業務改善の方法の一つとして活用されることが多いのが、ワークフローの見直しです。ワークフローの管理方法は紙での管理が主流でしたが、ワークフローシステムを導入することで、業務効率の改善に加え、内部統制の強化まで行えます。
この記事ではワークフローという用語の意味からワークフローシステムを導入するメリット、効果まで解説します。ワークフローを改善し、業務効率を改善させるのにお役立てください。
この記事の目次
ワークフローの意味とは
ワークフローとは、「業務の流れ」を意味し、あらゆる業務での始まりから終わりまでの一連の作業や手続きのことです。ワークフローを具体的に定めることで、作業の漏れや抜けを無くし、上司に承認を取りながら、適切に作業が進められます。
業務内容や会社ごとにワークフローは異なり、種類や関わる人数、規模に応じて複雑化する傾向にあります。例えば経費の申請であれば、経費の精算書や領収書を経理部が確認承認し、経理部の部長が最終的な確認や承認を行う、というようなワークフローで行われます。しかし、これが金額が一定金額を超えると、承認に必要な人数が増える、決済の条件が増えるなど変化することも多いです。
会社ごとにワークフローの決め方や実際の流れは異なりますが、適切なワークフローは、業務をトラブルなく効率的に進めるためには欠かせません。
紙でワークフローを運用する際の課題
ITが本格化される前は紙で承認を行いながらワークフローを運用する手法が一般的でした。しかし、紙を媒介にワークフローを運用するのは多くの課題があります。ここではどのような課題があるのか、みていきましょう。
業務効率の低下
紙をベースにワークフローを回すのは業務効率を低下させる要因になります。手書き書類の記入や郵送、ハンコの押印など、やらなければならない作業が多くなるためです。書類作成には、計算や記載、印刷、押印などさまざまな労力と手間が必要です。計算が必要であれば、各自で計算するなどの時間がかかるため、業務効率が悪くなってしまいます。
業務の内容によっては、多くの書類を作成しなければならないこともあるでしょう。場合によっては書類作成だけで、一日の業務の多くを占めてしまうこともあります。一つのワークフローの処理に場合によっては数日かかることも少なくありません。紙をベースにする場合、時間や場所の制約をどうしても受けてしまうため、根本的な業務効率の改善には限界があります。
記入ミス・承認漏れ
紙を使ったワークフローでは、計算ミスや記入ミスなど書類の不備が発生しやすいことも問題点です。紙の書類の作成は社員が人の手で処理を行うことが多く、手書きや手計算の処理も少なくありません。このような工程でミスがあった場合、ミスの修正にも時間がかかり、二度手間になってしまうこともあります。このようなやりとりが増えることで、決裁の遅れや業務効率の低下にもつながるでしょう。
書類の行き来が増えることで、紙の紛失や承認漏れといったさらなる問題も発生しやすく、トラブルの原因にもなります。もしトラブルが発生してしまうと、書類がどこにあり、どのような問題が起きているのか、把握するのは簡単ではありません。原因があやふやなままになることもあります。情報漏洩の原因にもなるでしょう。このようなミスが積み重なった結果、重大なトラブルに発展することもあります。
決裁の遅れ
紙のワークフローの問題点は決裁が遅れやすいことです。紙のワークフローは事務所でなければできないことが多く、事務所外に書類を送る場合は郵送で送らなければいけません。これらの要因で承認者が不在になることで承認が遅れ業務が滞ります。これらの承認の遅れによって、競合他社に遅れを取る可能性があるだけではなく、トラブルにもなりかねません。
紙の購入代金や印刷経費、保管スペースの確保など、経費面での負担も大きな問題です。一枚一枚は些細なことですが、何百何千と積み重なり、全社で見ると、大きな負担になってしまいます。保管場所の問題もええ関わるため、費用面の負担は少なくないでしょう。
ワークフローシステムを導入するメリット
紙のワークフローは上述したように多くの問題があります。ワークフローの改善方法の一つとして、ワークフローシステムの導入がおすすめです。
ワークフローシステムとは、紙を使わず、ワークフローをPCなど電子的な手段で行い、その状況をモニタリングできるシステムです。英語では「Workflow Management System (WFMS)」と表現します。ここではワークフローシステム導入のメリットについて解説します。
申請業務の効率化
申請業務の電子化により、申請業務の効率化が期待できます。なぜなら、業務量が減り、電子化したからこそ利用できるチェック機能、検索機能、コピー機能が利用できるためです。
申請業務が電子化できると、紙を印刷する、紙を上司に提出しに行くという業務が必要なくなります。遠方のオフィスに申請する場合は、郵送のための準備も必要です。しかし、申請業務を電子化すれば、このような作業も必要なくなります。
