給与計算で苦労している事業者の中には、給与計算のチェックリストを活用して、ミスを防ぎたいと思っている方も多いのではないでしょうか。
実は、チェックリストをただ使うだけでなく、いくつかの要点を押さえることで、給与計算のミスを減らすことが可能です。
本記事では、給与計算の前にしておくべきことや給与計算で確認すべきリスト、給与計算のミスをしないポイントについて説明します。最後には、業務の負担を軽減してくれるおすすめのシステムも紹介するので、業務効率化の参考にしてみてください。
この記事の目次
給与計算を始める前に確認したい5つのこと
給与計算をする前に確認しておくべきことについて紹介します。特に以下の項目は給与計算に影響するので、必ず確認しておきましょう。
- 昇給・昇格した社員がいるかどうか
- 新入社員・退職者がいるかどうか
- 扶養親族が変更した社員がいるかどうか
- 扶養親族に変更があった社員がいるかどうか
- 交通費の変更があった社員がいるかどうか
昇給・昇格するとほとんどの場合、給与はアップします。時給や基本給を変更しなければならないため、最初に確認しておきましょう。
次に、新入社員や退職者がいるかも確認しておく必要があります。従業員が増減することで、トータルに発生する給料も変わるのです。たとえば、従業員が増えているにもかかわらず、トータルの給料が前月と同じだった場合、給与計算でミスをしていると想定できるでしょう。
また、結婚や出産によって扶養親族が変更になったり、親の介護のため一緒に暮らすことになるなど扶養親族に変更があったりする場合も、扶養控除が適用になり、給与計算の方法が変わります。他にも、転勤などによって交通費の支給額に変更があった場合も注意は必要です。
給与計算に反映される項目がいくつもあるので、最低でも上記の5つの項目は確認しておきましょう。
【項目別】給与計算のチェックリスト
ここでは、シチュエーションにあわせて、給与計算のチェックリストを紹介します。特に注意すべきケースは、以下の4パターンです。
- 新入社員が入った場合
- 退職者が出た場合
- 基本給や手当に変更があった場合
- 社会保険料に変更があった場合
これらの項目に当てはまる場合、チェックリスト作りの参考にしてみてください。
新入社員が入った場合
新入社員が入った場合にチェックすべきポイントは以下の通りです。
- 氏名、生年月日、住所などの社員情報が正しいか
- 基本給や手当、社会保険などの基本情報が正しいか
- 入社月は雇用保険料を排除しているか
氏名や生年月日、住所など社員情報が間違っている場合、他の社員と誤って認識してしまう可能性があるので、社員情報は入念にチェックしましょう。また、給与に直接関係のある基本給や手当、社会保険などが間違っていると、誤った給与を支給してしまうことになります。
雇用保険料は入社月の翌月から控除が開始されるため、入社月に原則雇用保険料は天引きしません。
なお、1日入社で当月の20日に給与支給の場合は、入社月から雇用保険料の控除がスタートします。
退職者が出た場合
退職者が出た場合は、以下の項目はチェックすべきでしょう。
- 末日退職以外の場合は、その月の社会保険料を除いているか
- 末日退職の社員の場合は、社会保険料を2か月分引いているか
- (月末締め当月25日払い等の会社の場合)
- 給与計算期間の途中で退職した場合は、日割り計算になっているか
- 1月1日~4月30日までに退職した場合は、残りの住民税を一括で控除しているか
退職のタイミングにより、給与計算が変わってきます。末日退職かそうでないかによって、社会保険料の計算が変わり、日割り計算になる場合もあるでしょう。
また、1月から4月の期間中に退職した場合は、残りの住民税を一括で天引きしなければなりません。退職時に有給を消化する場合もあるため、退職日は必ず明確にしておきましょう。
基本給や手当に変更があった場合
基本給や手当に変更があった場合は、以下の項目に注意しましょう。
- 昇格や降格によって基本給が変わっているか
- 該当する手当が正しく反映されているか(扶養手当や交通費など)
昇格や降格によって基本給が変わる場合は、従業員の等級が正しく反映されているか確認しましょう。また、家族が増えたり引っ越したりするなど、該当する手当内容に変更があった場合も、正しく変更されているか確認する必要があります。
社会保険料に変更があった場合
社会保険料に変更があった場合は、以下の項目をチェックする必要があります。
- 社会保険料が不要な人(アルバイト・パート)がいないか
- 40歳の誕生日を迎えた人で、翌月から介護保険料を控除しているか
- (末日が誕生日の場合を除く)65歳の誕生日を迎えた人で、翌月から介護保険料を0にしているか
- (末日が誕生日の場合を除く)70歳の誕生日を迎えた人で、翌月から厚生年金保険料を0にしているか
- 4月の給料支給時に、満64歳の人は雇用保険料をゼロにしているか
- 毎年行われる保険料率の改定が反映されているか(厚生年金は10月納付分から、その他は4月納付分から反映)
- 定時改定(算定基礎届)による変更が反映されているか
- 昇降給月から5か月目に支給される給料から社保険料を改定しているか(随時改定の対象となる場合)
各社会保険料は、従業員の年齢に応じてさまざまな保険料の内容が変更されます。40歳、64歳、65歳、70歳が社会保険料が変わるターニングポイントなので、この基準は覚えておきましょう。
また、毎年保険料率の改定が行われるため、時期によって改定が反映されているかも確認する必要があります。
給与計算でミスしないためのポイント
ここでは、給与計算でミスをしないために、どのようなことに気を付けるべきか紹介します。特に意識すべきポイントは以下の3つです。
