけですが、そもそも加藤グループは大きくやろうと思っていないんですね。

今、「私は本当に夢の中にいる」とよく話しをしていて、こんなに色々なご縁があって、こんなに素晴らしい経営ができるとは思っていませんでしたので、もう今で十分なんですよね。あんまり売り上げ至上主義でどんどん店を出していくっていう発想を持っていないから、上場もしないんです。

 

「真似から始めて真似で終わるな」自分の商品を“ちゃんと持つ”ということ

新店舗の出店にあたっての私の考えをお話ししようと思います。

まず、お店を出そうとする時に失敗する原因は、「真似で終わってしまう」ということです。もちろん私も真似をしますし、マーケティングということはそもそも真似をすることだと思っていますが、真似をしても自分のモノにしなければならないですね。一番駄目なのは、今つけ麺が流行っているのでつけ麺をやりましょうと、単純に流行に乗るということです。これは、必ず飽きられます。

けれども、その中で残るものもあります。また、業態として流行っていなくても唯一無二の店として流行っているお店もあります。これは、自分のオリジナルの商品をちゃんと持っているかどうかということ、そして、それがお客様に喜んでいただける商品であるかということがすごく大切なところだと思います。とはいっても、実際は真似で終わってしまうケースがすごく多いですね。

 

「つるとんたん」の東京での1店舗目は六本木でした。友達からは、カフェが潰れたし、イタリアンも駄目になったから六本木はダメだよと言われました。それでも出店を決めたわけですが、東京での1店舗目があれだけの大箱の店舗ですので、最初からいけると確信があったわけではありません。ただ、やるからには既にマーケットにあるものではなく、普通と違うものを作るということです。

要するに「つるとんたん」のようなことができる人が日本にはいないんです。200坪のうどん屋に数億円をかけて出店するという発想の人は日本にいませんから。それをやろうというのは私だけですので、私のオリジナルが確立できるんです。

これは“エイヤ!”のところはありますし、腹を括ってやらないと駄目だと思っています。
しかし、わからない中でもデザインや商品を研究していくうちに、自分の妄想が確信に変わる時があります。そこまでやらないとダメですね。

 

今回のお話はここまでです。次回は、海外展開やお店づくりの具体的な内容についてです。

 

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執筆 横山 聡

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