記入内容の自動チェック機能によって、記入ミスや計算ミスが少なくなる点もメリットです。チェック機能があることで、ミスにすぐ気づけるため、書類の手戻りも少なくなります。書類を作成する従業員も承認する上司も負担が軽くなるでしょう。
過去の書類を探すのも簡単です。提出した後で書類を確認する場合、紙の場合だとファイルを探し、そこから紙を探す必要がありました。また管理ができていない人の場合だと探すのにも時間がかかります。しかし、電子化できていれば、ファイルの検索ができるため、ファイルを探す手間も少なくなります。
また、過去に作成した書類をベースに新規書類の作成が可能です。似たような書類をベースに新しい書類を作成できるため、時間削減につながります。これらのメリットにより、大幅な業務効率改善につながるでしょう。
意思決定のスピードが上がる
申請業務が電子化すると、意思決定にも時間がかかりません。書類を回す時間がなくなること、事務所にいなくても確認や承認の業務が可能なこと、申請ルートを自動判定し、無駄なフローが減ることが理由として挙げられます。
申請はパソコンやスマホ上でできるため、外出先であっても、書類はその場ですぐに提出できます。決裁や承認も同様のため、事務所にいなくても承認可能です。複数の人から承認が必要な場合も、同様に時間がかからないため、トータルで見れば大幅な時間短縮につながります。事務所にいる必然性も少なくなり、労働環境改善にもつながるでしょう。
従来の紙のやりとりであれば、簡単な承認に一日から数日かかる、規模が大きい業務の場合、1週間から2週間以上かかることもケースは珍しくありませんでした。上司が出張していると、数日間申請業務が滞ることも多々あります。電子上のシステムであれば、そのような無駄な時間がかかることも少なくなるでしょう。承認ルートも申請内容から自動判定されるため、承認や決裁が必要な人にすぐ届き、無駄がありません。
ペーパーレス化の推進
ペーパーレス化は業務改善だけではなく、経費削減にも効果的です。申請書が電子化すると、印刷代、FAXの通信費、郵送費など、紙の申請の場合にかかっていた経費が不要になります。決裁後のファイリングや保管スペースも不要で、事務所内で書類の量からデスクを圧迫することもありません。
昔からある会社の場合、書類で管理していると、書類管理のための倉庫が必要になっている場合もありました。しかし、電子化していればそのようなスペースも不要です。そこで不要になったスペースを別の用途で活用できます。
紙で申請業務をしているときに起きていた問題の多くも解消します。必要な書類を探す手間も検索機能ですぐに探せ、紛失のリスクもありません。そのため、管理に必要なコストも大幅に少なくなります。
近年主流になりつつある、テレワークの導入を進めるためにもペーパーレス化は欠かせません。テレワークの導入には、電子化を進めることが必要不可欠です。
内部統制強化
申請業務の電子化は内部統制強化につながります。具体的にいえば、証跡や決裁情報の可視化、文書の改ざん防止などコンプライアンスの強化ができます。紙での管理の場合、故意で書類を残さず、ワークフローを無視した決裁を行いミスを隠ぺいすることもできました。また、故意ではなくても、適切なワークフローが守られないことで、法令違反になるケースもあります。これらの理由から紙を使ったワークフローは、適切な運用がされない場合もありました。
しかし、システムで管理すれば、ルールを明確化し、従業員に遵守させやすくなります。ワークフローが明確になり、誰が何をするべきか明確になっているため、必要な人に必要な情報を的確に届けられます。また重要な書類の履歴が残り、いつでもアクセス可能になるため、不正が行われる心配も少なくなる点もメリットです。システム上に全ての履歴が残るため、不正をすれば誰が何をしたか痕跡が残ります。そのため不正されたとしても履歴から、誰がやったか明確になるため、不正防止に効果的です。
内部統制が強化されれば、不正が行われにくくなり、ルールが遵守されやすくなるため、コンプライアンスの強化にもつながります。コンプライアンスを遵守すれば社外の評判がよくなり、イメージアップにもなるでしょう。
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従来のワークフローは、紙での申請や承認が中心でしたが、業務効率が悪く、ミスや承認の遅れが発生しがちという問題を抱えていました。ワークフローシステムを導入して電子化を推進することで、ペーパーレス化が進み、意思決定がスピーディになり、業務効率化や内部統制強化にもつながります。
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