- 前月と当月に差があるかどうか確認する
- 根拠資料を見ながら確認する
- ダブルチェックや第三者になった気持ちで確認する
スキル関係なく、意識すれば簡単にできることなので、給与計算をするときの参考にしてください。
エクセルで前月と当月に差があるかどうか確認する
エクセルで前月と当月に差があるか確認しましょう。もし、前月と当月に給料の差が発生していれば、必ず理由があるはずです。たとえば、新入社員が一人入ったのであれば、従業員一人分の給料に相当する金額が増えているでしょう。
計算結果で前月と当月に差が発生しているにもかかわらず、その理由が分からない場合は、何かしらのミスが発生している可能性があります。
エクセルに必要項目を書き出し、どの項目で差が発生しているかを確認することで、簡単に理由を推測することが可能です。特に理由がない状況で差が発生していれば、もう一度チェックリストを見直してみましょう。
根拠資料を見ながら確認する
根拠資料を見ながら確認することが重要です。特に従業員情報に変動がなく、前月と当月に差が発生していなければ問題ありませんが、給料に差が発生している場合は、差が発生している原因を証明する資料を確認しましょう。
たとえば、家族手当の項目で金額が増えている場合、家族手当を申請した書類があるか確認することが重要です。
根拠資料がないにもかかわらず、給与計算に変動が起きている場合は、従業員との大きなトラブルに発展する可能性があります。
もし根拠資料がない場合は、該当する従業員に書類を提出してもらうか、本来の給料に戻しておきましょう。
複数の従業員によるダブルチェックや第三者になった気持ちで確認する
複数の従業員によるダブルチェックをしてもらうか、第三者になった気持ちで客観的に確認するとミスが発見しやすくなります。
思い込みで作業を進めてしまうと、小さな変化に気付くことができず、ミスを見逃してしまう可能性が高くなるでしょう。
たとえば、該当従業員の基本給が上がっているにもかかわらず、他の従業員と同じ業務内容をしていることから、他の従業員と同じように計算を進めてしまい、支給金額が少なくなるなどが発生するかもしれません。
「正しいだろう」という先入観がミスを誘発することになるので、部下が作成した書類を確認するくらいの気持ちで、冷静にチェックしましょう。
【無料も】担当者の負担を減らして業務を効率化したい場合はシステムを活用してみよう!
給与計算の業務を効率化したい企業には、給与計算システムをおすすめします。
専用のシステムを使うことで、人的ミスを軽減できるだけでなく、業務の効率化を図ることが可能です。今回は4つのシステムを紹介するので、システム選びの参考にしてみてください。
スマレジ・タイムカード
スマレジ・タイムカードは、クラウド型の勤怠管理システムで、勤怠管理だけでなく給与計算やシフト管理など経営者にとって便利な機能が豊富に揃っています。
時給や日給、月給に加えて、住宅費や交通費などの各種手当も従業員毎に自由に設定ができる点がおすすめです。
また、深夜労働や休日出勤、時間外労働などの複雑な割増計算も自動で行ってくれます。さらに、クラウドサービスなので、重要な法改正や税・保険料率の改定も自動でアップデートされることから、社会保険料に変更が生じても特に気にする必要はありません。
システムを使うことに自信がない方でも安心して利用できるサービスです。
ジョブカン給与計算
ジョブカン給与計算は、シリーズ累計12万社を突破するなど、多くの会社から評価されている給与計算システムです。
社労士が監修しているシステムで、実際の給与計算担当者の声を基に開発していることから、現場の使いやすさにこだわったシステムといえます。
ジョブカン勤怠管理にシステムと連携することで、毎月の勤怠管理情報を瞬時に給与計算に適応させることができ、更新ボタン一つで従業員の情報を共有することが可能です。また、残業代や手当など上限なく設定できるため、会社独自のルールにも適応することができます。
給与計算担当者の「あったらいいな」を実現しているシステムなので、給与計算に便利な機能を求める方におすすめです。
マネーフォワード クラウド給与
マネーフォワード クラウド給与は、とにかく簡単に給与計算を行いたい事業者向けのシステムで、正確かつ素早く計算を行うことができます。
給与計算対象者の自動判定・各種保険料や所得税などが自動計算されるため、業務効率を大幅に改善することが可能です。
また、法令改正や増税・社会保険料の料率変更も無料でアップデートしてくれます。他にも、ペーパーレスやリモート化に対応しており、従業員が好きなときに場所を選ばず給与明細や源泉徴収票を入手することも可能です。充実したサポートを受けられるので、サポート体制を重要視したい方におすすめです。
フリーウェイ給与計算
フリーウェイ給与計算は、クラウド型の給与計算システムで、従業員5人までなら永久無料でサービスを受けることができます。
従業員が6人以上でも月額1,980円でサービスを利用できるため、低コストで給与計算システムを導入することが可能です。
給与や賞与、所得税、社会保険、雇用保険、年末調整、マイナンバーに対応しており、Web給与明細書を従業員にメール配信できるので、ペーパーレス化を実現します。少数精鋭で事業を営んでいる方や低コストで給与計算システムを導入したい方におすすめです。
給与計算は確認ミスを防ぐためにも対策することが必要不可欠!
給与計算で確認ミスを防ぐためにも、チェックリストを作成して細かく確認することが大切です。
また、なるべくミスを減らしたい方は、給与計算システムの導入を検討してみましょう。
スマレジ・タイムカードには、給与計算だけでなく、従業員を管理する上で便利な機能が揃っています。給与計算システムの導入を検討している方は、お気軽にご連絡ください。