管理者のタイムカードをどのように管理するべきか、お悩みの経営者や事業者の方も多いのではないでしょうか。
管理者は一般の従業員と管理のルールが異なる場合があり、その違いを把握することが大切です。適切に管理できていないと違法行為とみなされてしまうこともあり、罰金の対象にもなりかねません。
この記事では管理者のタイムカードをつける場合に、一般の従業員とどのように異なるのか、違いや注意点を解説します。管理者のタイムカードを適切に管理するための参考にしてください。
この記事の目次
労働基準法の改正で管理監督者の勤怠管理が義務化
労働基準法の改正により、2019年4月から管理監督者の労働時間も把握することが義務付けられるようになりました。
一般従業員の場合は1日8時間、1週間最大40時間までの労働で、36協定を結ぶことで時間外労働ができるものの、その労働時間も1ヶ月最大45時間、年間320時間という上限が設けられています。また、一般労働者の労働時間を出勤簿やタイムカードなどの形で記録し、それらの書類を5年間保存しなければいけません。
2019年以前の場合、管理監督者については、これらの残業の規制の影響を受けずに済みました。
そのため、企業は労働時間確保の観点から、実態は一般社員であっても、名目上の管理職を増やすことで、労働時間の規制から逃れられたのです。
しかし、2019年の法改正によって、管理監督者も規制対象となり、労働時間の把握方法も詳細に定められました。
新たな労働時間の把握方法として、「使用者が自ら現認し適正に記録する方法:か、「タイムカードやICカード、パソコンの使用時間など、客観的な記録を元に記録する」以外の記録方法では労働時間として認められません。長時間労働が発覚した場合には、産業医の面接指導を受ける必要があります。
管理監督者とは?管理者との違い
管理監督者は法律上の定義があり、管理者とは別です。管理監督者は以下の要件を満たした人のことを示します。
- 経営者と同様の重要な職務をしていること
- 重要な責任と権限を持っていること
- 出退勤や労働時間について裁量を持っていること
- 残業代が出なくても、それに相応しい待遇がされていること
「重要な責任と権限を持っていること」というのは、採用や解雇、人事考課などが該当します。
「残業代が出なくても、それに相応しい待遇がされていること」が当てはまらない例として、労働時間や責任に対して、実際の賃金がアルバイトやパートとほぼ同等である場合などがあるでしょう。
管理監督者に対して、管理者は明確な定義はないものの、店長や課長、部長など、労働者の管理や組織の運営に携わる人を指しています。しかし、前述の条件を満たしていない場合は、管理者であっても、管理監督者とはみなされません。
管理監督者には、以前は勤怠管理義務はなく、労働時間の把握をする必要はありませんでした。そのため、この管理監督者に該当する場合、残業代や休日出勤手当の支払い義務はなく、勤務時間の制限も受けませんでした。そのかわりに職務相応の待遇を受けることができるとされていました。
しかし、2019年の4月からは管理監督者を含む全社員に対して、勤怠管理が義務付けられています。しかし、管理監督者は労働時間を管理する側で、管理報告の方法によっては、客観性が損われてしまいます。たとえば、ワードやエクセルなどの書式であれば、改竄(かいざん)がされてしまう可能性もあります。
そのため、企業はタイムカードなど何らかの方法で、適切な勤怠管理体制を整える必要があるのです。
管理監督者の勤怠管理における注意点
従業員が管理監督者に該当する場合、それ以外の社員と勤怠管理での扱いが異なる部分があります。ここでは、管理監督者の勤怠管理における注意点を解説します。
残業代の支払いは不要
管理監督者は、労働基準法第37条の割増賃金についての規定が適用されません。
そのため、残業をしていた場合でも、残業代金の支払いは不要です。36協定の適用対象外となり、残業時間数の上限も設けられていません。
管理監督者は会社から、労働時間や労働量について拘束されていないためです。
自分の裁量で労働時間を決められます。ただし遅刻や早退を自由にできるというわけではありません。管理監督者は経営上の重要な判断や緊急の対応が求められる場合があることがその理由です。
労働時間を管理されており、残業や労働時間を上司に決められている場合には、管理労働者として認められません。また、管理監督者は残業代がなくても、残業代が出ないかわりに、それに相応しい賃金面の待遇が求められます。
休日出勤手当の支払いは不要
管理労働者には、労働基準法第37条の休日出勤した場合の割増賃金についての規定が適用されないため、休日出勤手当の支払いは不要です。休日が週1日という規定もなく、取得していなくても、違法行為には該当しません。
管理労働者は労働時間を本人の裁量で決められます。そのため、休日という考え方がそぐわないとされています。休日出勤と同様に、半休や代休、振替休日も取得できません。
管理監督者は経営者と同じ責任が求められており、時間に関係なく労働しなければならなくなるケースがあります。そのことが、労働基準法第37条が適用されない理由です。また、36協定も適用対象外となっています。なお、会社や上司から休日出勤の要請があるなど、本人の裁量以外で休日出勤が行われる場合には、管理労働者には該当しません。
深夜残業は割増賃金が適用される
管理監督者は通常の残業代は適用されませんが、22時から翌日5時までの深夜残業については一般従業員と同様に割増賃金が適用されます。
管理監督者には、労働時間や休憩・休日に関する規定が適用されないという規定があります。しかし、深夜残業の割増賃金に対してはなんの記載もされていないため、割増賃金を支払わないのは違法行為となります。
管理監督者は、労働時間の制約をほとんど受けないものの、会社は管理監督者についても、健康や安全面への配慮が必要であり、過重労働を避ける必要があります。2019年の法改正によって、管理監督者の労働時間も把握しなければいけません。
そのため、2019年以前のようにあいまいな管理はできなくなるため、深夜残業についてもタイムカードなどを使い、適切に管理する必要があります。
有給休暇は付与される
管理監督者も有給休暇は一般従業員と同様に付与されます。また、2019年からは年5日以上の有給休暇の取得が義務化されています。有給休暇の義務化は一般従業員はもちろん、管理監督者も適用範囲内です。
2019年の改正により、有給休暇取得についても、適切に取得できているかどうか、年次有給休暇管理記録簿で管理・記録する必要があります。この書類は、労働者ごとに有給休暇取得の基準日や日数、時期を管理するためのもので、該当期間の満了後5年の保存が義務化されています。
管理労働者に限らず、有給取得者の管理ができず、法律違反が発生すると、監督者から是正勧告がされ、従業員1人につき、最大30万円の罰金が課せられます。そのため、管理監督者だけではなく、一般従業員についても有給休暇は適切に管理しなければいけません。
従業員の出退勤管理における問題はシステム導入で解決!
従業員の出退勤管理はこれまで以上に適切に管理する必要があります。
これは会社の管理監督者であっても同様です。適切な管理ができていない場合、違法行為となり、罰金などのリスクが発生します。
これらの問題を解決するためには、従業員の出退勤管理をシステムで解決することがおすすめです。スマレジ・タイムカードでは、従業員の出退勤をシステム上で簡単に管理できるだけではなく、従業員の区分を設定し、管理監督者の出退勤も簡単に管理できます。
そのため、ミスが生じやすい割増賃金の設定、残業代の管理も設定可能で、管理の手間もかかりません。従業員や管理監督者のタイムカード管理にお困りであれば、ぜひ導入してみてはいかがでしょうか。